上肢の感覚障害があると、手に把持した物体を移動しようした際、手からその物品を落としてしまうというようなことが観察されます。今回、このような物体移動の困難さに対するリハビリテーションの考え方と訓練方法について、文献を参考にまとめていこうと思います。

感覚障害のリハビリテーション:物体移動の障害の評価と訓練

参考文献

物体移動の困難さの観察ポイント

感覚障害による物体移動困難さの観察される特徴として、

①把持した物体を落としてしまう
②手の向きを変えたときに把持した物体を落としてしまう

といったことが挙げられます。

通常であれば、手に物体を把持した状態で、手の向きを変えたり周辺の関節を動かしても、物体を落としてしまうことはありません。

物体を落とさないために、「皮膚からの知覚情報」により筋緊張を維持することができるからです。

感覚障害があると、「皮膚からの知覚情報」が捉えられず、手を移動させたり、周辺の関節を動かすことにより筋緊張が変化すると、物体に加えていた力が変化し物体を落としてしまうのです。

 

物体移動の評価のポイント

動作観察では、物体を把持しながら近位筋の求心性収縮、遠心性収縮を行わせます。

物体を把持したままで手関節の屈曲と伸展、前腕の回内、回外、肘関節の屈曲、伸展などを組み合わせていきます。

患者がどの作業に意味があり、重要で必要性のある動作に焦点を当て、その動作を観察することが重要です。

スクリーニング検査としては、Mobergのピックアップ検査(閉眼)があります。閉眼で行うことにより、感覚の側面からの評価が可能です。この検査を実施することは、移動の困難さだけでなく、手の到達、物体の探索・識別、手のフォーム、把持力のコントロールとその維持についても評価できることが特徴です。

物体の移動に困難さがある場合、さらに詳しい検査を行っていきます。

関連する検査として、固有感覚のスクリーニング検査である母指探し試験→運動覚、位置覚検査、静的触覚検査が挙げられます。

静的触覚には物体を把持するための物体の性状(柔らかさ、硬さ、重さ)に応じた把持力の調節機能があります。

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物体移動改善に向けたリハビリテーション

物体移動の改善に向けたリハビリテーションの基本指針は、閉眼にて物体を把握しながら、物体を移動させる距離を長くしたり、近位関節を大きく動かすなかで把持が維持できるように動作学習を図っていきます。

物体を把持したままで手関節の屈曲と伸展、前腕の回内、回外、肘関節の屈曲、伸展などを組み合わせていき、適切な把握動作が維持できるようにしていきます。

空間内での上下、前後、左右様々な方向に物体を移動させることが必要になります。

関節運動を行わせるときには、求心性収縮だけでなく、遠心性収縮も行わせます(例:口に持っていったコップを机の上に置く(上腕二頭筋の遠心性収縮)など)。

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