認知症の治療方法は確立されておらず、認知症予防が重要であると言われています。
認知症予防には運動と認知課題を組み合わせた二重課題が大切で、「コグニサイズ」という概念が最近のトレンドとなっています。
今回コグニサイズの中でも、「4色あしぶみラダー」の紹介と、実際に取り組んでみての印象をお伝えします。

認知症予防のためのコグニサイズとは

軽度認知障害とは

軽度認知障害(MCI:mildcognitive impairment)とは、認知症を発症する前段階の状態を指し、認知症ではないが、認知機能の低下を認める正常であるとも言い切れない状態のことをいいます。
この軽度認知障害の状態であれば、正常の機能に回復できることが最近の研究で明らかになってきました。

コグニサイズとは

コグニサイズとは、「認知」という意味を表す「コグニション」と、「運動」という意味を表す「エクササイズ」から作られた言葉です。
運動と認知機能の関係について、

有酸素運動については、認知機能向上に有効であるという研究がありますが、その効果は限定されています。コグニサイズは、有酸素運動を中心とした運動に加えて脳にも負荷をかける、例えば歩きながら引き算をする、踏み台昇降をしながらしりとりをするなど、頭を使う作業を加えることによって脳の活性化をめざすプログラムです。
このように同時に2つの作業を行うことを、私たちは「デュアル(二重)タスク(課題)」と呼んでおり、有酸素運動と認知課題の組み合わせが、より効果的だと考えています。

認知症予防のための脳活性化運動 コグニサイズ入門 新開発!国立長寿研の4色あしぶみラダー P2

とあり、認知症予防にはコグニサイズが有効だということがわかってきているのです。

コグニサイズの効果

国立長寿医療研究センターの研究によると、軽度認知障害の方を対象にコグニサイズを実施したところ、記憶力の向上、海馬周辺の萎縮の抑制がみられました。ちなみに海馬は記憶に関与している脳の部位であり、アルツハイマー型認知症は海馬が萎縮することがわかっています。

生活の中でのコグニサイズ

コグニサイズの考え方は、運動+認知課題なので、普段の生活のなかでも考え方を取り入れることができます。
例えば、ウォーキングは誰でも取り組みやすい運動課題であり、ウォーキングしながら「200から7を引いていく」ような認知課題を取り入れるとコグニサイズになります。
このように、体を動かす場面があれば認知課題を取り入れることで生活の中でもコグニサイズを行うことができます。
その他のトレーニング方法の具体例についてはこちらをご参照ください。

4色あしぶみラダー

4色あしぶみラダーの特徴

ラダーは英語で「はしご」という意味であり、写真のようにはしご状のマス目があるものを指します。
4色あしぶみラダーの特徴は、赤・青・黄・緑の4色からなっていることです。
このラダーを使用し、数字を記憶しながら足踏みををしてマス目を進み、該当の数字の所で特別な動作をする、二重課題になっています。

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実際に使用してみて

4色あしぶみラダーの基本ルールは開発された島田裕之先生の解説動画がありますのでこちらをご参照ください。
書籍には6つのパターンが紹介されています。今回はその中のひとつを行ってみました。
ルールは「赤と緑で足を外に出す」です。
実際に患者様に行ってもらったことがあるのですが、行きはスムーズにできたのですが、帰りは足を出す順番が違うために間違えてしまうこともありました。
これはかなり認知機能に負荷をかけることができるのではないかという印象を持ちました。
個人的にはラダーが一組では短いように感じたため、何個かをつなげて行うと実施しやすいように感じました。また行う方のバランス能力が低い場合、後ろにつき見守りながら行うなどの工夫も必要です。

難易度設定について

難易度設定の考え方については、「少し難しく感じる」レベルが基本的な考え方になります。「少し難しく感じる」レベルであれば脳に適度な負担をかけることができ、認知機能の向上が期待できます。逆に簡単なレベルの課題を繰り返し行っていてっも、脳に負荷はかからないため認知機能の向上は期待できません。
書籍にはバリエーション設定の考え方も書かれているので、参考にできると思います。
軽度認知障害の改善のためには、このラダー運動だけではなく、その他の運動も組み合わせることでより効果が高まると記載されており、そちらに関しては成書をご参照ください。

まとめ

軽度認知障害の状態であれば改善可能なことがわかっています。
コグニサイズは運動と認知課題を掛け合わせたトレーニング方法、認知機能の向上が期待できます。
4色あしぶみラダーはコグニサイズであり、認知機能の向上に役立ちます。
バリエーションは独自ルールを作れば豊富であり、最適なレベル設定が可能になっています。