高齢者や何らかの疾患を持っている方では、立ち上がり動作に困難さを示すことがあります。立ち上がり動作では主に体幹や下肢筋力を用いて動作が遂行されます。今回、立ち上がり動作に必要な筋活動と立ち座りテストについて、まとめていきたいと思います。

立ち上がり動作に必要な筋活動と立ち座りテスト

立ち上がり動作のバイオメカニクスについてもっと勉強したい方は

 

立ち上がり動作と筋活動

立ち上がり動作では、座位から臀部が離れる動作であり、支持基底面が小さくなることに対して、重心を前方に移動させる必要がある動作となります。
この際、様々な体幹や下肢の筋活動により、動作がスムーズに遂行できるようになります。
立ち上がり動作に必要な筋活動を、動作の相に分けて考えていきたいと思います。

 

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着座動作のバイオメカニクスについては、以下の記事を参照してください。
着座動作のバイオメカニクスと必要な筋活動、介助のポイント

重心が前方に移動する相

この相では、体幹を前傾させることによる重心を前方に移動させる時期です。
この時の体幹は、骨盤が後傾せず、脊柱は伸展している必要があります。
高齢者などで骨盤が後傾している場合、座面に対して骨盤が回転していきにくくなるため、非常に効率の悪い動作になってしまいます。

立ち上がり動作において骨盤を前傾させる筋は腸腰筋であり、脊柱を伸展させるには多裂筋の収縮が必要になります。

臀部が座面から離れる相

この相では、臀部が離床し、足関節が大きく背屈する相となります。
この時期では、臀部が離床するために膝関節の伸展が必要になります。
膝関節を伸展させるには大腿四頭筋の筋収縮が必要がありますが、大腿四頭筋の筋活動のみを用いては、後方に重心が移動してしまうために臀部離床が達成されません。
このときの膝関節の伸展は、前脛骨筋の活動により下腿が前方に傾いた位置をキープしながら、大腿を前方に回転させることにより達成されます。

大腿が前方に回転するには、骨盤が前傾していくのを大殿筋の収縮によりブレーキをかけることによって、その力が膝関節に波及し膝関節を伸展させる動きとなります。

重心が上方に移動する相

この相では、股関節・膝関節が伸展し、足関節は底屈することにより、重心を上方に移動させて立位を完成させていく時期です。
前方に移動している重心を上方に移動させるには、床に対して下肢の足底面でしっかりと押し込むことで達成されます。
大殿筋と中間・外側・内側広筋、の収縮により床を押し込む作用が生じ、重心が上方に移動することができます。
また、重心の上方移動に伴うバランス維持のために、足関節底屈筋は収縮量を調整しながら活動します。

 

変形性膝関節症や高齢者の内側広筋萎縮と立ち上がり動作

変形性膝関節症の方では、最も筋萎縮が見られやすいのが大内転筋と言われています。
さらに、大腿広筋群である内側広筋も筋萎縮があるとされています。

内側広筋は前途したように、股関節と足関節を結んだ線上に下肢を押し込むようにした時に筋活動が高まります。
この動作は日常生活では立ち座りや自転車をこぐ際にみられます。
高齢者ではこのような下肢を床に押し込むような活動が少なくなることで、内側広筋の萎縮がみられやすくなります。
高齢者では立ち上がり動作において大腿広筋群を利用しにくいため、大腿直筋を用いて床に向けてプッシュするように動作してしまい、体重が後方に移動してしまうことがよく観察されます。
その結果、後方に移動した重心を制御するために上肢で引っ張って立ち上がろうとすることが必要になります。
このような方では、大腿直筋の筋緊張が高くなっている可能性があります。
座位で膝を伸ばすのは大腿直筋のトレーニングであり、立ち上がりに必要な筋力トレーニングとしては不十分なこともあるため、大腿広筋群の筋力強化を行っていく必要もありそうです。

 

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サルコペニアと立ち座りテスト

サルコペニアでは筋力低下を主な指標にしますが、その際のテストとして立ち座りテストがあります。
このテストでは、立ち座りを30秒間で何回行えるか、5回立ち座り動作を行うのに要した時間を計測する方法があります。立ち座りテストの年代別基準値は以下の書籍に掲載されています。

サルコペニアと運動 エビデンスと実践

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