最近、手の知覚機能の役割を正しく答えられますか?という疑問に対して、曖昧な答えしかできない自分がいました。
そこで、知覚の役割とその機能について、まとめていきたいと思います。ほんとに奥深いです、知覚!

手の知覚の役割と機能

手についてもっと勉強したい方は

手の動きが知覚情報を捉えるために重要

知覚情報を捉えるには、自分の手を動かすことで、違いを評価して、把握していきます。
いかに自分の手で探索していくかということが大切になるわけです。
そのため、手の動きに困難さがあるかたは、知覚情報を捉えることが苦手になる傾向にあります。
物によって知覚を捉える方法は異なり、平らなもの、柔らかいものなどにより、こする、押し付けるというような使い分けが行われます。
これは無意識で行われているこ手の動きになります。
必要となる知覚情報を選択的に作り出すために、

 当間・中島(1994)は、「指が物体に接触すると、多数の皮膚感覚受容器が同時に刺激される。随意的に指をそれぞれの受容器特性に応じるように動かすことによって、特定の受容器の感受性を選択的に上げ、識別力を高めている」

手を診る力をきたえる P101

とあります。
自分からさらに手を動かしていくことで、様々な情報を得られるといえます。

 

識別のための手の動き

①柔軟性、圧縮性、緻密性、反発性、肉厚感:押し込む
スポンジを押し込むと、どれくらい縮むことができるのか、押す力を緩めたときにどのくらい反発力があるのかなどを知ることができます。

②摩擦性、平滑性:触れて水平方向にこする
指と指の間に対象物を挟み、こすることで、どの程度ザラザラしているか、滑りやすいかを確認することができます。

③圧縮性、反発性、形態:握って確かめる
対象物を握ることで縮みやすさや跳ね返りを確認することができます。

④伸展性、反発性:引っ張って伸びを感じる
ゴムを引っ張ると、その伸びやすさを感じることができます。

⑤重量感:手に乗せて上下に動かす
2つの物のどちらが重い、もしくは軽いかを調べるときには必ず行う動作です。
機械により正確に測定することもできますが。

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静的触覚の役割

静的触覚は、対象物を触ったときの、刺激の強弱や持続を判断する遅順応型の受容器です。
例えば、物に対して押すように圧をかけると、指の皮膚には垂直方向の変形によって触刺激が起き、押し続けている間はインパルスが発射し、加圧をやめるとインパルスは止みます。
このようなことにより、皮膚に対する触刺激の持続時間を知ることができます。
また刺激の強さに応じてインパルスの発射頻度も変化します。
これにより、物を握った時に、物からの反発する力を受け、その力を知覚することで、握っている力の強さを感じています。
一定の力で物を把握したり、状態によって把握力のコントロールするのに必要なメカニズムです。

動的触覚の役割

動的触覚は、振動刺激によく応答する速順応型の受容器です。

速順応型の受容器は皮膚表面に対して水平に動くもの、あるいは手が物体に対して水平方向に動くときに生じる振動によって強く興奮する。手には5〜40cps(cycles per second)の振動と60〜300cpsの振動に敏感に反応する受容器がそなわっている。手は動くもの、つまり振動を敏感に感知するのである。たとえば、眼でも見てもわからないような物体表面のわずかな傷であっても、指でさっとなでることでそれを感じ取ることができる。また直接触れなくても把握している道具を介して振動を感知することで、その先端が接触している表面の凸凹などを感じ取ることができるのである。

手を診る力をきたえる P102

知覚の役割:物体の探索・識別

一方の手で何か集中して作業しながら、他方の手で必要物品を選び出すときがあったとします。
フライパンで調理をしながら、他の手で引き出しから違う調理器具を取り出すような場面です。
この時、引き出しの中には様々な調理器具が置かれていますが、必要な物品を探し出し、その形態や材質を識別することが必要になります。
さらに、その物品がどこに、どのような向きで置かれていることがわかることで物品をつまみ上げることができます。
これは、安全に物を取り出すときに必要な探索行動です。
物品を探せても、下に敷かれている布との区別ができなければ物品と一緒につまみあげてしまうこともあります。

重度の感覚(触覚)障害では、物の特徴を知ろうとする際に、物品の上から手掌などを押しつけるような動作になることがあります。
通常では、自分の知りたい情報に合った手の使い方により情報を得ることができます。
小さく薄いものでは触覚障害があるとつまみ上げることは困難になりますが、固有感覚が残存していれば、ある程度の大きさのものであれば、ものをつかんだときに感じる手の指の筋肉の抵抗感により何かがあることはわかります。しかし力が入りすぎてしまい、動作がぎこちなく、スムーズではないように見えます。
この辺りは臨床における観察ポイントとなります。

