認知症者のQOL評価のひとつに、生活健康スケールがあります。今回、生活健康スケールの概要と評価方法、結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 生活健康スケールの概要と評価方法、結果の解釈

文献

中島紀恵子「痴呆性老人のデイケアにおける「生活健康スケール」作成の試み」生きいきジャーナル 第4巻 第3号 別刷 1994,8

生活健康スケールの概要

生活健康スケールはデイケアなどに通所する認知症高齢者の生活者としての健全さ、健康さを、職員が積極的に見守りデイケアを効果的に進められることを助けれるように、開発されたものです。
生活健康スケールは20項目から構成され、4件法で評価されます。
生活健康スケールでは、「常識や好みに応じて人環境を選択的に使い分けられる力」「身振り表現、振る舞いなどの身体技法における表現力」「おかれている場を許容して操作的に扱える力」の3つの面からなります。

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生活健康スケールの評価方法

評価ではあくまで個人を見るものであって、他者との比較で行うものではありません。
3:かなりみられる
2:ややみられる
1:あまりみられない
0:全くみられない


 

仲間への気配りがある
3:仲間の感情や集団全体の動きに気を配り、適切にそれを表現できる。
2:気を配る様子はあるが、状況にマッチした気配りにはならないことのほうが多い。 1:どちらかといえば0に近い。
0:仲間のほうへ目が向かない。

聞こうとする態度がある
3:話しかけられているとき、聞いているというように身構えをし、うなずいたり聞き返したりして嫌なことは嫌、好きなことは好きと言える。表現力がある。
2聞こうという身構えはあるが、表現力のスムーズさには劣る。どちらかといえば3に近い。
1:どちらかといえば0に近い。
0:聞こうとする身構えさえ難しい。

身だしなみに気をつかう
3:立ち居振る舞いのなかで、服装の乱れを整えようとする。おしゃれ心がある。仲間の服装の乱れ にも気づいて注意することがある。人の服装や髪型などをほめることがある。
2:どちらかといえば1に近い。
1:服装などおしゃれ心はあまりみられないが、汚したりすると、気にし、困惑して落ち着きさを失ってしまう。
0:汚れや湿りに関して全く無頓着。

自分の居場所をみつけることがうまい
3:施設のルーム空間を、自分の家のように安心しきって振る舞っている。
2:安心していられる定まった場所がいくつかある。言われなくとも自分で選択している場所に行くことができる。
1:くつろいでいる様子ではないが、身のおきどころがないという感じではない。
0:身の置きどころがない感じで落ち着かない。

人にものが頼める
3:頼みごとの表現力が豊かで自然。何をしてもらいたいたかがよく伝わり、してもらったことに感謝する言動も的確。
2:頼みごとをすることはできるが、何をしてもらいたいかがわかりにくい。世話されたことにはありがたさを素直に表現する。
1:頼みごとがあっても感謝の表現が出ない。どちらかといえば0に近い。
0:頼むことはできない。世話を受けてもぼんやりしている。気づかない。

自分の意志を示せる
3:したくないこと、したいこと、してほしいこと、してほしくないことをはっきり示せる。
2:どちらかといえば3に近い。
1:どちらかといえばに近い。
0:意志を全く示せない。

人をなごませる雰囲気がある
3:その人の言ったりすることが契機になって周りをなごます。ムードメーカー。
2:いつもそれとなくいる人だが、同調したり、あいづちをうったりすることがうまい。いないときはいてほしいと思える人。
1:むら気が強く、時々周りをしらけさせるが、たまに気分のよいときには楽しそう。 0:いつも興奮気味で気難しい。人をなごませてくれない。周りの人が逃げ出したくなるような雰囲気。

集団遊びができる
3:ゲーム(レクリエーション)に夢中になって楽しみ、競争に興ずることができる。遊びの中心的役割を果たしている。参加しないときには観客の役目を果たしている。
2:時々参加を拒否するが、参加したときは楽しそう。
1:どちらかといえば0に近い。
0:できない。無関心・無感動。

外出を楽しめる
3:自然、人物、風物に関心を示し、感動したり、批判したりする。活気が出る。
2:受け身ながら、やわらかな顔で風物と接触している感じ。自在な感じ。
1:連れ出すのが大変。連れ出すことができたときは、どちらかといえば2に近い。
0:連れ出すのが大変。外に出ても自分に閉じこもって自由になれない。

