上腕骨頚部骨折に対するリハビリテーションでは、骨癒合の状態を見ながら、痛みや関節可動域制限に考慮しながら進める必要があります。今回上腕骨(頚部)骨折に対するリハビリテーションについてまとめていきたいと思います。

上腕骨(頚部)骨折に対するリハビリテーション!注意点やリハビリ方法!

文献

 

 

上腕骨頚部骨折のリハビリテーションの流れを確認

上腕骨頚部骨折に対するリハビリテーションでは、骨折の状態や骨折粒の固定力により、その進め方を考慮していく必要があります。

基本的には、主治医と連絡を取りながら、自動介助運動や自動運動の指示が出るまでは慎重になる必要があります。

術後直後では、化骨の形成が不十分であり、その時期には過緊張状態になりやすい筋肉の緊張を軽減させる必要があります。

過緊張状態になりやすい筋肉としては、大胸筋や三角筋が代表的です。

そのため、これらの筋肉の状態を確認しながら、手術直後ではリラクゼーションを進めていくことが大切になります。

手術直後では上腕骨の運動は行えませんが、肩甲胸郭関節(肩甲骨)の可動性を維持させたり、その運動を行うことは大切になります。

肩甲上腕関節については、烏口上腕靭帯、中関節上腕靭帯、前・後下関節上腕靭帯の柔軟性維持に対して、ストッピングエクササイズを行います。

自動運動の維持が出れば、軽い負荷での腱板筋に対するトレーニングを行い、骨頭が関節窩に安定しておさまるようにしていきます。

上腕骨(頚部)骨折術後の大まかなスケジュール

術後翌日〜2週

・肘関節以遠の自動、他動運動による関節可動域訓練
・ストッピングエクササイズ
・肩関節の他動挙上運動(90°まで)

術後3〜5週

・肩関節の他動挙上・外旋関節可動域訓練
・自動介助、自動運動
・自主トレーニング(棒体操、ワイピングなど)

術後6〜8週

・肩関節の全方向への自動、他動関節可動域訓練
・腱板筋トレーニング、肩甲上腕リズムの獲得

 

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ストッピングエクササイズとは

ストッピングエクササイズは、自分の腕の重みにより軟部組織を慎重させるトレーニングです。

立位で行われることもありますが、手術直後ということを考えれば、リラックスできる肢位として腹臥位が選択されることがあります。

①ベッド上で腹臥位になり、上肢を床に下垂させます。
②上腕骨が回旋しないように注意します。
*この際防御性収縮が生じないように慎重に誘導します。

目的としては、棘上筋と肩峰下滑液包との癒着予防や、上腕骨の大結節が肩峰下に通過できる環境を確保しておくことにあります。

 

肩峰下インピンジメントについて

肩峰下インピンジメントとは

肩峰下インピンジメントとは、上腕骨の下方への滑り運動が阻害された結果、大結節が肩峰下を通過できなくなる状態のことを指します。
肩峰下インピンジメントでは、肩峰下にある棘上筋、棘下筋、肩峰下滑液包が挟み込まれることで痛みが生じます。

肩峰下インピンジメントの原因(能動要素と受動要素)

受動的要素における肩峰下インピンジメントの原因としては、
・肩峰下滑液包の癒着(肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮含む)
・後方関節包の拘縮
が考えられます。

能動的要素における肩峰下インピンジメントの原因としては、
・各腱板筋の機能低下(筋力低下、筋出力低下など)
・肩甲胸郭関節の機能低下(筋力低下、筋出力低下など)
が考えられます。

肩峰下滑液包の癒着(肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮含む)

肩峰下滑液包は、腱板の上に存在する組織です。
キャタピラのような動きをすることで、
肩峰下滑液包において癒着が生じると、キャタピラの機能が果たせなくなるため、スムーズな関節運動が阻害されます。
肩峰下滑液包の癒着では、肩関節内転時に肩甲骨の下方回旋が確認できます。

肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮があると、肩挙上時の上腕骨の下方への滑り運動が阻害され、スムーズな関節運動が阻害されます。
肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮では、肩関節の内転制限が確認できます。

後方関節包の拘縮

後方関節包の拘縮があると、肩挙上時の上腕骨頭の後方滑りが阻害され、スムーズな関節運動が阻害されます。

各腱板筋の機能低下

各腱板筋は、肩挙上時に上腕骨頭を関節窩に対して求心位に保つ役割があります。
腱板筋の筋力低下があると、肩挙上時に三角筋の収縮力を大きくしようとするため、インピンジメントが起こることが考えられます。
また、痛みがなくても筋力低下がある場合、インピンジメントにつながる可能性があります。
そのため、どの部位の腱板の機能低下がみられるかを把握することが重要になります。

肩甲胸郭関節の機能低下

肩甲胸郭関節の機能低下があると、肩峰下インピンジメントが生じることがあります。

上肢挙上時の肩甲骨の上方回旋が不足すると、相対的に、第2肩関節スペースが狭くなる。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略

筋力だけではなく、筋の伸張性(筋緊張)も考慮する必要があります。

前鋸筋は肩甲骨の内転、菱形筋が肩甲骨の外転、肩甲挙筋が肩甲骨の下制、小胸筋が肩甲骨の後傾を制限することで、肩甲骨の生理的な運動が制限されることになる。

肩関節拘縮の評価と運動療法

詳しくは、以下の記事も参照してください。
肩挙上時(60-100°)の痛み(能動要素)と肩峰下インピンジメントの評価
肩挙上時(60-100°)の痛み(受動要素)と肩峰下インピンジメントの評価

 

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インピンジメントにどう対応するか

肩峰下インピンジメントは、上記のような理由により生じますが、肩峰下インピンジメントを生じさせないようにするには、

上肢挙上時に肩峰下での大結節の衝突を避けることにあります。

そのためには、

・肩周囲の筋緊張が過剰緊張になっている部位の緊張除去を図る
・肩甲骨をニュートラルな位置に整える
・上肢挙上時に肩甲骨上方回旋がしっかりと生じるようにする(肩甲上腕リズムの獲得)
・腱板筋の筋出力(筋発揮力)を高める

ということがポイントになります。

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