認知症のQOL評価のひとつに、ARS、改変ARSがあります。今回、その概要と評価方法、結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

ARS、改変ARSの概要と評価方法、結果の解釈

文献

土屋景子ら「痴呆高齢者に対する主観的満足度の評価方法の検討 ー感情を指標としてー」川崎医療福祉学会誌 Vol.12,No.2,2002

ARS、改変ARSの概要

ARS(Affect Rating Scale)は、Lawtonが開発した認知症者に対する感情評価の評価尺度です。
ARSでは、肯定的感情(楽しみ、関心、満足)と否定的感情(怒り、不安・恐れ、抑うつ、悲哀、)の6つの感情を20分にわたり観察し、5段階の評価を行うものです。
認知症高齢者では、質問紙による主観的なQOL評価が行えない場合もあり、肯定的感情や否定的感情を測定することはQOL評価のひとつになります。

改変ARSは、10分の観察時間により、「評価できない」「なし」は0点、16秒未満を1点、16〜59秒は2点、1〜5分は2点、5分以上を4点としています。
また、肯定的感情はプラスの得点、否定的感情はマイナスの得点とします。
点数は−12点から+12点となります。

認知症に対する評価スケールに関しては、以下の記事も参照してください。
認知症のADL評価:SCR-DEの概要と評価方法、結果の解釈
認知症者のADL評価:DADの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:ARS、改変ARSの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:おだやかスケールの概要と評価方法、結果の解釈
認知症のQOL評価:DHCの概要と評価方法、結果の解釈
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ARS、改変ARSの概要の評価方法

評価項目

楽しみ
ほほえむ、笑う、親しみのある様子で触れる、うなずく、うたう、腕を開いた身振り、手や腕を伸ばす

関心
目で物を追う、人や物をじっとみたり追う、表情や動作での反応がある、アイコンタクトがある、音楽に体での動きや言葉での反応がある、人や物に対して体をむけたり動かす

満足
くつろいだ姿勢で座ったり横になっている、緊張のない表情、動作が穏やか

怒り
歯を食いしばる、しかめ面、叫ぶ、悪態をつく、しかる、押しのける、こぶしを振る、口をとがらす、目を細める、眉をひそめるなどの怒りを示す身振り

不安・恐れ
額にしわを寄せる、落ち着きなくソワソワする、同じ動作を繰り返す、恐れやイライラした表情、ため息、他から孤立している、震え、緊張した表情、頻回に叫ぶ、手を握りしめる、足をゆする

抑うつ・悲哀
声を上げて泣く、涙を流す、嘆く、うなだれる、無表情、目を拭く

ARSでは、5段階(評価できない、なし、16秒未満、16〜59秒、1〜5分、5分以上)で評価します。

改変ARSでは、前途したように各段階で点数をつけていきます。

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ARS、改変ARSの結果の解釈

認知症高齢者の表情や声の質、体の動き・身振りや様子を観察することにより、感情を評価することが可能で、それを指標としてリハビリテーションの効果を検証することに用いることができます。
また、普段の生活場面での様子を観察により評価することで、その場所が認知症高齢者にとって、安心できる場所、人、作業なのかを把握することも可能と思われます。
それをもとに、どのような環境設定で、どのような声のかけ方で、どのような人達と一緒に過ごしている時が安心、平穏、リラックスを感じているのかを考えるための助けにもなります。
このような感情評価をQOLとして捉えることには意義があります。

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