知覚の役割:把握と手の移動

物体をしかりと持つためには、触覚による対象物の位置確認、物体の形状、材質などを感じ取り、それに応じた把握のフォームがしっかりとしていないといけません。
物体の特徴がわからないと、物体の形状や特徴に応じたつかみやすい手の形(フォーム)を作ることができず、歪んだり不安定なものとなります。
このような不安定なフォームのまま道具を操作したいすると、操作ミスや非効率的な道具の扱いとなってしまいます。
このことから、フォームの観察を通して、知覚が正しく行われているかを推測することが可能です。

知覚の役割:把持力の調整と持続力

物品を持ち、空中で保持、移動するためには、手で表面の特徴や重量を感じ取り、把持力の調整と物品を落とさないように必要最小限の把持力を加えることが必要になります。
柔らかい、デリケートな物であれば、把持力が強すぎると潰れてしまいますし、ツルツルしたものであれば、しっかりと指の腹で対象物を捉えていないと落としてしまうこともあります。

静的触覚の障害では、把持力がコントロールできず、物を落としたり逆に過度に力をいれ過ぎてしまったりすることがあります。
巧緻性の要求される繊細な作業においては、力をいれ過ぎると、物体が潰れてしまうことなどがあります。
その結果ぎこちなく、スムーズでない動作として観察されます。
このことから、静的触覚の機能の推測には、物をもちあげている時や空中で把持している時の、力のいれ具合いや筋緊張の状態を観察することが重要です。

知覚の役割:物体の移動

知覚機能の正常な働きがあることで、物を把持しながら手の向きを変えたり、他の関節を動かしたりしても物を落とすことはありません。
知覚に障害があると、関節の動きによる筋緊張の変化で物体に加えていた力が変わり、物を落としたり過度に握りこんでしまうことがあります。
よく作業療法で行うSTEFの検査では、物体の移動をメインにしている検査です。
STEFにおいて物品を落とすことが多いのであれば、関節運動を伴う際の把持力の調整に難があるのかもしれません。
このことから、静的触覚の機能の推測には、物を掴んだまま空中を移動する手が、他の関節の動きによりフォームを変えたり、把持する力に変化があるというようなことがないかを観察することが重要です。

知覚の機能:リーチ

リーチ(手の到達)には、固有感覚による自分の四肢の位置の把握が重要になります。
机の上のリモコンをとる、ペットボトルに手を伸ばすなど、人は何かとリーチすることが多くあります。
そして、手を自由に使用するためには、手の位置を認識できていることが重要です。
これが障害されていると、目的地に手を正確に到達させたり、その位置を維持することが難しくなります。
感覚が障害されていると、目で確認することで代償できますが、夜電気を消しているときに、携帯電話をとろうとするがなかなか取りにいけないなどということになるかもしれません。

知覚の機能:物の操作

手の操作には動的触覚が必要になります。
ナットをボルトにはめ込む作業では、手で回転させたナットの振動を感じることで必要となり、振動がなくなることでナットの締まりを認識できます。
また、確実に締め終わることを認識するには、これ以上動かないことを抵抗感として感じる必要があります。動的触覚に問題があると、確実に締め終わった事を指の動きの抵抗感として感じ取る事で把握しようとします。

知覚の役割:道具操作

手に持った道具(箸、包丁、はさみ)などを介して物体の特徴を感じるためには、摩擦点から道具を介して手の感覚器へ伝わる振動が判断基準となります。
よくアクティブタッチなどといいます。
こちらに向けて投げられたお手玉をラケットでキャッチする場合、ラケットの面から伝わるお手玉の重さが手に伝わることで、その重さに応じた手の力を調整して手からラケットが落ちないようにコントロールされています。
この振動を適切に手の感覚器に伝えるには、まず物体の適切な把持が必要となります。これは物体の形状に適した手のフォームと最適な把持力で把握するということです。
脳卒中片麻痺の方では、小指側の指の筋出力が発揮できず、握り動作がうまくいかないことがあります。そのような手では、アクティブタッチが有効にはなりません。
握りが不適切で道具が手の中で動いてしまうと、手は動いている箇所(手と道具の接触面)を感じ取ってしまい、十分な知覚ができません。

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