今回は失行について知識をまとめることにしました。

失行のリハビリテーションのための知識の整理

失行についてもっと学びたい方は

失行とは

失行とは、脳が障害されることで、以前に学習されていた自らの意思による行為を行う能力が障害されることをさします。
失行患者では、ある行動や動作を行うと、正常の動作とは部分的に、もしくは全てが違うという特徴があります。
同じ動作でも出来るときとできない時があり、間違いが一定しているわけではありません。

失行でないもの

失行ではないものとして、以下のものが挙げられます。

運動障害
運動麻痺麻痺、失調、不随意運動などがあると、動作ができなかったり、スムーズでなくぎこちないことが観察されます。

失語
理解の障害があると、指示通りに行えないことが観察されます。
失行は、失語症と合併して起こることがありますが、独立して起こることもあります。

認知の障害
視覚失認、触覚失認、視空間性障害(半側空間無視)があると、動作がうまく行えなくなります。
重度認知症、全般性注意障害・感覚、視覚フィードバックの障害も同様です。

失行はどちらの手に起こるか

脳の左半球損傷では左右どちらも起こる可能性があり、右半球損傷であれば左手に起こるのがパターンになります。

 

症状

スクリーニングテスト
・バイバイをする
・おいでおいでをする
・敬礼をする
・歯ブラシを持ったつもりで歯を磨く真似をする
・櫛を持ったつもりで髪をとかす真似をする
・ドアに鍵をかける真似をする・金槌を持ったつもりで釘を打つ真似をする

*最初に言葉で伝えて行ってもらいます。そのときにうまくできない場合真似(模倣)をさせます。
*失語による理解障害があるの場合、物品やその写真を示すことで、動作が行えるかを確認していきます。

課題遂行の一般的特徴
・言葉で「◯◯を行ってください」と言うよりも、模倣の方が簡単だとされています。
・物品を使う真似するよりも実際の日常生活で自然に使用する方が簡単だとされています。
・検査場面よりも自然な日常生活場面の方が簡単だとされています。

*症状は様々であり、上記とは逆のパターンももちろんあります。

検査、評価

注意点
失語の理解障害によりエラーが生じるという可能性を無くすようにします。
失語があっても、「◯◯をしてください」と、口頭命令により、それらしい動作が行えるのであれば、指示理解可能と考えることができます。
動作を始めない、何をしてよいかわかっていない様子が観察されたばい場合、実物や写真、模倣を用いて道具の使用が適切にできるかをみていきます。
言葉で模倣するよう伝えてもわからない場合、セラピストが対象者以外の者に模倣させている様子を見せ、それを見て動作が行えるかを判断していきます。
上記の結果より、口頭命令が理解できているのに動作にエラーが起きる、模倣が上手くできない場合、失行があると判断していきます。

検査内容

象徴的行為:
口頭命令と模倣を実施する。「兵隊さんの敬礼」、「さようならと手を振る」のようなもの。

道具使用のパントマイム:
口頭命令と上手くできない時には模倣を実施する。「金槌で釘を打つ」(道具とその作用対象をイメージする)、「櫛で髪をとかす」(道具と自己身体が作用対象)のようなもの。
口頭命令では「歯ブラシを持ったつもりで歯を磨く真似をしてください」と指示する。
指を物品に見立てる(人差し指を歯ブラシに見立てるなど)場合、「◯◯を持ったつもりで」と強調する。
失語で理解不十分な場合、道具の実物や写真を見せる(見せる時間は短く、遂行時には隠す)。

道具の使用:
パントマイムで用いた行為と同じ動作を実際に道具を使用して行う。

失行検査の誤反応(エラー)分類

誤りがある動作を具体的に記載し、おおまかに時間的誤り、空間的誤り、概念的誤り、保続のうちどれが目立つかを把握しておく。
私の場合、運動性失行(道具の使用がぎこちない、道具をうまくあつかえない)、観念性失行(行為のアイデアがない、順序が立てられない、道具の使い方が間違って居る)、保続(同じことを続けてしまう)という考え方で失行のエラーを捉えています。

無意味ジェスチャー

無意味な手と上肢の姿勢の模倣(頭部やその部分と手との位置関係、手の向き)。手指の形の模倣(チョキなど)。

ジェスチャーの認知

失行のリハビリにおいて、ジェスチャーを手がかり刺激にすることがあるためその認知を検査しておくことは有効。口頭命令や視覚提示で身振りを遂行することをパントマイム、パントマイムや姿勢を提示する場合をジェスチャーとする。

ジェスチャーの呼称:他者が行うパントマイムを呼称
ジェスチャーの理解:他者がパントマイムを行うのを見て、対応する物品を選択
ジェスチャーの識別:道具の使用に適切表現しているものを他者が行う複数のパントマイムから選択。正当以外の選択肢には運動の誤り、上肢の方向の誤りを入れる。

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パントマイムでの失行と日常生活動作の関連

パントマイムで失行を認める場合、食事動作での誤反応が多く、入浴、排泄、整容動作で介助量が多いという報告がある。

一般的には、パントマイムを失行の鋭敏な検査と捉えて、空間的・時間的誤反応を示す場合を(観念運動)失行と捉えてよさそうである。失行患者で道具の使用の方が容易であるのは、触ることによって道具の特徴的機構がわかり、対象物との関係から動作の位置や距離も規定されるためであるという説明がある。

高次脳機能障害学 第2版 P67

失行の病巣

上肢の失行は左半球損傷で起こる。

道具使用のパントマイム

・道具使用のパントマイムの障害は下前頭回、隣接する島、中心前回の関与が言われるが、頭頂葉でも起こることはある。
・パントマイムでは左頭頂葉が賦活されると言われている。

道具の使用

・縁上回の関与。
・中前頭回後部を中心とする領域は、頭頂葉病巣での道具使用の障害を悪化させる可能性あり。

無意味ジェスチャー

手の姿勢(位置・向き)の模倣障害は、左半球の下頭頂小葉と側頭ー頭頂ー口頭接合部を損傷する後方病巣と関連する
〜以下省略〜
一方、、手指の形の模倣障害は下前頭回の弁蓋部を含む前方病巣と関連するという。

高次脳機能障害学 第2版 P70

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