脳卒中後に自動車運転を再開したい時には、各都道府県の公安委員会が設置している適性相談窓口に相談し、その指示を仰ぐことが基本となります。患者様の中には、「そんなの相談しなくても乗れるよ」とその重要性が理解できない方もいるかと思います。今回、自動車運転再開と任意保険について、まとめていきたいと思います。

脳卒中者の自動車運転再開と保険金!自身と家族の身を守るために考えておきたいこと!

自動車運転再開と運転に影響を与えうる一定の病気

警察庁は、運転者が病気になった際に、運転に影響を与える疾患として以下のようなものを挙げています(一定の病気に係る免許の可否等の運用基準)。
・統合失調症
・てんかん
・再発性の失神
・無自覚性の低血糖症
・そううつ病
・その他精神障害
・脳卒中
・認知症
・アルコールの中毒者

警察庁は、これらの疾患を有する方の自動車運転の可否の基準を設けており、それに従い運転免許の拒否、または保留を決定しています。

細かい運用基準については、「8 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作等)(令第33条の2の3第3項第3号関係)」を参照してください。
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/pdf/list3.pdf

自動車運転再開に向けての流れ

道路交通法及び道路交通法施行令においては、安全に自動車運転ができない可能性のある方においては、一定の要件を設けることにより、その要件を満たした場合は運転免許の取り消しまたは一定期間の停止になることがあります。

そのため、脳卒中後、運転を再開したい場合には、各都道府県の公安委員会が設置している適性相談窓口を利用することを推奨しています。
そこで、対象者の状況を考慮して、医師の診断書の提出を促される場合がほとんどだと思いますが、状況によっては診断書の提出が必要ないかもしれません(この辺りは筆者ははっきりと把握していません)。
また、適性を把握するためにドライブシミュレーターなどを用いて適性検査が行われることになります。

適性検査や医師の診断書を元に、各都道府県の公安委員会は運転再開をしてよいか(運転補助具の利用を義務付けられる場合もあります)の決定を下すことになります。

なぜ公安委員会の運転の可否の決定が必要なのか

運転を再開するということは、事故に遭遇するリスクが必ず伴うことになります。
交通事故を起こす、または起こされる(巻き込まれる)場合には、「保険金」という自身を守ってくれる機能があると思います。
この損害保険ですが、基本的には安全に運転できる身体機能や認知機能があるという判断を下されている状態において契約をしていることになっています。
そのため、脳卒中などの疾患にかかったことのある場合は、安全運転ができるという保証が低くなるとみなされることがあるです。

公安委員会から運転を行ってもよいと言われているということは、公安委員会からのお墨付きをもらっているということでもあります。
それはすなわち保険の契約においても問題がないということを示していると考えられます。

もし、公安員会からのお墨付きをもらっていない状態で事故を起こした場合には、民事的あるいは刑事的責任を問われることになった場合、不利になることは目に見えてわかります。
「あなたは運転の適性があると判断されていないにも関わらず、運転をして事故を起こしてしまったのですね」と言われてしまったら何も言い返せないでしょう。

このような場合、保険金を利用することができない恐れもあります。
すると、事故の賠償をするために借金まみれになるだけでなく、自身をとりまく家族にも迷惑をかける場合があります。
そうなったら、もうどうしようもなくなってしまいます。
このようなことから、公安委員会のお墨付きをもらうことが大切になるのです。

患者様や家族への説明が大切

患者様が日常生活や仕事を行う上で自動車運転が必要な場合には、運転再開までの流れについてしっかりと理解できるまで説明することが大切です。

前途したリスクについてもしっかりと説明し、適性相談窓口への相談を行ってもらえるようにしましょう。
患者様の中には、楽観的に「大丈夫やろう」考えて運転を再開してしまう方もいるかもしれません。
そのような場合には、家族にリスクの説明を十分に行い、セラピストと家族の双方からブレーキをかけていく必要もあります。

セラピストとしては、患者様や家族の方に説明を行った場合には、カルテにしっかりとその内容や反応を記載しておく必要があると思います。
それがセラピスト自身を守る術になるからです。
このようなことはかなり難しい問題なので、早期から患者様や家族の方と話し合う機会を設けておくとよいと思われます。