人の使いわけがうまい
3:時と状況によって必要な人を使いわけられる。人をかぎわけられる。
2:人の使いわけをしようとするが、あまり上手ではない。
1:人の使いわけはしようとせず、受け身に従うことが多い。
0:人の使いわけ、人間関係などに全く無関係。

思い出話がうまい
3:自慢話が嫌みでない。昔の得意な(いい時代の)ことになると聴き手に合わせて作り話(前後不明)を巧みに織り込んで辻褄を合わせて話を続けることができる。表現力がある。
2:どちらかというと作り話は下手だが、聴き手によってパターンを変えられる。
1:短編の繰り返し。聴き手が違ってもワンパターン。どちらかといえば 0 に近い。
0:聴き手にお構いなし。人と話すことがない。うんざりさせられてしまう。

人をほめるのがうまい
3:上手におせじを使うなど、ほめる言葉をたくさん持っていて、ほぼ的確に表現できる。巧みに言葉を用いる。
2:おせじやほめる言葉の語数は少ない。自分から人をほめることはまれだが、人のほめ言葉にわが意を得たりと同意、同調できる。
1:ほめ言葉を自分から発することはできない。積極的な同意や同調はできないが、その場の雰囲気には心地良さそうな顔をしている。
0:ほめ言葉が全く出ない。

礼節・道徳への関心がある
3:礼節がある。仲間や職員の、物を大切にしない態度、礼儀のなさ、ぞんざいな言葉などに対して、 批判的な態度を示すことがよくある。また非常識なことや犯罪などに関心をもって聞く。
2:時々そのようなことがある。どちらかといえば3に近い。
1:どちらかといえば0に近い。
0:全くそのような様子はみられない。

手伝おうとする
3:準備や片付けの様子を見て、自発的に手伝おうとする。
2:自発的ではないがお願いすればしてくれる。
1:お願いしても手伝うことはできない。ただし期待されている役割があることを察知して、手伝いに似た行動をとっている。
0:お願いしても全く反応なし。

表情が豊かである
3:喜怒哀楽の表情が豊か。ただし「顔に出してはいけないとき」を心得ている。
2:喜怒哀楽の表情は豊かであるが、状況によってコントロールすることは難しい。
1:表情豊かとはいえないが、表情に硬さはない。
0:表情が硬く、能面のような顔のときが多い。

生きいきした目をしている
3:目線が落ち着いている。 目線がハッキリしている。 相手の目線を見て態度を変えることができる。
2:目線は落ち着いているが、相手の目線を見て態度を変えることまではできない。
1:目線が落ち着かず、こちらが目線を合わせても瞬時の反応が返ってくる程度。
0:目線が落ち着かず、目線を合わすことさえ難しい。目に活気がない。

待っていられる
3:言われると納得し、我慢して待っていられる。
2:どちらかといえば3に近い。
1:どちらかといえば0に近い。
0:瞬時も待っていられない。

人をひきつける雰囲気がある
3: 自分尾思っていること、 感じていることを相手に伝えることがうまい。 魅力的。 憎めなさがあり、 感動させ られてしまうことがある。
2:時々そのようなことがある。どちらかといえば3に近い。
1:自分の思っていること、感じていることの伝え方がくどくどしい。攻撃的。 どちらかといえば0に近い。
0:「できれば関わりたくない」と、こちらに思わせてしまう。

好奇心がある
3:新しい物、遊び、外出ルートを変えることを気にする様子はない。ときにはやりたがる態度を示す。ものの使い方を工夫したり発明したりするようなこともある。
2:どちらかといえば3に近い。
1:どちらかといえば 0 に近い。
0:新しいやり方を拒む、嫌がる。受け付けない。

楽しみにしていることがある
3:ここに来ること(この場のことを記憶していなくとも)心待ちにしていることがある。
2:どちらかといえば3に近い。
1:どちらかといえば0に近い。
0:心待ちにしている様子は全くみられない。

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生活健康スケールの結果の解釈

生活健康スケールも用いることにより、認知症高齢者の個人が持っている強みを知ることができます。
強みをしることはそれを生かしてケアの視点にすることが可能です。
また、評価点が低いところは本人が不安になりやすい、焦燥感にかられやすい側面でもあります。
そのような所は、環境調整やコミュニケーション方法、作業への参加方法などを検討し、どのようにしたら良い反応が得られるかを知る手がかりにすることができます。

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