脊髄損傷の移乗動作は主になるものは直角移乗や側方移乗ですが、何かのトラブルで床に降りてしまったときに、地力で床から車椅子に移乗できることは意味があります。腕の筋力や体幹でバランスをとることを要求され、かなりレベルの高い動作になりますが、動作方法を習得しておくメリットはあります。

床から車椅子、車椅子から床への移乗動作のリハビリと動きのポイント(胸腰髄損傷者)

文献

練習の段階付け

いきなり床⇄車椅子の間で練習を行うことは恐怖感や不安感を伴いますし、なにより動作自体が大変なため、段階付けられた練習が必要になります。
まずは訓練室などのベッドに、高さ調節ができるベッドを使用し、20〜40cmの高さの移乗動作を行えるようにしていくと、よいかと思います。
また、プッシュアップ代を用いると動作が行いやすくなります。
この移乗動作を練習することで、腕の筋力向上や体幹でのバランス向上などが強化され、他の場面での動作においての向上が期待できるため、行うメリットは大きいといえます。

車椅子から床への移乗動作のポイント

車椅子から床に降りるには、まず自分の体を車椅子の前方ギリギリにまで移動させる必要があります。
これは、車椅子前方のパイプを握り、プッシュアップをすることでお尻を浮かことで行います。

次に、足を床に下ろす動作が必要になります。
片方の手はパイプを握り、バランスを保持しながら、もう一方の手で両方の足を下ろし、膝関節をしっかりと伸ばした状態に位置させます。
そこから、片方の手を足を伝いながら、ゆっくりと床に手をつけるように下ろしていきます。
このとき、かなりの恐怖感があり、またバランス保持が必要なため、車椅子のパイプはしっかりと握っておく必要があります。

片方の手はパイプ、もう一方の手は床に手をついたまま、お尻を前方(または斜め前方)に移動させていきます。
お尻が車椅子の座面を離れる際に、膝が曲がっている状態だとうまく降りることができないため、膝はまっすぐ伸びているか確認する必要があります。
足を伸ばした状態で動作できるように、足の伸展の痙性を高める手技(膝関節を上から押さえつける、太ももの前面を軽く叩くなど)を用いると、膝の伸展が誘発されやすくなります。

*車椅子は、普通型のようなアームレストが高い位置にある構造では、パイプを持っても、うまく腕の力が発揮できないため、動作が行えません。この場合に適しているのは、座面と同じ高さにパイプがあり、持つことができるタイプの車椅子になります。

*練習段階では、足の摩擦を減らすことで、動作がスムーズになり、運動感覚がつかみやすくなります。

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床から車椅子への移乗動作のポイント(男性の場合)

この動作では、パワーのある男性の対象者が主に行うための方法になります。
そのため、腕の筋力がかなり必要になる動作です。
この動作を通して筋力強化を図ることも可能ですが、腕を痛めやすい動作でもあるため、対象者の状態を確認しながら行っていく必要があります。

まず、長座位になりますが、足は車椅子に対して斜め前方に位置させます。
足の向きにより腕の力の入りやすさが異なるため、対象者と確認しながら最適な位置を探していきます。

次にできる限り車椅子の近くに寄りパイプを持ち、もう一方の手は床で股関節のやや前方に位置させます(こちらも車椅子にできるだけ近い位置がよい)。
プッシュアップによりお尻を持ち上げていきますが、床についている手は体を支えるためにかなり強い筋力が必要になります。
うまくお尻を持ち上げるには、頭を足に近づける(前に倒す)イメージでお尻を後ろに振ることです。
この動きにより座面にお尻を乗せていきます。このとき、なかなか自分のお尻がどのような位置にあるかが把握できず、車椅子にぶつけてしまうことがあるため、対象者自身で感じることと、それを助けるためにセラピストが的確にフィードバックすることが大切になります。
頭は床についている手の方向に倒します。

座面にお尻が乗ったら、お尻を左右に振りながら奥に座っていきます。
座面の奥までお尻が乗れば、床についている手を順次足から太ももまで上げていき、体を起こしていくことで動作が完了します。

*始めは20〜40cm程度の高さから行います。プッシュアップ台を用いることで動作が行いやすくなります。
*車椅子側の足を曲げておくことで、足への抵抗が軽減され、お尻を持ち上げやすくなります。

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床から車椅子への移乗動作のポイント(中高年、女性の場合)

この動作では、あまり筋力がなくても動作が行える(プッシュアップでお尻を垂直に浮かすことができる程度の筋力は必要)ため、中高年者や女性が取り組みやすい動作です。

この動作では、車椅子の前輪を前向きにさせておく必要があります。
これにより、車椅子が前に倒れてこないようにする役割があります。

動作では、まず少し斜め前方から、片方の手は車椅子のパイプを持ち、もう片方は床について、プッシュアップすることでお尻を足置きに乗せます。

お尻が足置きに乗ったら、両手で左右それぞれのパイプを持ち、体のバランスを保ちながらお尻を持ち上げていき、座面の上に乗せていきます。
お尻を座面に乗せられない場合、後ろの背もたれに一度倒れこみ、持ち手を後輪やアームレストに持ち替えてお尻を引き上げます。

*お尻をうまく上げるには、できるのであれば両足を途中で足置きに乗せることで上がりやすくなります。

 



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