年々認知症の方が増加していることはご存知だと思います。
認知症の最新の研究によると、脳機能の異常は認知症を発症する20数年も前から起こっていることがわかっています。そのため、早期から認知症予防のために、生活の中で脳機能を鍛えておくことが重要になってきます。

認知機能について

認知機能とは

認知機能は私たちが生活を送る上では欠かすことのできない脳の機能です。例えば、今日は何年何月何日というように日付の感覚がわかったり、カレーを作るのに必要な材料を考え計画を立て、スーパーで購入するといったことも認知機能が正常に働いてくれているからこそ可能になります。
特に認知症では記憶力、判断力、理解力、思考力などの認知機能が低下すると言われています。

認知症になる前から低下しやすい認知機能

①計画力
ものごとを論理的に考える力です。計画力が低下すると行動に効率性が欠け、時間がかかったりときちんと行動できなくなり、まとまりのない行動をとることもあります。

②注意の配分
同時に2つの課題をこなす時に、どちらにも注意を振り分ける機能です。注意の配分ができなくなると、料理の最中に鍋を焦がしてしまうなど、うっかりミスや手際が悪くなってしまいます。

③記憶力
自分の体験したこと(エピソード)に関する記憶が低下しやすくなります。特に2〜3日前にどんな出来事があったかなどが思い出せなくなります。

認知機能低下を疑うエピソードチェック

①鍋を焦がした
②よく忘れ物をする
③人との約束を間違えた
④ゴミ出しを忘れた
⑤トイレの電気を消し忘れた
⑥冷蔵庫に同じ食品がいくつも入っている
⑦部屋が散らかっている
⑧メガネを無くした

出典:NHKきょうの健康 2014年12月号

認知症予防の方法

運動と同時に頭を使うことが大切

認知症になるリスクを高める因子としては糖尿病、高血圧、肥満などがあるのですが、運動不足が最も高い危険因子として注目されています。

近年、さまざまな研究で、運動に記憶力などの認知機能を向上させる効果可能性があることが報告されているので、認知症予防に取り組むなら、まずは運動習慣をつけることから始めるのがよいでしょう。

〜中略〜

また、最新の研究で、運動を単独で行うより、運動しながら頭も一緒に使うデュアルタスクトレーニングを行うほうが、記憶力など認知機能の維持、向上に効果があることがわかってきました。認知症の予防につなげるためには、ふだんの生活にデュアルタスクトレーニングを積極的に取り入れることが大切です。

NHKきょうの健康 2014年12月号 P101

このように運動しながら頭を使ってトレーニングをすることを、最近では「コグニサイズ」(コグニッション:認知、エクササイズ:運動を掛け合わせたもの)とも呼んでいます。

ウォーキングでコグニサイズ

ウォーキングは誰でも取り組みやすい運動になります。
このウォーキングに頭の運動を取り入れるとコグニサイズになります。
認知症予防に大切なのは、ウォーキングをしながらでも少し考える必要があるくらいの頭を使う課題を取り入れることです。脳への負荷をかけることが大切なのですが、負荷をかけすぎるとウォーキングのスピードが遅くなってしまったりするため、一定のスピードを保ちながら行えるくらいの課題を選択する必要があります。

①ウォーキングしながら引き算
例えば300から7ずつ引いていきます。7で難しいと感じる場合には3や4から始めると良いでしょう。7でも簡単だと感じる場合には、7と5を交互に引いていくなど、自分なりにバリエーションを増やして行うと良いと思います

②ウォーキング+太ももタッチ
1歩1歩に合わせて1から順番に数字を数えてゆき、3の倍数になったら手で太ももをタッチします。簡単だと感じるのであれば、3の倍数の時に太ももにタッチする手を左右交互にします。さらに難しくする場合、3で太もも、6で胸、9で頬などタッチする場所を変えます。
家の中で行いたい場合、その場で足踏みしながら上記の事を行う事も可能です。

普段の生活の中でもコグニサイズ

日常生活の動作の中でも、普段の方法に少し工夫を加えるだけで、コグニサイズが可能になります。
コグニサイズの難易度設定は、「少し難しく感じる」レベルで行う事が大切です。簡単すぎる課題をいくら続けても認知機能は向上しません。「少し難しく感じる」課題が脳機能アップの秘訣です。行っている課題が簡単に感じたら、新たに課題を設定するなどしてレベルアップを図っていきましょう。新しい課題を創造するだけでも相当な脳機能が使用されているはずです。

①スーパーの買い物で!合計金額暗算
スーパーなどで買い物をする際に、カゴに入れた商品の合計金額を暗算していきます。もしくは、あらかじめ決められた金額に収まるように計算しながら商品を購入していきます。

②スーパーの買い物で!一方通行で買い物を済ませる
スーパーの買い物などで、後もどりえをせずに一方通行で計画的に買い物を済ませるようにします。この課題はかなりの計画力が必要になり良いトレーニングになります。

③調理の時間を短くする
調理時間を短くするには、計画的な調理、効率、手際の良さなど、様々な所に注意を向けながら実行する事が求められます。同じ時間内でもう1品調理するなども同様の脳機能が必要です。

④制限時間のある掃除
洗濯物干し、掃除機がけ、風呂掃除など、制限時間を決めて時間内に終わらせるように実行します。計画力や注意機能など総合的な能力が鍛える事ができます。

⑤読書は立ちながら音読で
立ちながら、足踏みしながら、片足立ちになりながらなど、バランスをとりながら音読をすると、運動と認知課題が同時に行えます。

⑥カラオケは振り付けつきで
カラオケで歌を歌う時は振り付けしながら歌いましょう。振り付けを覚えて、音楽にずれないように歌いながら踊ることはコグニサイズになります。

趣味活動が認知症発症のリスクを下げます

趣味などの余暇活動の中で、特に運動要素を含む趣味は認知症の中でもアルツハイマー型認知症の発症リスクが下がることがわかっています。
社交ダンスはステップを覚え、音楽を聴きながら、相手に合わせながら踊るというコグニサイズになるので、余暇活動の充実と認知症予防にはオススメの活動になります。

まとめ

私たちの生活は認知機能の働きで計画的に、効率よく、適切に行う事ができます。
認知症になる前から低下しやすい認知機能には計画力、注意の配分、記憶力があります。
認知症予防には、運動しながら頭を使ってトレーニングをする、「コグニサイズ」を行う事で、認知機能の向上が期待できます。
ウォーキング、家事に認知課題を取り入れる事によりコグニサイズとなります。
コグニサイズは「少し難しく感じる」課題設定が脳への適度な刺激となります。