肩関節痛(夜間痛、収縮時痛)に対しては、腱板筋のリラクゼーションを行うことはよく知られています。今回は、夜間時痛や収縮時痛の際に、なぜ腱板筋にリラクゼーションを行うのか、またその方法についてまとめていきます。

肩の夜間痛、収縮時痛に対する腱板筋のリラクセーション

腱板筋のリラクセーション手技を学びたい場合は

 

夜間時痛、収縮時痛と腱板筋の関係

夜間時痛を引き起こすと考えられている原因には様々なものがありますが、腱板筋と深い関係にあるのは骨内圧の高さです。
腱板筋は上腕骨の大結節や小結節についています。腱板筋が持続的に収縮している状態(高緊張、スパズム)だと、腱板が骨についているため骨内圧が高くなります。
これが、夜間時痛につながるとされています。そのため、骨内圧を減圧させるには、腱板筋のリラクセーションを図り、筋緊張を低下させる必要があります。
夜間痛に関しては以下の記事も参照してください。
肩関節と夜間痛!肩関節内転制限の原因と評価、アプローチ!
夜寝ている時に肩が痛くなる、夜間痛の原因と対処方法
肩関節上方支持組織の癒着と肩峰下圧、夜間痛の評価

次に収縮時痛を考えていきます。
肩関節挙上時、特に0-60°付近での痛みでは、腱板筋の炎症が強いことによって痛みが生じている可能性があります。
また、筋の攣縮(スパズム)があると、血管の攣縮も同時に存在するため、静脈の血流が滞り、筋内圧が上昇します。このような状態では収縮時痛(特に等尺性収縮)が強く出現します。
そのため、収縮時痛がある際にも、腱板筋のリラクセーションを図り、筋の攣縮を軽減させる必要があります。

収縮時にどこの腱板が痛いのか

腱板筋のリラクセーションを行うには、どの腱板が原因で痛みが生じているかを評価する必要があります。
肩の挙げ始め(0-60°)付近での収縮時痛には、等尺性収縮によるテストを行うことで、おおよその見当をつけることができます。
テストの詳細については、以下の記事を参照してください。
肩の動作時痛(挙げ始め:0-60°)における腱板機能テストと結果の解釈

おおよその見当をつける目安としては、
上腕骨内外旋中間位で収縮時痛(+):全腱板、棘上筋、棘下筋上部
上腕骨内旋位で収縮時痛(+):棘下筋上部、棘上筋後部
上腕骨外旋位で収縮時痛(+):肩甲下筋上部、上腕二頭筋長頭、棘上筋前部
となります。

腱板筋に対するリラクゼーションの方法

腱板筋のリラクセーションに関しては、筋の短縮-収縮位の運度を他動的に繰り返すことが必要です。
書籍によっては、筋の短縮-収縮位の運動の際に軽い等尺性収縮を加えることで筋ポンプ作用が得られるともされています。

反復的に筋収縮を行うと、筋ポンプ作用により筋肉の血液循環やリンパ液還流を促通するため、筋内浮腫の改善とともに発痛関連物質の除去に有効である。

肩関節拘縮の評価と運動療法

以下に、各腱板筋の短縮・伸張位を挙げていきます。

短縮位

伸張位

棘上筋前部

内旋、外転

外旋、内転

棘上筋後部

外旋、外転

内旋、内転

棘下筋上部

外旋、外転

内旋、内転

棘下筋下部

外旋、内転

内旋、外転

小円筋

外旋、内転

内旋、外転

肩甲下筋上部

内旋、外転

外旋、内転

肩甲下筋下部

内旋、内転

外旋、外転

表を見ると、「なんてややこしい」!と思うかもしれませんが、腱板筋の走行をイメージできると、表をそのまま覚えなくてもよいので、まずは筋の起始停止をしっかりと復習することが大切です。

短縮-伸張位をリズミカルに繰り返すことで、腱板筋の炎症や筋攣縮の軽減を図り、夜間痛の有無や収縮時痛の軽減が見られるかを都度確認していきます。