脊髄損傷のリハビリテーションでは、その評価としてAISAが用いられることがあります。今回、ASIA(脊髄損傷の標準神経学的分類法)の概要と実施方法について、まとめていきたいと思います。

脊損の評価!ASIA(脊髄損傷の標準神経学的分類法)の概要と検査筋、分類方法

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ASIA(脊髄損傷の標準神経学的分類法)の概要

1982年にSamuel Stoverらが作成した評価法をAmerican Spinal Injury Association(ASIA)が採用し、2000年までに5回の改訂が行われ、現在はInternational Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injury(ISCSCI)となっています。
日本ではASIA評価と称し、ISCSCIによる評価が実施されています。

 

感覚検査

触覚と痛覚が必須評価となります。
脊髄の異なる経路を通り情報伝達されることと、身体の皮膚髄節に従い簡便に評価できるためです。
肌門周囲の痛覚と触覚が消失している場合、完全損傷と分類するには紅門の深部圧覚の消失を示す必要があります。

標準感覚点:
感覚標準点では、皮膚28領域に区分し、痛覚・触覚検査します。
障害があると思われる髄節の痛覚検査から開始し、正常な痛みの感覚を患者に認識して
もらい、障害された皮膚髄節に対応する標準感覚点での障害の程度をみて、次に触覚検査を行います。

C2:頭蓋底の後頭隆起外側1cm
C3:鎖骨上窩の頂点
C4 :肩鎖関節の上方
C5:肘関節近位の前肘窩外側
C6:母指基節骨の背側
C7:中指基節骨の背側
C8:小指基節骨の背側
T1:上腕骨内顆近位の前肘窩内側
T2:腋窩頂点
T3:鎖骨中点上の第3肋間
T4:鎖骨中点上の第4肋間(乳頭)
T5:鎖骨中点上の第5肋間
T6:鎖骨中点上の胸骨剣状突起
T7:鎖骨中点上で剣状突起と臍との間の剣状突起寄り4分の1 
T8:鎖骨中点上で剣状突起と臍の中点
T9:鎖骨中点上で剣状突起と臍との間の臍寄り4分の1
T10:鎖骨中点上で臍の位置
T11:鎖骨中点上で臍と鼠径靭帯の中点
T12:鎖骨中点上で鼠径靭帯の中点
L1:T12の標準点とL2の標準点の中点
L2:鼠径靭帯の中点と大腿骨内側上顆の中点で大腿部の前内側面
L3:大腿骨内側上顆
L4:内果上部
L5:第3中足基節関節背側
S1:かかとの外側
S2:膝関節中央の膝窩
S3:坐骨結節部
S4/S5:1cm以内の肛門周囲領域から皮膚粘膜移行部の外側

痛覚検査:
判定:10 回のうち8 回以上を正確に答えることができると正常とします。
場所を正確に識別できたときに、鋭覚を頬部と同様に感じているかを聞きます。
グレード 0(消失):鋭覚・鈍覚ともに感じない、または尖った先と丸い端を正確に識別ない
グレード1(障害):鋭覚と鈍覚を正確に識別できるが、顔面での感覚と比較し、鋭覚の強さを識別できない
グレード2(正常):鋭覚と鈍覚を正確に識別でき、顔面と同様の強さとして認識でききる。
NT(テスト不能):顔面をテストしたときに鋭覚・鈍覚を識別できない、または何らかの理由で標準感覚点をテストを行えない。

触覚検査:
判定:
グレード0(消失):触覚への反応が不正確で信頼性がない。
グレード1(障害):触覚を正しく答えることがでるが、正常な顔面感覚と違った感じを認識する。
グレード3(正常):触覚を正しく答えることができ顔面と同様な感じを認識している。 NT(テスト不能):顔面をテストしたときに正確に認識できない、または何らかの理由で標準感覚点をテストできない。

深部肌門感覚 :
直腸周囲の痛覚・触覚が消失している場合、深部肛門感覚のテストが重要になります。
①直腸壁を指で強く圧迫したときの感覚を尋ね、感覚あり/なしについて記載します。

運動検査

標準筋群(key muscles)は,①筋の機能が脊髄髄節を代表するものである,②筋の 活動が機能的に重要である,③代表的筋の運動が仰臥位(急性期からリハビリテーショ ン時期およびフオローアップにおいて比較できる唯一の肢位)で検査が可能である, という観点から選択されています.

動画で学ぶ脊髄損傷のリハビリテーション P6

2髄節が1つの筋を支配していると考え、その近位髄節をkey muscleに割りあてています。
ある髄節のkey muscleの筋力が3以上かつ、1髄節近位のkey muscleの筋力が5の場合、その髄節を正常とします。

運動グレード

0

収縮が見えたり触れたりできない

1

収縮が見えたり触れたりできる

2

重力の影響がない肢位にて、少なくとも1回可動域の全範囲を動かすことができる

3

重力に抗した肢位にて、少なくとも1回可動域の全範囲を動かすことができる

4

抵抗をかけた状態で、少なくとも1回可動域の全範囲を動かすことができる

5

抵抗に対して、少なくとも1回可動域の全範囲を正常な力で動かすことができる

5*

識別できる阻害因子がなければ、十分な抵抗に対し力を発揮し、検者が正常と判断できる

NT

筋収縮が不確実であるか、痛みや切断のために動かすことができない

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1)第5頚髄節(上腕ニ頭筋)

2)第6頚髄節(長・短桃側手根伸筋)

3)第7頚髄節(上腕三頭筋

4)第8頚髄節(深指屈筋)

5)第1胸髄節(小指外転筋)

6)第2腰髄節(腸腰筋

7)第3腰髄節(大腿四頭筋

8)第4腰髄節(前脛骨筋)

9)第5腰髄節(長母趾伸筋)

10)第1仙髄節(腓腹筋・ヒラメ筋)

分類方法

①左右感覚レベルの決定

②左右運動レベルの決定
*テストを行う標準筋群がない領域では、運動レベルは感覚レベルと同じとみなされます。

③両側の運動と感覚レベルが正常な最下位の髄節で単一の神経学的レベルを決めます。

④仙髄領域機能残の残存により、障害が完全か不完全かを決定します。
例えば、肛門の随意収縮がなく、同時に第4-5仙髄節領域の感覚得点が0点で肛門感覚が全くない場合、その障害は完全となります。それ以外の場合不全損傷となります。

ASIA機能障害尺度(AIS)の階級の決定
・障害が完全(最下位仙髄節感覚運動機能の消失)の場合、AISはA階級となります。
また部分的神経残存領域(ZPP) を記録します(ZPPとして何らかの残存機能がある左右 の感覚髄節あるいは運動髄節最尾側を記録します)。

・障害が完全ではなく、運動機能障害が完全な場合、AISはB階級となります。

・運動機能障害が不全(随意的肛門収縮あるいは運動障害レベル以下に3髄節以上の運動機能が残存している場合)のとき,神経学的レベルの少なくとも半分以上の標準筋群の筋力が3未満の場合、AIS はC 階級となります。

・運動機能障害が不全のとき、神経学的レベルの少なくとも半分以上の標準筋群の筋力が3以上の場合、AISはD階級となります。

・感覚、運動機能がともにすべての髄節で正常な場合、AISはE階級となります。

*AISのEは脊髄損傷と診断された者が正常機能に回復した際のフオロー アップのテストとして使用します。
初回テストで神経学的異常がみられない場合、ASIA機能障害尺度は適応となりません。

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