立ち上がり動作や着座動作は、日常生活上で行う頻度も高くあります。着座動作の介助の仕方によっては、動作に必要な筋活動を阻害するような介助方法になっていることもあり、注意が必要になります。今回、着座動作のバイオメカニクスと必要な筋活動、介助のポイントについて、まとめていきたいと思います。

着座動作のバイオメカニクスと必要な筋活動、介助のポイント

動作のバイオメカニクスと介助についてもっと学びたい方は

 

着座動作でよくみられる問題点

着座動作でよく観察される事として「ドスン座り」があります。
椅子の座面に向かってブレーキをかけることができず、勢いよく座面に向かってしまうために臀部を座面に打ち付けるようにして座ってしまうのです。

このような動作で着座を行うと、圧迫骨折の引き金になることもあり、日常生活場面でも「ゆっくりと座って!」と注意する場面はよく見かけます。
しかし、患者さんの多くは着座動作に必要な筋活動(ブレーキをかけるような筋収縮:遠心性筋収縮)を行えないために、ドスン座りとなってしまうのです。
そして、普段の介助場面において、介助者がドスン座りを誘発してしまっていることもあるため、注意が必要です。

 

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着座動作のバイオメカニクス、必要な筋活動

着座動作は、立ち上がり動作とは全く違う筋活動を用いて動作が行われます。
着座動作に必要な筋肉の収縮様式は、ブレーキをかけるような「遠心性収縮」です。
着座動作は、関節運動の視点からすると屈曲方向に動きますが、動作に必要な筋肉は全て伸筋です。
これらのことから、着座動作では、下肢の伸筋を遠心性収縮によりコントロールする必要があることがわかります。

立位の状態から膝をまげて座っていくためには、まず足関節を背屈させる必要があります。
このときは、足関節の底屈筋を緩めることで脛骨が前方に移動し(体重が前方に移動)、膝関節が屈曲しやすくなります。
注意しておきたいことは、決して股関節が先に曲がるわけではありません。
股関節が先に曲がってしまうと、膝関節は伸展方向に動いてしまうため、着座動作は開始できません。

その後、大腿四頭筋の遠心性収縮により膝関節にブレーキをかけながら屈曲し、股関節伸筋(大殿筋など)によりブレーキをかけながら股関節を屈曲させていきます。

対象者の方でよくみられる動きは、腰椎(特に第3腰椎)を屈曲させ、骨盤後傾位となり、胸椎(特に第9胸椎)も屈曲が起きてしまうことです。
このような屈曲の動きが入ってしまうと、膝関節や股関節の伸筋群は「ON」には決してなりません。
そのため、ブレーキがかけられずドスン座りになってしまったり、座面に手をつきながら座る、物を持ちながら(引っ張りながら)座ろうとする動きになるのは当然ともいえます。

このことから、着座動作では腰椎屈曲・骨盤後傾、胸椎を屈曲させず、体幹は伸展位(どちらかというと上に向かう動き)に保っておく必要があります。
自分の前にある、少し遠くの対象物を取りに行く動作を思い浮かべてください。骨盤は前傾し、腰椎や胸椎は伸展しながら股関節は屈曲するような動きです。このような動きはまさに着座動作と同じような動きになります。

 

着座動作の介助のポイント

着座動作の介助場面において、我々がよくやってしまうことは、対象者がすぐに後方に移動しようとすることを許してしまうことや、介助者がすぐに後方に誘導してしまうことです。
前途した着座の開始動作を思い浮かべてみると、はじめは体重が前方に移動する動きでした。
このことから介助においては、はじめは後方に誘導するのではなく、前方に移動させ、膝を屈曲させるような誘導が必要といえます。
このとき、「おじぎするように」などと誘導してはいけません。
おじぎをすることは、体幹は屈曲位になってしまいます。
着座動作では体幹は伸展している必要があるため、このような動作指示をしてしまうと下肢の伸筋群の働きが見られず、ドスン座りを誘導してしまうことになります。
腰椎部が屈曲しないように手で誘導しながら体重を前方に移動させることが必要になります。

 

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着座動作のバイオメカニクスと介助のポイントのまとめ

①着座動作では下肢の伸筋が使われる
②筋収縮は遠心性収縮によりブレーキをかけながら動作が行われる
③腰椎・胸椎屈曲、骨盤後傾位にならず、体幹は伸展をキープすることが必要
④介助ではすぐに後方に誘導せず、体幹伸展をキープしながら、体重を前方に移動してから膝関節を屈曲させやすいようにする

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