健康な人間は左右を平等に見ることができます。半側空間無視は、その一側が障害されます。それにより日常生活上様々な弊害を生じさせてしまいます。
今回、半側空間無視の特徴とその症状について、書いていきます。

半側空間無視の特徴とその症状

半側空間無視について、もっと学びたい方は

半側空間無視とは

半側空間無視とは、大脳半球病巣と反対側の刺激に対して、発見して報告したり、反応したり、その方向を向いたりすることが障害される病態である。

高次脳機能障害学 第2版 P151

半側空間無視は、その多くが左側を無視してしまう、いわゆる「左無視」の症状が出現します。
これは、脳の右半球の損傷によるものです。
A-ONEの講習会では、右半側空間無視という症状は、無視ではなく、他の要素から生じているのかもしれないと話をされていたような記憶があります(曖昧ですみません)。

頭や視線を左側にしても半側空間無視は生じることから、半盲などの視野障害とは鑑別が重要になります。
半側空間無視では、自身の症状に対する認識力(アウェアネス)が低下しているとされています。
そのため、なかなか代償方法を獲得しにくいということがあります。

視野障害の場合では、対座法にて1点を固視した時に、一部の視野にある視覚的刺激に気づくことができないという症状が生じます。
先ほども述べましたが、半側空間無視では、視線の場所に限らず無視症状が起こります。
また、半側空間無視と半盲は同時に存在していることもあります。

 

無視のパターン(色々な状況で無視が起こる)

半側空間無視では、色々な状況において無視が生じます。
まず、自分の体を中心として、左右の空間を無視する場合です。
無視の境界線みたいなものはなく、その時の課題の状況ににより無視が生じる範囲は変化します。

また、ひとつの物や枠組みに対する無視も生じることがあります(物体中心の無視)。
例えば、ご飯を食べていて、お皿の中の左半分を残しているような場合です。
最初の説明での無視の場合、自分の真ん中よりも左側にあるおさらに気がつかないといった症状になります。

【スポンサーリンク】

 

半側空間無視の症状

①急性期
重度の症状では、ベッド上臥位で頭部、眼球が右方向へ向いていることがあります。正面を向いていても、左側に気づかず、声かけに対して右側ばかり探索することがあります。

②ベッド上、車椅子座位
左側に置かれたナースコール、リモコンなどが見つけられなくなります。
食事では左空間の皿に手をつけなかったり、皿の左半分を残したりします。
服の着替えでは、服の上下左右がわからなかったり、左側の袖を通さず放置していることがあります。
本を読むと左側を見落としたり、電話では電話番号をうまく押せなかったりします。
電話番号を押す課題はBITの検査課題でもありますね。

③移動
移乗では左側ブレーキのかけ忘れ、フットレストの上げ下げを忘れることで転倒のリスクが高まります。
車椅子駆動では左側をぶつけやすく、歩行場面では体の左側をぶつけやすくなります。また、左に曲げるべき箇所を見逃したりします。

④病識
左側の見落としの病態に対して無関心であることが多いです。日常場面で左側の見落としを指摘されることで、「注意して左を見るようにしています」と言うようにはなるが、自分でそう思うかを問うと「自分では見ているつもり」「見えることは見える」など、病識の乏しさが目立ちます。
半側空間無視で半盲等の視野障害に気づく者もいますが、代償動作として左への視線移動はない、または乏しいことが多いです。

⑤物品認知
半側空間無視では、まとまりのよいものや顔は認知できることが多いです。
しかし、右側だけ見ても判断できないもの(例えば金槌)では、提示の仕方により「棒」と答えることがあります。
一方で、右側だけでは何かわからない場合には、左側まで見ようとすることがあります。これは、脳内の物品イメージは保たれていることが示唆されます。

⑥自己身体の認知
指示により自分の身体の左側を指し示したり、触ることができないことがあります。急性期に多い病態ですが、慢性期まで残ることは少ないと言われています。

症状は以上のようなものがあり、それぞれに対してアプローチしていく必要があります。
また、家族に対しても、半側空間無視の症状や日常生活への影響、普段の接し方などの注意点を共有しておくことが大切です。
家族は不安だらけだと思いますので、積極的にコミュニケーションをとり、対象者の状況を伝え、家族の思い、感じ方など精神面のフォローも行ってほしいと思います。

【スポンサーリンク】