橈骨遠位端骨折の術後リハビリテーションにおいては、他動運動にてリハビリを行えるようになるまでには時間がかかり、その間は自動運動による関節可動域訓練を行っていく必要があります。今回、自動運動によるROM訓練の時期に行うべき運動についてまとめていきたいと思います。

橈骨遠位端骨折のリハビリ!自動運動によるROM訓練の時期に行うべき運動

橈骨遠位端骨折術後のリハビリテーションの過程

橈骨遠位端骨折の術後においては、早期からリハビリテーションが行われますが、初めから他動運動によるROM訓練を行うわけではありません。
術後のリハビリテーション内容はドクターに確認しながら行うべきですが、大まかな流れを示していきたいと思います。

術後翌日:浮腫への対応、手指関節可動域訓練、手指屈筋腱の癒着防止、骨折部以外の上肢の運動
術後1週目(2〜3日):愛護的に、手関節・前腕の自動運動
術後1週目〜:手関節・前腕の自動運動
術後2週目〜:手関節・前腕の他動運動、無理をしない範囲での握力増強運動
術後3週目〜:握力訓練、手関節前腕筋力訓練
術後6週目〜:体重負荷による他動運動(負荷量の調整必要)
骨癒合後:コンプレッション(圧迫)を積極的に行える時期

これらの過程の中で、回復状況に応じてADLで参加できる機会をセラピストと患者様が確認し、遂行していきます。

自動運動による関節可動域訓練の種類と方法

上記をリハビリテーション過程を見るとわかりますが、手関節や前腕の自動運動を行う時期は術後2,3日から術後約2週間までの間です。
もちろん、その辺りの運動方法の選択にはドクターと協働しながら決定していく必要があります。

手関節の自動運動を考えた場合には、手関節掌屈(屈曲)・背屈(伸展)・尺屈・橈屈運動があります。
これらの自動運動を行っていく必要があります。
ポイントとしては、健側で患側の手関節を固定しながら行うことで手関節の運動を引き出しやすくなります。
なお、痛みが生じる場合には無理をせず、初めは愛護的に行ってもらうように進めていきます。

手関節掌屈の自動運動を行う時のポイント

我々が手関節掌屈を行う時は、自然に自然に手関節は尺屈方向の運動が伴います。
そのため、手関節掌屈運動の可動域を拡大させるためには、手関節尺屈を伴うように意識してもらうことが必要です。
なお、手関節掌屈運動には手根中央関節が主に関与するとされています。

手関節背屈を行う時のポイント

我々が手関節背屈を行う時は、自然に手関節は橈屈方向の運動が伴います。
そのため、手関節背屈運動の可動域を拡大させるためには、手関節橈屈を伴うように意識してもらうことが必要です。

前腕の時自動運動を行う時のポイント

前腕の自動運動を行う時には、運動の広がりによる代償運動に注意する必要があります。
前腕回内運動では肩関節外転による代償がみられる場合があります。
また前腕回外運動では肩関節内転による代償がみられる場合があります。
代償運動を生じさせないようにするためにも、上肢を体側に固定させながら行うことが大切になります。

ダーツ様運動の重要性

手関節の自動運動を考える場合に、ダーツ様運動を行うことも重要です。
「ダーツスローモーション」とも呼ばれている運動ですが、その名の通りダーツのような動きを自動運動にて行うことをさします。

この運動では、主に手根中央関節の動きが促される運動です。
手根中央関節は近位手根骨列と遠位手根骨列により構成される関節になります。
また、ダーツ様運動では手関節尺屈と橈屈運動が促されます。

自主練習を習慣化させる

セラピストが行うリハビリの時間は限られているため、患者様が自主的に自動運動を行う時間を確保することが大切になります。
そのためには、自主練習の必要性と実施方法のポイントを説明(または写真などの配布)することも大切です。
また、セラピストと患者様がともに目標を共有することで、訓練意欲が高まる事が期待されます。
しっかりと話をする中で情報収集を行い、訓練に取り組んでいく事が必要になります。
セラピストはわずかな変化にも気づき、フィードバックすることでその変化を共有し、患者様の意欲を高めていくようにすることも大切です。