リハビリテーションにおいて、運動学習を促し、学習されたことを保持させ、様々な場面で利用・応用できることは大切な要素になります。そのためには、多様練習を多く取り入れられているかということも重要になります。今回、リハビリテーションと運動学習における、立ち上がり訓練での多様練習についてまとめていきたいと思います。

リハビリテーションと運動学習:立ち上がり訓練における多様練習

多様練習とは

多様練習とは、運動学習理論における練習方法のひとつになります。
練習方法には様々な考え方がありますが、多様練習と一定練習は反対の考え方になります。

多様練習:
リハビリテーション場面において、課題の施行ごとに変数(条件)を変えずに行う練習方法。

一定練習:
リハビリテーション場面において、課題の施行ごとに変数(条件)を変えて行う練習方法。

例えば、リーチ動作練習を行う場合に、
一定練習:同じ距離、同じ方向、同じ物に対してリーチを行う。
多様練習:毎回違う距離、違う方向、違う物(重さ、形態、材質など)に対してリーチを行う。
といったような条件になります。

一定練習では、行動の変化が急に現れやすいという特徴があります。
一方、多様練習では行動の変化はゆっくりだが学習したことを保持しやすいという特徴があります。

リハビリテーションでは運動学習を保持させ、様々な場面でそれを発揮させることが重要になるので、多様練習は重要な要素になると考えることができます。

 

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立ち上がり動作における多様練習の概要

立ち上がり動作における多様練習を考えた場合に、どのようなシチュエーションが思い浮かぶでしょうか。
これを多く思い浮かべることができるのは、よいセラピストの要素になるかもしれません。

一般的に、立ち上がり練習を行う際には端座位となり、以下のような開始肢位をとり行うと思います。
もちろん、課題遂行においてこのような基本要素はとても大切な開始姿勢です。
しかし、日常生活を送っているなかでは、このような開始姿勢のみで動作を行うことはまずないと思うのです。
様々な環境やその日の体調にも左右されるかもしれません。
そのため、多様練習を行い、どのような状態においても効率的で安全な立ち上がり動作を行えるような能力を身につけておいてもらうことが必要になると思うのです。

 

多様練習の要素を取り入れた立ち上がり練習の具体例

①通常の立ち上がり練習

何が通常かと指摘されると答えられませんが、一般的な立ち上がり練習がまず挙げられます。
端座位から立ち上がる動作になります。
最初は、手すりなどを把持して立ち上がり練習を行います。

②足の設置位置を変更する

立ち上がり動作において、足の位置決めは重要な要素になります。
基本的には足の位置は手前側の方が動作は容易になるとされています。
それを、少し前に出したり、片方の足のみを前に出したりと、条件を変更することで多様練習の要素を取り入れていきます。

 

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③立ち上がりで視線を移動させる

立ち上がり練習では、前方に体重を移すために顔は前方を向くように固定されがちです。
それをあえて首を左右にまわしたり、まわさなくても視線を左右に移動させたりしながら立ち上がり練習を行います。
通常というか、健康な状態であれば少しばかり身体への注意がそれていても立ち上がり動作は遂行することができると思うのです。
そのため、立ち上がり練習においても、他の所に注意を向けながら立つというのは、多様練習の一要素になると思われます。

このように考えると、立ち上がり練習にも幅をもたせることができます。
一定練習になりがちな立ち上がり動作ですが、変数(条件)を変えていくことで多様練習とすることが可能です。
もっと難易度を上げたいのであれば、お盆を持ちながら立ち上がる、手荷物を持ちながら立ち上がる、リュックサックを背負いながら立ち上がるなどの条件にも変えることができると思います。

最終的には、患者様が生活する空間の中で行う動作に転移させることができればよいので、そこに向けてトレーニングを積んでいくことが重要になっていきます。

 

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