頸髄損傷者においても、条件(筋力、関節可動域、年齢、体力、痙性など)が床から車椅子、車椅子から床への移乗動作は可能になります。かなりの練習量が必要になりますが、この練習を通して筋力強化を図れることも期待できるため、動作練習を行うことはメリットもあります。リハビリでは、ただやみくもに練習を行っても運動学習にはつながりにくいため、セラピストは動作のコツを対象者に伝え、動作結果を適切にフィードバックすることが大切になります。

車椅子から床、床から車椅子への移乗動作のリハビリとポイント(頸髄損傷者)

文献

車椅子から床への移乗動作のリハビリとポイント

この動作では中高年の女性胸腰髄損傷者も適応とされる動作です。

まずは、床に移るための準備としてお尻を前方に移動させる必要があります。
そのためには、体を左右に回す動きなどを利用しながら、少しずつ体を移動させていきます。
前方にお尻が移動しすぎると滑り落ちてしまう恐怖感も強くなるため、後方の介助バーに片腕をかけるなどして体を安定させた状態で行うと安心感が得られます。

次に足を下ろしていきますが、この時は後方の介助バーに腕をかけて行う必要があります。
介助バーに腕をかけて体幹を安定させながら、もう一方の手で太ももの裏側から手を通して足を操作し、ふくらはぎの後ろから足を前方に押し出し、膝関節を伸ばすようにします。
膝関節を伸ばすのを誘発するのに、膝関節の上から強く押したり、太ももの前面を軽く叩いたりしながら、伸展の痙性を促すようにします。

殿部を下ろしていく動作では、背もたれにしっかりともたれこみながら、アームレストや後輪に手をかけて引くことで、お尻を滑らせるように降りていきます。
このとき、膝関節が曲がってしまうとブレーキがかかり、体が滑らなくなってしまうため、膝関節は伸びた状態のままで動作が行えるように注意します。
そのまま滑り下ろしていくと、足置きの上にお尻が乗ることで滑るのにブレーキがかかりお尻の移動が止まります。

最後に、プッシュアップ動作によりお尻を床に移動させて動作を完了します。

*動作における注意点としては、ゆっくりと滑り降りることで恐怖感が少なく動作が行えます。
そのためには、後ろの背もたれにしっかりと倒れ込むことで、背中と背もたれとの摩擦が大きくなりブレーキがかかりながらすべっていけるため、ゆっくりと動作を行うことができます。

床から車椅子への移乗動作のリハビリとポイント

床から車椅子への移乗では、肘を伸ばす筋力がしっかりしている男性の頸髄損傷者では行うことができる動作になります。

まず、長座位となり車椅子に対して体を横に向けます。

床についている手でしっかりと体を支えながら、車椅子に近い側の足を曲げ、かかととお尻が接触するまで足を曲げます。
これにより、お尻を上げる動作が行いやすくなります。

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次にお尻を上げていきますが、体重を前に移動させることで曲げた側の足に体重をかけていきます。
これによりお尻をあげるのに引きあげる力が少なく動作ができるようになります。
片方の手は床に、もう一方の手は車椅子のパイプを持ち、頭を前に倒すようにしながらお尻を持ち上げていきます。
お尻が座面の上に乗ったら、さらにお尻を左右に振りながらお尻を奥に移動させていきます。
お尻がしっかりと座面に乗ったことを確認できたら、車椅子の左右のパイプを両手で持ち、腕を伸ばすことで体を起こしていくことで動作を完了させます。

*片足を曲げることでお尻は上がりやすくなりますが、それでもお尻をあげきれない場合、両足を曲げることでさらにお尻を上げやすくなります。しかし、この状態では体のバランスを保つことが難しくなるため、転倒のリスクが高まります。
また、足が開かないようにベルトで足に巻くなどの対処が必要になります。

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