最新の運動学習理論では、運動学習が単に練習の間に見られる一時的な行動変化で変化ではなく、学習した事の保持や、転移(汎化)に対しても評価を行うようになっています。今回、リハビリテーションと運動学習において、保持や転移(汎化)に向けた戦略について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 リハビリテーションと運動学習!保持や転移(汎化)に向けた戦略!

文献

最新の運動学習の考え方

最新の運動学習の研究においては、獲得相(直後効果)の後の学習効果の評価に加え、
保持相(短期、長期効果)の後の学習評価、転移検査(新しい課題への汎化能力)も行います。

 

無作為練習とブロック練習

無作為練習:
ある練習期間内で練習順序を変化させたいくつかの課題の反復練習

ブロック練習:
ある練習期間内で同じ課題の反復練習

無作為練習とブロック練習では、無作為練習が良好な結果をもたらすことが示されています。

文脈の違いによる練習

同じ文脈で同じ練習をするよりも、変化に富む文脈で変化させた同じ課題で練習する方が良好な結果をもたらすことが示されています。

全体練習と部分練習

課題の一部分が相互依存関係にあったり、速い運動の場合には、一部分の練習よりも全体(課題の全て)を行う方がよいとされています。

新規課題ではどこに注意するべきか

新規課題の学習においては、内的注意集中よりも外的注意集中が必要とされます。
例えば、ゴルフのスイングでは、自分の腕の運動への注意集中(内的)よりも、運動効果(課題に関連したもの)への外的注意集中(クラブヘッド)が必要になります。
また新規課題では、2人一組で観察や実施を交代できるようにすると有益だとされています。

自己管理練習

自己管理練習は、いつどのようにしてフィードバックを得るか、補助具を使うのかなどを対象者自らが決めて行う練習方です。
自己管理練習方は、指導者が制御する練習よりも良好だと示されています。

フィードバック

身体・言語的誘導はその直後の行為の強化にはなりますが、長期学習の阻害因子であるとされています。
50%の量のフィードバックの方が、100%の量のフィードバックに比べて良好とされています。
また、フィードバック増加よりも、徐々に減少させる方が良好な結果が得られたとされています。
最終的には、それぞれの実施直後よりも、複数実施後のフィードバックが良好な結果となったとされています。
より少ないフィードバックがよいとされています。

運動学習理論の研究の注意点

運動学習理論の研究では、対象者が健常者で、実験室での短い人工的な課題にて行っています。
そのため、例えば脳卒中片麻痺者のような自然な文脈での実用課題に困難性のある方に、前途した原則をそのまま用いるかは注意が必要です。
例えば、フィードバックを減少させると、パフォーマンスの正確さには問題が出る可能性があります。

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脳卒中者における運動学習理論の原理の用い方

脳卒中者には、以下の点について考慮する必要があります。
①自然な文脈において無作為で可変的な練習を行う
②身体・言語的フィードバックの量を減らせること
③対象者自ら課題分析と、問題解決に向けた戦略を立てることができるようにすること

ブロック練習は通常推奨されませんが、新規課題を学習する際には必要になる場合があります。
運動学習の強化には、できるだけ早期に無作為で可変的な練習を行う(同一課題の反復練習でない)必要があります。

可変練習:
ひとつの課題において、遂行するために異なる用具を用いること、用具を異なる場所で使用すること、異なった環境で実施することなどです。
さらに自然な文脈で行う必要があるため、ADL課題は対象者の部屋で行われるべきです。

新規課題や、以前習得した課題に対する新しい方法を学習する際には、初めは身体・言語的フィードバックが必要になることがあります。
対象者の、フィードバックへの依存を防ぐためにも、はやめに少なくする必要があります。
身体的な誘導は、残存機能を使用する方法を妨げる可能性があります。
頻回なフィードバックは、対象者自らのモニタリング能力や、自身のフィードバック機能の使い方の学習を妨げる可能性があります。
身体無視などがある場合には、動画を撮り、遂行状況を見てもらうことでフィードバック機能を補うことが可能です。
対象者が自立して活動を遂行できるように、フィードバックは最小限にしておく必要があります。

問題に直面した時に、自ら問題を解決できる能力も身につけておく必要があります。
セラピストが常に解決策を提案していては、対象者は問題解決を学ぶことはできません。
そのため、セラピストは対象者とともに課題分析を行い、問題解決までの過程を一緒に行っていく必要があります。

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