失行には、有名なものとして観念運動失行、観念失行などがありますが、これらは左右どちらの手に現れるのでしょうか。臨床観察において、そのパターンを知っておくと、疑問点の解消につながりやすくなります。今回、失行は左右どちらの手に現れるかについてまとめていきたいと思います。

失行は左右どちらの手に現れるのか!パターンを知っておくと臨床推論につながる!

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脳卒中と機能障害のパターンを知ることの重要性

脳卒中を引き起こす様々な動脈の障害は、種々の機能障害のパターンを引き起こします。

神経学的機能障害は、動脈のどの枝、どの大脳半球が影響を受けるかによって異なります。ADLの観察から考えられる神経行動学的異常が、障害を受けた部位から引き起こされる機能障害の

パターンと合っているかを考えることで、自分の仮説の裏付けをすることにつながります。

また、機能障害のパターンと異なる神経行動学的機能障害が考えられた場合は、過去の既往歴なども考慮することで、なぜそのようなことが起こっているかを考える一助とすることができます。

 

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上肢の運動はどのように起こるか

Liepmannは、すでに習得している行為が行われるには、
・運動記憶
・運動公式
・上記のもの同士の連絡や感覚情報との連携
を必要としています。

運動記憶は、手の握り離しなどの単純運動の記憶です。

運動公式は、視覚による運動の計画をさします。

これらの要素や要素同士の連携がとれなくなることで、運動性の失行が生じます。

運動性の失行とは、臨床観察では物品操作のぎこちなさや不器用さとして現れます。

少しややこしいですが話を進めていきます。

運動公式は、主に脳の左半球の頭頂葉から後頭葉に局在があるとされています。

運動記憶は中心前回や中心後回、運動前野付近に局在があるとされています。

 

次に、運動がどのように起こるかを、右上肢と左上肢に分けてみていきます。

右上肢:
右上肢では、
左半球の後頭葉(運動公式)

左頭頂葉(運動公式、感覚との連合)

左中心前回、中心後回、運動前野付近(運動記憶)

運動の発現

左上肢:
左上肢では、
左半球の後頭葉(運動公式)

左頭頂葉(運動公式、感覚との連合)

脳梁

右中心前回、中心後回、運動前野付近(運動記憶)

このような経路によって、上肢の運動が生じることになります。

このことからわかるのは、左半球は右手、左手の両側の運動発現に関与しています。

また、右半球は左手のみの運動発現に関与しています。

つまり、運動性失行は、

左半球損傷→両手に出る

右半球損傷→左手のみ

ということになります。

なお、脳梁の損傷では、左手に運動性失行が生じます。

 

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パターンと違う症状が見られる場合

臨床観察において、右半球の損傷なのに右手のぎこちなさがあり運動性失行が疑われる場合はどのように解釈すればよいでしょうか。

この場合、まず既往歴を確認して、過去に左半球損傷がなかったかを把握する必要があります。

確認した結果、そのような既往歴がなければ、身体機能的に巧緻性などを障害する原因がないかを評価していく必要があります。