直近ではニュースにはあまり出てきませんが、最近まで自動者の踏み間違い事故が話題になっていました。ここ最近は煽り運転の陰に隠れている印象でしたね。踏み間違いは、高齢者・認知症者のみに起こるのでしょうか、また、そのメカニズムはどのようなものなのでしょうか。そして、予防法も考えていきたいと思います。

踏み間違い事故はなぜ起こる?高齢者・認知症者との関連性、予防について

踏み間違い事故について

ここ最近まで自動者の踏み間違い事故が増えているとニュースでよく耳にします。
自動車会社のCMでも、「サポカー」と呼ばれる、踏み間違い事故を予防する安全性機能をつけている自動車をよく見ます。
この機能は本当に素晴らしく、事故発生率を大幅に上げてくれると思います。
しかし、全ての方がこの機能を実装していることはなく、まだまだ普及していないというのが現実だと思います。
そして、話題になっている高齢者が、今現在乗っている車を乗り換えて、新たに安全機能がついている車に乗るかと言われると、なかなかYESとはならないと考えます。
意識高い系の方であれば自分の命を守るために乗り換えを検討することはあると思います。

では、踏み間違え事故はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。

踏み間違え事故の例

コンビニの駐車場で前向きに駐車していて、バックしようとしたら前進してしまった。
CMであれば、安全機能が働いてその場で停止してくれますが、その機能がないと危ないですね。
そして、慌ててブレーキを踏もうとしたら、間違えてアクセルを踏んでしまい、そのまま店に突っ込んでしまった。

私の例です。
免許を取って間もなく、ゲート式の駐車場にで駐車券を受けとろうと、ブレーキを踏もうとしたら、間違えてアクセルを踏んでしまい、ゲートにぶつかりそうになった。
この時はすぐにブレーキを踏みなおすことができましたが、そのまま突っ込んでいたら事故になっているところでした。

運転中、小動物が飛び込んできてブレーキを踏もうとしたら、間違えてアクセルを踏んでしまった。そして、そのことに驚いてさらにアクセルを踏んでしまった。

このように、様々な例がありますが、皆さんも経験されたことがあるのではないでしょうか。

踏み間違え事故のメカニズム

九州産業大学の松永先生は、運転中に最も多く操作し、最も素早く操作できるのがアクセルペダルであり、これは反射的に行える動作だとしています。
そのため、予期せぬこと(緊急時、びっくりすることなど)が生じると、人は反射的にアクセルを踏んでしまう傾向にあるとしています。
アクセルとブレーキは同じ「踏む」「押し込む」動作であることも混乱を生じさせる要因になっていると思われます。

先ほどの1番目の例ですが、バックする際にカーナビの画面を見る場合と、体をひねって後ろを見ながらバックする場合があると思います。
体をひねってバックする場合についてですが、私たちは普段前向きで運転することに慣れています。
後ろを見ながらのバックでは、自分の足とペダルの位置関係が分かりづらくなってしまいます。
これにより、ブレーキを踏んだつもりがアクセルを踏んでしまうという間違いを引き起こしてしまうことにつながります。
リハビリテーションの分野ではボディイメージというのですが、普段慣れている姿勢と異なる姿勢では、手足での物の操作の困難さにかなり違いがあります。

先ほど「予期せぬこと」がキーワードになっていましたが、注意がそれた場合も危険性が高まると考えます。
人は、運転中に自分の状況、外部の状況(信号、標識、前方や後方の車、人など)と、様々なところに注意を配分しながら動作を行っています。
しかし、注意がそれやすい人では、違うことに注意が向いていて、また運転に注意が戻ったときに踏み間違いが起こる可能性は十分にあります。
特に、脳卒中や脳損傷者、認知症者、または高齢になり生理的に注意機能が低下している場合は注意が必要です。

参考:http://www.is.kyusan-u.ac.jp/~matsnaga/Research/%83y%83_%83%8B%82%CC%93%A5%82%DD%8A%D4%88%E1%82%A2%82%CC%94%AD%90%B6%83%81%83J%83j%83Y%83%80H22KSU.pdf

踏み間違い事故は高齢者が起こしやすいのか

踏み間違い事故は高齢者が起こしやすいのか。
これはYESとはいえません。
統計では、全年齢層に踏み間違い事故が起きているとされています。
私自身もありましたが、これは、免許を取り立てだったので、運転に慣れていないことから、ブレーキとアクセル操作を間違えたものでした。
ということは、普段からの運転の習慣性と習熟性も事故に関与していると言えそうです。

認知症者の運転と責任

踏み間違い事故も含めて、認知症者が運転により事故を起こした場合、どのような責任考えられるでしょうか。
責任には、刑事責任と民事責任、行政責任があります。
まずは刑事責任から考えていきます。

