脊髄損傷者では、移乗動作を自分で行えるか否かで、QOLに大きく関わります。今回、脊髄損傷者の移乗動作(直角移乗)のポイントについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 脊髄損傷と移乗動作(直角移乗)のポイント

脊髄損傷の動作について勉強したい場合

脊髄損傷者における移乗動作

脊髄損傷者の移乗動作には、直角移乗、側方移乗があります。
脊髄損傷では同じ機能レベルでも、年齢、性別、運動歴、筋力、関節可動域、痙性、体型、体力、バランス学習能力、恐怖心・不安感などにより個人差があります。
対象者の状態を見極めながら動作練習をおこなっていく必要があります。
直角移乗は以下のような移乗方法です(あくまでイメージ)。

f:id:happyhealth:20171116221119p:plain
出典:http://arizono.co.jp/wp-content/uploads/2017/10/transfar02.pdf

 

直角移乗のポイント(車椅子の位置)

直角移乗では、車いすをベッドに対して30cm程度あけてアプローチします。
これは、下肢をベッド上に乗せる際に下肢を持ち上げるためです。
間が狭すぎると、足が引っかかる恐れがあります。
足を引っ掛けると、足に傷ができてしまうことがあるため注意が必要です。

【スポンサーリンク】

 

直角移乗のポイント(車いす上の姿勢)

足を上げる前段階として、殿部を前方にずらす必要があります。
殿部を前方にずらすことで、体幹が後方に倒れにくくなり、足の挙上が行いやすくなります。
また殿部が前方にあることで、移動距離が少なくてすみます。
片側ずつ交互にずらす
片方の腕ををグリップにかけ、体幹を固定するポイントを作り、バランスを保ちやすくします。
反対側の体幹を回旋、伸展させながら殿部を前方にずらします。

両側を同時にずらす
両肘を屈曲、手関節背屈させアームレストに引っ掛け固定します。
体幹を伸展させ殿部を前方にずらします。

*体幹を伸展させる動作は恐怖感を伴うので、開始時は片側ずつ交互にずらす方法から始めることが推奨されています。
 一気にずらすと恐怖感を伴うので、ゆっくりとずらすことで恐怖感を減らしながら動作を行うことができます。

【スポンサーリンク】

 

直角移乗のポイント(足の持ち上げ)

片方の腕をグリップにかけ、体幹の固定をつくり、バランスが保ちやすいようにします。
反対側の手首を膝下に入れ、肘を曲げ、手関節背屈させながら足を持ち上げます。
引き上げた足を反対側の足に乗せ(足組動作:股関節屈曲、外転、外旋の可動域が必要)、靴の着脱を行う。
足組動作が行えない場合、しっかりとストレッチを行う必要があります。
足がベッドに乗ったら、足を伸ばしベッド上に乗せ、反対側の足も同様に行います。

*手関節背屈が不十分な場合、足上げループを前足部にひっかけ上肢で持ち上げます。

直角移乗のポイント(手の位置)

ベッドに足が乗ったら、車椅子をベッドにできる限り近づけます。
両側肩関節伸展、肘を伸ばした状態で保持し、ハンドリムを押して体幹を前屈します。
殿部の位置が進めば、手の位置をハンドリムやアームレスト、ベッド上などに置き換えプッシュアップしていきます。

直角移乗のポイント(プッシュアップ)

長座位で体幹を前屈させ、手での押し出しにより動作開始し、プッシュアップにより殿部を前方移動させます。
後方移動ではお尻が浮いた側の肩を後方に引く動作をリズムよく行い殿部を移動させます。

*SLR(仰向けで、膝を伸ばして股関節を曲げる動作)は約100°が理想です。SLRが100°未満だと、骨盤後傾により代償的に体幹、膝関節が大きく曲がり、、座位バランスが崩れるほか、足とマットとの摩擦抵抗が強くなってしまいます。
*体幹前屈位をとると、座位が安定しプッシュアップ動作が行いやすくなります。
*ベッドから車いすの後方移動では、ベッド側を少し高くすることで重力を利用します。

直角移乗のポイント(プッシュアップ能力が低く、体幹前屈位から起き上がりにくい場合)

・頭を受けるためのブロック(ウレタン製、1辺が20〜30cm程度)を使用します

直角移乗のポイント(トランスファーボード、すべり布(スライディングシート)の使用)

プッシュアップ能力が低い場合、殿部が車いすとベッドの間から落ちてしまう危険性があるため、トランスファーボードを使用することがあります。

f:id:happyhealth:20171116220510p:plain
出典:http://arizono.co.jp/wp-content/uploads/2017/10/transfar02.pdf

通常のトランスファーボードを殿部に差し込み行う場合もあります。

ベッドにすべり布(スライディングシート)を設置すると、さらに行いやすくなります。

ブログには書けない裏話、更新通知、友だち限定情報などを配信(完全無料)!まずは友だち追加を♪ 友だち追加