肩関節疾患の肩の痛みに関して、夜間痛を引き起こす原因のひとつに肩関節の内転制限の存在が報告されています。今回は、肩関節内転制限の原因と評価、アプローチについてまとめていきたいと思います。

肩関節と夜間痛!肩関節内転制限の原因と評価、アプローチ!

肩関節の夜間痛のいくつかの原因

肩関節の夜間痛に関しては、いくつかの要因が挙げられています。

①自律神経系の影響
睡眠時は交感神経<副交感神経が優位になります。すると血流は主に脳に流れることになり、末梢はの血流が低下することにより痛みが生じると考えられます。

②烏口肩峰弓周辺の変化
烏口肩峰アーチと上腕骨の間のスペースが、日中は重力により拡大しており、睡眠時は臥床姿勢となるため狭くなるという姿勢の影響によるものです。
烏口肩峰弓下の圧が上昇することにより痛みが生じる可能性があります。

③骨内圧の高さ
ローテーターカフ(回旋筋腱板)に持続的な収縮(高緊張、スパズムと呼ばれる)があると、腱板筋は骨についているので、骨内圧が高くなります。
骨内圧の上昇により痛みが生じると考えられます。

④肩関節内転制限
夜間痛がある方では、ない方と比較して関節上腕骨間角度(関節窩と上腕骨長軸のなす角度)が大きいとの報告があります。

 

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肩関節内転制限の病態と評価(レントゲン撮影)

肩関節内転制限(外転拘縮)がある方では、姿勢観察において肩関節は外転位となっています。
レントゲン撮影をすると、関節上腕骨間角度(関節窩(臼蓋)と上腕骨長軸のなす角度)が健常の方と比較すると大きくなります。
健常の方では、関節窩と上腕骨長軸のなす角度は平行になります。
また、関節上腕骨間角度が大きくなる方では、肩甲骨下方回旋していることもあります。
そのため、姿勢評価で肩甲骨下方回旋が観察されれば、肩関節内転制限の有無を確認する必要があります。

 

肩関節内転制限の病態と評価(筋肉による制限)

肩関節内転制限が起こる原因のひとつに、筋肉による制限が考えられます。
肩関節を外旋位で内転する際に伸張される筋肉には
・棘上筋前部
・肩甲下筋上部
・上腕ニ頭筋長頭腱
があります。

また、肩関節を内旋位で内転する際に伸張される筋肉には
・棘上筋後部
・棘下筋上部
があります。
この辺りの伸張される筋肉は、言葉で覚えるというよりも、頭の中で筋の起始・停止をイメージする方が覚えやすいと思います。

筋肉の制限因子を考える際には、肩関節を外旋/内旋位で内転(伸展方向:体の後ろ側に)させて、制限がある方が筋肉の伸張性が低いと推測できます。
筋の伸張性を高めるアプローチに関しては以下の書籍を参考にしてください。

肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)

 

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肩関節内転制限の病態と評価(癒着による制限)

棘上筋は、肩関節内転・伸展させると伸張されます。
肩峰下と棘上筋の間には肩峰下滑液包があり、その働きにより滑走性が確保されています。
通常、肩関節を内転・伸展させると棘上筋は伸張されるので緊張は高くなります。しかし、肩峰下滑液包と棘上筋の間に癒着があると、棘上筋の緊張は高まりません。
これは、癒着した部分よりも先の部分が伸張されるだけで停止部には伝わらないためです。
また、癒着があると肩関節外転により筋収縮が起きても腱にはそれが伝わりません。

そこで、癒着の有無の評価としては、
①セラピストは肩峰下に指を置く
②肩甲骨面で、軽い抵抗に対して挙上させる
このとき、棘上筋の収縮があれば、「ピン」と張る感じを確認できます。
癒着があれば、棘上筋の収縮(「ピン」)を感じることはできません。
*三角筋の収縮では、指をかなり押してくる感覚となるため、棘上筋との鑑別が必要です。

癒着があるかないかの確認はとても大切です。
癒着があれば、いくら筋の制限因子に対してアプローチしても制限はなくなりません。

癒着に対するアプローチでは、下記の書籍を参考にしてください。

肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)

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