中枢神経障害や、末梢神経障害により、私たちは感覚障害が生じます。その際、リハビリにおける感覚検査としてどのような事を行っているでしょうか。
今回は、より日常生活レベルに近い触覚障害のスクリーニング検査として、Mobergのピックアップ検査を紹介していきたいと思います。

触覚障害のスクリーニンング検査!Mobergピックアップ検査!

感覚障害についてもっと勉強したい方は

操作で必要となる皮膚受容器の刺激と応答

人間が、物を操作するには、物が何であるかの認知が必要になります。
そして、認知のためには、知覚が必要になります。
知覚するためには、皮膚受容器の働きが必要になります。
皮膚受容器には様々な種類があり、それぞれの受容器には特徴があります。
まず、各受容器の特徴について整理していきます。

 

 

マイスネル

メニケル

パチニ

ルフィニ

深さ

浅い

浅い

深い

深い

発火面積

順応

強く短い

持続的

強く短い

持続的

刺激のいれ方

軽いタッチ

エッジの検出

振動(30cps)

皮膚の変形

振動(60〜300cpsで感度良好)

表面素材の検出とその位置

皮膚の軽い引っ張りや摩擦

分布箇所

無毛部

無毛部

有毛部

無毛部

四肢・口唇

外陰部

日常生活上の物品と皮膚受容器の対応

ヘアピン、クリップ、紐ーマイスネル:角から引っかかりを検出するなど

コイン、ビー玉、カードーメニケル:コインを押しながら動かすなど

軽石、スポンジーパチニ:タオルでおこするなど

布、フィルムールフィニ:皮膚を引っ張るなど

となります。

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Mobergピックアップ検査(一部改変)

検査物品:日常使用物品10個、容器、ストップウォッチ

検査方法:開眼、閉眼両方で実施。麻痺側、非麻痺側それぞれ2回以上実施し、平均値を算出する。できるだけ早く物品を容器の中に入れるよう指示し、時間を計測する。記録には困難物品と状況を記載する。

評価基準:障害程度=「麻痺側(閉眼時−開眼時)」−「非麻痺側の(閉眼時−開眼時」
正常値(閉眼時−開眼時)は物品10個で5〜8秒
*開眼時は運動機能を、閉眼時は知覚機能を見ている。

院内の勉強会で、経験年数分の手袋をして検査を行う課題がありました。
そのときは6年目くらいだったので、6枚程手袋を重ねましたが、手袋に包まれているとなかなか物品をつまむことが大変だったことを覚えています。
手の役割については、以下の記事を参照してください。
手の知覚の役割と機能

観察のポイント(閉眼時)

◯手の到達機能
目的の位置に正確に手を到達できるかを観察します。問題がある場合、母指探し試験を実施します。

◯物体の探索、識別機能
物体の置かれている位置や方向を認識できるか、どのような手の動きで探索しているのか、探索困難な物品の状況を観察します。これに問題がある場合、静的・動的触覚検査を行います。

◯手のフォーム形成
対象物を把握する際の手のフォームや形成されたフォームが対象物を把握するのに効率的で適切なものかを観察します。これに問題がある場合、静的触覚の検査を行います。

◯把持力の調整と維持
対象物を把握する時の力は適切か、過剰に力が入っていないか、把持力を維持できているかを観察します。これに問題がある場合、静的触覚の検査を実施します。

◯物体の移動
物体の移動のため、近位の関節を動かした時に、その動きに影響されず把持力を維持できているかを観察します。これに問題がある場合、静的触覚、母指探し試験を行います。

これらは、どのれも手の機能に不可欠な要素です。
Mobergピックアップ検査はあくまでもスクリーニング検査なので、検査の際に問題が生じた場合、詳しく検査していくことで、どのような感覚障害がみられるのかを詳細に把握し、それに応じたリハビリを行うことができます。
固有感覚障害のスクリーニング検査や触覚障害のリハビリテーションに関しては、以下の記事を参照してください。
固有感覚障害のスクリーニング検査:母指探し試験

手の触覚障害に対するリハビリテーション

記録のポイント

◯「やりにくそうな物」の項目に、時間がかかっていたり、つまみにくそうな物を記入する。

◯「特徴的な物」として、時間はそうかかっていないが通常なら出さないような反応や動き(例:スポンジを強くつまみつぶれている、滑るので爪先を使おうとするなど)が見られた場合に記入する

◯振り返りとして、被験者に実施中、やりにくさや掴みにくさを感じていたのか確認します。そのため、被験者は麻痺側でやりにくかったり、掴みにくかったりしたものは、何が分かりにくいのか、非麻痺側ではどういうふうにやっているのか内観してもらうようにします。

主観的な状態を訪ねておくことで、再度検査を行ったときの変化を比較できたり、訓練効果を確認することができます。
点数としては数値化できませんが、言葉として、記録を残しておくのです。
広島大学の宮口先生は「言葉が変わっているのは、脳が変わっていることだ」と言っていたのを思い出しました。
脳卒中による感覚障害では、感覚訓練により脳の状態に変化が起きることを期待しますが、その変化は言葉に現れるというようなニュアンスだと解釈しています。

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