膝の痛みを経験したことはあるでしょうか。
膝の痛みの中でも高齢者の多くに占めるのは変形性膝関節症です。
変形性関節症は60歳前後の女性が、思い当たることがなく膝の痛みや関節の動かしにくさ、膝に水が溜まったりというような症状を訴えることが多いです。
今回は変形性膝関節症に焦点を当て、まずは膝が痛む原因を整理し、今後紹介していくトレーニングの準備となればと思います。

膝の痛みの原因

軟骨の減少が痛みの原因ではない

膝の痛みがあるときに、「軟骨がすり減っているから痛い」としばしば耳にすることがあります。しかし、軟骨には神経も血管通っていないのです。神経が通っていないということは、もちろん軟骨自体は痛みを感じるはずがありません。
よくサプリメントなどで、軟骨成分の補給を促すことがありますが、

軟骨の成分を飲んでも胃や腸でバラバラにされて、膝まではほとんど到達しません。
               〜中略〜

しかし、軟骨成分を食べても効果がないわけではありません。軟骨の成分には痛みを起こす物質(プロスタグランジンE2など)を押さえこむ効果があります。
薬の痛み止めほど強い効果はありませんが、人工的に作った薬とは違い、人間の体の中に元々ある成分なので副作用が少ないという利点があります。

9割のひざの痛みは自分で治せる P12−13

とあります。このことから、軟骨成分を口から補給しても軟骨が生成されるわけではないが、痛み止めとしての効果はあることがわかります。

膝のつくりはどうなっているのか

膝の構造はどんなふうになっているのでしょうか。普段膝は筋肉や皮膚などの組織に覆われているため、どのような構造になっているかはわかりません。そこで図を用いながら膝の構造について整理してみたいと思います。
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出典:9割のひざの痛みは自分で治せる

図は前から見たもの(上)と横から見たもの(下)に分かれています。
まずは膝を前から見てみると、太ももの骨にあたる大腿骨と、すねの骨にあたる脛骨にわかれています。大腿骨、脛骨にはそれぞれ軟骨がついており、その間には衝撃吸収の役割をする半月板という組織があります。また大腿骨と脛骨の間をつなぐ側副靭帯があり、膝の横揺れを防ぎ、安定性を高めてくれています。
次に膝を横から見てみると、大腿骨と脛骨の間には前・後十字靭帯があり、膝の前後の安定性を高める役割があります。大腿骨の上には関節包と呼ばれる関節液の入った袋があり大腿骨、脛骨の間にも入り込んでいます。また関節包の上には太ももの筋肉である大腿四頭筋があります。

ほんとの痛みの原因は

先ほど軟骨の話がありました。変形性膝関節症の方は、軟骨がすり減っているのですが、この軟骨がすり減ると、膝の構造に崩れが出てきてしまうのです。膝の構造に崩れが生じると、それに伴い部分的に負担がかかってしまう場所が出てきてしまいます。
先ほど大腿骨と脛骨の間の軟骨、半月板がありました。
軟骨が正常にあるときには、この2つはフィットしていま。軟骨がすり減り薄くなると、半月板にかかる重さが増え、半月板が割れてきてしまうのです。重さで割れるのですから、体重が重い方はやはり半月板にかかる負担は大きくなります。割れた半月板は重みで、神経が通っている側副靭帯や関節包を圧迫し、痛みを引き起こします。体重は通常内側にかかりやすいため、半月板も内側が割れやすくなります。そのため、変形性関節症の方は膝の内側に痛みが生じやすいのです。
膝の構造が崩れてくると靭帯にも緩みが生じるのですが、安定性を確保するために代わりに骨が形成されます。この骨は棘があるような形で、骨は本来の形を失ってしまいます。
また関節包が圧迫されると炎症が起こり「膝に水が溜まる」状態になるのですが、

炎症が起こると関節包の中の関節液が増え、関節包は膨張し、その膨張する力がひざの激しい痛みの原因となります。
これがいわゆる「ひざに水がたまる」という状態です。
よく「ひざの水を抜くと癖になる」といわれますが、水を抜くから癖になるのではありません。一度、膨張した関節の袋は関節液を抜いても抜いても袋がシワシワになっているために簡単に膨らむのです。

9割のひざの痛みは自分で治せる P19ー20

となっています。よく患者さんで何回も水を抜く方を見かけますが、関節包が膨らみやすくなっていることが理由だったのですね。

膝の痛み、どの動作に当てはまりますか

①歩いていると肩が横に揺れる
側副靭帯の緩みが原因です。横揺れを防ぐために、膝の内側の筋肉で踏ん張り負担が大きくかかるため、内側の筋肉は硬くなります。内側の筋肉が硬くなると膝が伸びにくくなります。これを関節の可動域制限といいます。

②膝を伸ばして寝ると痛い
寝ていると体の動きはあまり大きくはありません。そのため膝の内側の筋肉は硬くなってしまいます。そのことが原因で痛みが発生します。

③立ち上がり動作で痛い
椅子から立ち上がるとき、とくに長い時間座った後に立ち上がると痛くなることもあります。これも座っている間膝の動きが少ないく、膝の内側の筋肉が硬くなってしまっているのです。

④下り階段で痛い
膝の前後の動きを制御する靭帯の緩みが原因です。階段を降りた足がつま先立ちになった際、大腿骨が前方に出る動きを抑えきれないためです。

⑤しゃがみこむときに痛い
同じく膝の前後の安定性を制御できていないためです。

まとめ

膝の痛みの原因について整理しました。
軟骨のすり減りは直接的な痛みの原因ではありません。痛みに関わる膝の構造として、関節包、半月板、靭帯があります。痛みの原因は軟骨のすり減りにより膝の構造が崩れ、半月板が割れることで神経の通る関節包や靭帯を圧迫することにより起こります。膝の痛みを動作に分けて考えました。あてはまるものがある場合、変形性膝関節症の疑いがあります。