交通事故が起こると、道路交通法や自動車運転死傷行為処罰法により刑事責任が問われることがあります。
健康起因事故(認知症や脳卒中などの病気に影響に伴う事故)では、危険運転致死傷罪が適応され、要件を満たさない場合は過失運転致死傷罪が適応されます。

心神喪失状態や、事故について故意や過失がないと判断されると刑事責任には問われません。
しかし、運転中に体調の異変を自覚していた場合、運転をやめると事故はなかったと解釈されるために責任が問われます。
また、運転前になんらかの理由(体調不良など)で安全に運転できないかもしれないと感じていた場合も、同様に責任が問われます。

認知症では、運転についての認識力があると判断されると責任を問わることもあり、体調不調を感じたら運転をやめることもできることから責任を問われることもあります。

民事責任では、事故時に責任能力がない場合、故意や過失がないと判断されると損害賠償は生じません。
事故回避できたと判断される場合は責任が問われます。
運転する人が車の所有者の場合、責任能力のある無しに関わらず、自動車損害賠償法での責任が生じます。
また、責任能力がなくて、民法での損害賠償が生じない場合、その家族(監督義務があるとされる)に賠償責任が生じます。
車の所有者が家族の場合も賠償責任が生じます。

行政責任では免許停止や取り消しなどの行政処分が生じます。

以上は下記の文献を参考にしています。
馬場 美年子「高齢運転者の健康起因事故における法的責任」地域リハビリテーション VOl.10 No.10 2015

この時点すでにややこしいですね。
覚えておいて欲しいのは、本人だけでなく家族も責任を問われることになるということです。
家族の一生も棒に振らないようにしなければなりません。

 

自動車の必要性と免許返納

大都市では電車も本数も多く、車がなくても困りません。
しかし、地方の田舎となるとそういうわけにはいきません。
買い物、病院、畑に行くなど、生活の足として車は必須となります。
そのため、なかなか免許を返納するということにはつながりません。
しかし家族からすれば、いつか事故にあうのではないかとヒヤヒヤしたりするという話はよく聞きます。
そして、今そのことが問題になっています。

地域にはコミュニティバスというものがありますが、これも本数は少なく、「めっちゃ便利」というわけにはいきません。
バスの通り道に家があるとそこで止まってくれるということもありますが、自分の行きたいところにダイレクトに行けるとうわけではありません。
なかには、地域の方が車を出してくれるようなサービス(有料)もあるようですが、まだまだ普及しているとは言えません。
タクシー代もバカにならないことを考えると、経済的にキツイ方ではなかなか利用にはつながりません。

免許を返納すると、市町村により様々な特典が用意されています。
タクシーの割引券、市町村経営施設の割引券などです。
これらが拡充しないと、免許返納につながることはまだまだ先になりそうです。
株主優待が拡充されるとみんなその株を買いますよね。明らかにメリットがないと、人はなかなか動きません。
免許を返納しても生活が可能なように、サービスが広がればよいと思います。

やれる!事故なんか起こさない!と思う傾向にある人

「お父さん!最近歳もとってきて、ぼーっとすることもあるし、運転も控えたら?」
「何を言ってるんだ!俺は事故なんて起こさないよ!」
こんな会話、高齢者でなくても普通にありそうな内容です。

何か認知機能(記憶、注意など)に問題がありそうで、このような事をいう方は注意が必要です。
「私、失敗しないので!」と言っているようなものです。
自己効力感(自信を持ってできると思う事)が高いとこのような会話内容になることが多いです。
病院においても、自己効力感が高すぎると、身体機能に問題があっても動き過ぎてしまって、転倒のリスクが高まってしまったりします。
自己効力感を測定する尺度には「特性的自己効力感尺度」があります。
これを測定すると、多少なりとも自己効力感がどの程度あるかがわかるかもしれません。
特性的自己効力感尺度の概要と評価方法、結果の解釈

この結果が直接的に事故と関係あるかというとそうではありません。
しかし、運転を控えてもらいたいと考える場合は、このような性格傾向もつかむことは大切です。
様々な事情からなかなか運転を控えることにはつながりにくいですが、根気強く、家族にも責任が伴うことなどを踏まえて説明することが大切だと思います。

踏み間違い事故を予防する方法

かなり話が逸れて戻ってきました。
踏み間違い事故を予防できる可能性がある機器が存在します。

「ワンペダル」というものです。

アクセルとブレーキが一体になっており、ペダルを踏むとブレーキ、足を水平に傾けるとアクセルになります。
私自信は体験したことはありませんが、同僚がチラシを見せてくれて存在を知りました。
なんと10年以上前からあったようで(同僚談)、最近また注目を浴びてきているようです。
「踏み間違え」「踏み損ない」「踏み遅れ」がなく、事故の軽減につながると考えられます。

ブログには書けない裏話、更新通知、友だち限定情報などを配信(完全無料)!まずは友だち追加を♪ 友だち追加