脊髄損傷では、移動や移乗の中心となるのは座位です。安全で安定した座位を保持できることが大切になります。今回、脊髄損傷の座位バランス評価と訓練のポイントについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 脊髄損傷の座位バランス評価と訓練のポイント

文献

 脊髄損傷と座位

脊髄損傷、特に頚髄損傷者で完全麻痺の場合、腹筋や背筋などの体幹筋を使用しての座位保持が困難です。
そのため、脊椎椎間関節での骨によるロッキングや、靭帯によるロッキングにより、麻痺域の上に乗った非麻痺域(上肢、肩甲帯、頭頸部)の位置調整を行い重心をコントロールして座位保持を行います。

座位安定には脊柱の適度な後弯姿勢も大切で、そのための脊柱や下肢の柔軟性を保つ必要があります。

 

座位バランスの評価

国際ストーク・マンデビル車椅子競技連盟の分類の鷹野改版

Nomal(正常):正常な安定した座位可能。体を押しても立ち直り可能。
Good(優):ある程度、体を押しても座位保持可能。体幹の回旋可能。
Fair(良):上肢を前方挙上しても座位保持可能。体の押しに不安定。
Poor(可):座位保持可能。上肢前方挙上不能。体の押しに抵抗不能。
Trace(不可):安定した座位不能。ごく短時間のみ可能。
Zero(なし):全く座位不能。

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体幹・下肢の柔軟性と座位バランス

体幹と下肢の可動域、柔軟性は、どちらかが過剰に大きくなることは、他の可動域や柔軟性を阻害する可能性があります。
そのため、体幹・下肢の柔軟性と座位バランスの双方を考慮していく必要があります。

体幹制御に関する記事は以下を参照してください。
体幹運動(屈曲、伸展、側屈、回旋)パターンの評価方法

リーチ動作訓練と体幹運動!全方向へのリーチをトレーニングする!

ADL遂行中の体幹運動とその制御

体幹可動域維持・拡大のためのトレーニング(自主トレ可)

ADL動作につなげる体幹制御〜様々な姿勢を利用して〜

体幹機能の評価とリハビリテーション!評価尺度から臨床的評価、訓練内容のヒント!

 

残存レベルと座位バランス

C5,6,7レベル
体幹筋は麻痺しており、脊椎の骨、靭帯などに支持により座位を保ちます。
座位バランス不良例では、ハムストリングの伸長を120°程度にしておくと座位バランスが良好になることがあります。

C8,胸髄上位(Th7より上位)レベル
体幹が円背傾向で仙骨部で座面を受けることになり、仙骨座りにならないように注意します。
できる限り体幹筋を機能させ、動的バランスを促していきます。

座位バランス練習

座位バランス練習は、長座位から始め、良好になれば端座位で行います。
脊髄損傷と訓練については以下の記事も参照してください。
頸髄損傷者の車椅子から床、床から車椅子への移乗動作のリハビリとポイント

胸腰髄損傷者の床から車椅子、車椅子から床への移乗動作のリハビリと動きのポイント

脊髄損傷と移乗(側方移乗)のリハビリ訓練とポイント

脊髄損傷と移乗動作(直角移乗)のリハビリテーションとポイント

脊髄損傷における起き上がり動作の方法とポイント

脊髄損傷の寝返り動作の方法とポイント

脊髄損傷とプッシュアップ動作!レベル別に見た必要な筋機能と練習方法

長座位の練習段階
①両上肢を前側方(大腿中部外側)につき、上肢は外旋回外位で肘関節を伸展位でロックします。
②上肢支持を中央に寄せていき、手を大腿部に乗せます。

③上肢を片方ずつ挙上し、最終的に両上肢を前方挙上させます。

起き上がりやいざり動作の準備として、両上肢を後方で支持させる訓練も行います。
④上肢の保護伸展活動の練習を行います。
 セラピストは対象者の前方で上肢を保持し、そこから片方ずつ前方、側方、後方へ向けて手をつく練習を行います。次に両上肢同時に手をつけるようにします。
⑤動的な練習につなげるには、ボール保持やボールパスを行います。

*上肢の支持性が弱い場合、下肢の間にボールを置き姿勢保持を行います。

端座位の練習
・座位バランスの状態により、セラピストは体幹・肩甲帯の支持の場所を変えていきます(肩甲帯→胸部→腰部)。

・手をつく際、手関節は背屈位、上肢は外旋位にすると、肘関節を伸展位で固定しやすくなります。
・両上肢を伸展位保持しながら、肩をすくめることで前方への重心移動を学習します。
・安定した姿勢から徐々に後方に手を移動し、体幹を後傾させ重心移動を学習します。
*端座位では、腕の屈伸ではなく肩の挙上、下制にて制御します。
・円背が強い場合、頭部伸に対して抵抗をかけ、僧帽筋や固有背筋を働きを促します。

座位バランスが比較的良い場合
座位バランスが比較的良い場合、端座位においても両上肢を上げてフリーにできることもあるかと思います。
そのような場合、風船を打ち合ったりすることで、動的なバランス能力を向上させていきます。
また、左右や回旋を伴うリーチを行うことで、体幹制御の学習を促していきます。

 

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