脳卒中者の自動車運転再開に向けては、身体機能的な問題と認知機能的な予測が必要になります。認知機能的な要素においては、危険予測をできることも安全に自動車を運転することに関係しています。今回、脳卒中者と自動車運転の危険予測!について、動画閲覧からその能力を把握することを中心にまとめていきたいと思います。

脳卒中者と自動車運転の危険予測!動画閲覧からその能力を把握する!

脳卒中者の自動車運転に必要な身体機能と認知機能

脳卒中者が安全に自動車運転を行うには、それに必要な身体機能と認知機能を有していることが必要になります。
必要な身体機能としては、
・視覚機能(視力は両眼で0.7以上、かつ一眼でそれぞれ0.3以上。一眼の視力が0.3未満または一眼が見えない場合、他眼の視野150°以上で視力0.7以上であることが必要。色彩識別能力では赤、青、黄色の識別が必要。)
・聴覚機能(聴力では両耳の聴力(補聴器使用含む)が10mの距離で90dBの警音器の音が聞こえる)
・運転に支障を及ぼすおそれのある四肢体幹の障害がない
などが必要になります。

また、必要な認知機能としては、
・運転目的と行程の計画、到着の予測:見当識、記憶、遂行機能
・事故へリスクの軽減:易怒性の有無、自己抑制が可能か、自己洞察(現状の認識など)が行えるか
・注意能力:注意の維持、注意の分配、方向性注意
などが必要になります。

詳しくは、以下の記事を参照してください。
自動車運転に必要な高次脳機能
自動車運転再開に必要と考えられる身体機能
自動車運転再開と注意機能
自動車運転再開と認知機能

危険予測が行えるかどうか

脳卒中者の運転再開に向けては、危険な状況の予測を行えるかも、重要な要素になります。
脳卒中者では、易怒性や自己抑制が行えない場合、また自己洞察(現状の認識など)が行えない場合であれば、事故につながる可能性が高くなる可能性が考えられます。

日常生活においても、易怒性や自己抑制が行えないようなシーンがあるのであれば、それは自動車運転においても同様に観察される可能性が高くなります。
自動車運転は常に冷静に状況を把握し、臨機応変に対応する能力が求められます。
そのため、普段の会話や活動場面においての情報を把握しておくこともセラピストには必要になります。

危険予測に関しては、様々な認知機能が統合された中で行われていると考えられます。
各神経心理検査においての成績が良くても、危険予測となるともしかすると困難さがみられるということもあるかもしれません。
そのため、危険予測ができるような評価やトレーニングも行う必要があると考えられます。
ドライブシュミレーターによっては、危険予測を要求するものもあります。
そのようなものがない場合に、いくつか参考にできるものがあります。

動画を用いた危険予測

昔、教習所の座学で、動画で危険なシーンを見る機会があったのではないでしょうか。
もしくは、最近も免許の更新時に講習でそのようなシーンを見る機会があったのではないでしょうか。
これ、案外考えさせられる動画が多かったというのを記憶しています。

このような動画を見ることで安全運転への意識を高めているというのは、素晴らしいと思います。
これを評価やトレーニングに用いることも可能ではないでしょうか。
実際、筆者が勤めている病院でも他のセラピストが行っていました。

危険予測動画は、JAFやHONDAがウェブ上で無償提供しています。
動画の種類は様々なものがあり、危険なシーンについて学ぶ機会が得られます。
JAFの動画は実車を用いています。

詳しくは以下を参照してください。
http://www.honda.co.jp/safetyinfo/kyt/training/
http://www.jaf.or.jp/eco-safety/safety/kyt/result.htm?category=0

このような動画を通じて、どのような危険が予測されるか、またどのような事に注意して危険を回避するかを対象者に考えてもらい、対象者の危険予測能力の評価とすることも可能であると思われます。
また、この動画閲覧自体が対象者の危険予測を高めるトレーニングにもつながると思います。
あくまで自動車運転再開を決定するのは公安委員会ですが、セラピストは運転再開に必要な身体機能と認知機能評価に関与できる職種であるため、これまで示してきた知識を有していることが大切になると考えられます。