対象者の運動学習を考えることは、基本動作やADLが日常生活の中で安全に、効率良く行えるために必要な要素です。運動学習の考え方を用いると、リハビリテーション場面での練習方法もいくつかのパターンに分けることができます。今回、運動学習の中でも、練習方法の違いとしてブロック学習とランダム学習を考えていきたいと思います。

リハと運動学習!ブロック・ランダム学習と一定・多様練習

基本動作、ADLと運動学習

基本動作やADL訓練を考える上で、運動学習の理論を考慮することは言うまでもなく行う必要があります。
それはすなわち、やみくもに練習量を確保するだけでは対象者の状態は変わりにくいのではないかということです。
もちろん現在は365日リハも行われていますし、練習量の多さが在宅復帰率を高めることは知られています。
しかしながら、練習量の確保は基本として、その練習内容において運動学習の理論を取り入れていくことが重要だと考えられます。

運動学習の理論と言っても幅が広いのですが、例えば練習方法の違い(ブロック練習とランダム練習、一定練習と多様練習)、課題の量・頻度・難易度の違い、フィードバックの違いなど様々な要素があります。
これらを考慮した上で動作能力向上に必要なことを対象者に提供できることが理想的(当たり前)だといえます。

運動学習に関しては、以下の記事も参照してください。
リハビリテーションと運動学習!保持や転移(汎化)に向けた戦略!
脳卒中片麻痺者の運動学習を高める方法:脳機能、感覚入力、運動記憶の定着
脳卒中片麻痺者のリーチ動作における運動学習の考え方
運動麻痺に対するリハビリテーションと運動学習の神経機構ー認知・注意・記憶・イメージの用い方ー

練習方法の違い

前途しましたが、練習方法には大きく分けてブッロク練習とランダム練習、一定練習と多様練習があります。
同じ練習をするにしても、4つの違いがあり、これらを組み合わせていくような考え方が必要なことがわかります。
まずはそれぞれの練習方法の違いをみていきます。

ブロック練習

ブロック練習は、リハビリテーション中に同じ課題を続けて行うことをいいます。
歩くことを考えると、例えば10分間歩く練習のみを行うようなことになります。
10分間歩いたあとに、階段や坂道、物を持ちながらの歩行などそれぞれをまたある時間続けて行うような場合をさします。
ブロック練習は、行動変化が急に現れやすいという特徴があります。

ランダム練習

ランダム練習は、リハビリテーションの中で課題を混ぜながら行うことをいいます。
歩くことを考えると、例えば同じ10分間歩くのでも歩幅を変えながら、歩くスピードを変えながら、横歩きなどを混ぜながら行います。
歩行→坂道→階段→歩行などと様々な要素を取り入れながら、ランダムに練習を行っていきます。
ランダム練習は、行動変化はゆっくりと現れますが、それを保持させやすいという特徴があります。

一定練習

一定練習では、課題を行うごとにリズム、タイミング、速度などの変数を変えないで練習する方法をさします。
歩くことを考えると、常に同じ速度で歩くことなどがあてはまります。
一定練習では行動変化が急に現れやすいという特徴があります。

多様練習

多様練習では、課題を行うごとにリズム、タイミング、速度などの変数を変えて練習する方法をさします。
歩くことを考えると、歩行速度を「今回は通常の1割増しで速く歩きましょう」「今回は通常の1割減で遅く歩きましょう」などと変えていきます。
多様練習では、行動変化はゆっくりと現れますが、それを保持させやすいという特徴があります。

それぞれの学習・練習方法の組み合わせとメリットを考える

今までのことから、学習や練習方法には違いがあることがわかりました。
では、これらをどのように組み泡合わせていくのかを考えていく必要があります。

例えば、対象者の不安が強い時期や、まずは動作が行えるようになってほしい時期(特に急性期から回復期初期)では、ブロック学習や一定練習を行うことにより動作獲得を優先させることが考えられます。
ある程度動作が獲得されてきているのであれば、ランダム練習や多様練習を組み込むことで、課題習得の保持を助けるようにしていくことが理想かと考えられます。
日常生活は行動範囲が広ければ広いほど多様な動作が必要であり、常に同じ環境や課題レベルで繰り返し練習を行うよりは、難易度を変えていく中で練習を行っていくほうが対象者にとってメリットは大きいと考えられます。