廃用症候群など、生活の不活発さが原因となり、要介護状態になる方では、日常の身体活動量の低下が主な原因となっています。リハビリテーションで機能向上を果たしても、在宅での生活において身体活動量が向上しなければ、リハビリテーションの長期効果が期待できなくなります。今回、廃用を防ぐために、質問紙を用いた身体活動量計測についてまとめていきたいと思います。

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不活発を防ぐ!質問紙を用いて身体活動量を計測する方法!

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なぜ身体活動量の計測が必要か

リハビリテーションの対象者には、廃用症候群と呼ばれる状態の方がいます。

廃用症候群(はいようしょうこうぐん、英: disuse syndrome)とは、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下等を指す。

生活不活発病とも呼ばれる。

特に病床で寝たきり状態でいることによって起こる症状が多い。

Wikipedia

安静状態が長期に続いているということは、身体活動量も自ずと低下していることが予測できます。

対象者の身体活動量を知るということは、対象者が1日の中で、どのような種類の活動を、どの程度の時間、どのような頻度で行っているかを把握することができます。

廃用が進んでいる方には、リハビリテーションを実施することによりその改善が見込まれますが、生活が不活発な状態を改善することが、今後の廃用を防ぐ上でも大切になります。

対象者は、自分の身体活動量がどの程度なのか、また、現状を維持したり、機能を向上していくためにはどの程度の身体活動量が必要なのかも把握していないと思われます。

身体活動量を計測することで、対象者自身にとってもフィードバックとなり、今後のための問題解決の材料として役立つことも考えられます。

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身体活動量の指標はあるのか?

身体活動量の指標として、「消費エネルギー」があります。

friedらはフレイルの評価基準として、低い身体活動の基準に1週間あたりの身体活動量によるエネルギー消費が男性では383kcal以下、女性では270kcal以下としています。

フレイルの予防とリハビリテーション

ここでフレイルという用語について確認しておきます。

フレイルは、厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。

多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html

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質問紙による身体活動量の計測

①生活スケジュールの把握

これは、作業療法などでよく用いられている方法です。

1日のスケジュールを確認していく中で、1日のうちにどのような活動を行っているのかを把握することができます。

例えば、以下のような方はかなり活動量の低い方と予測することができます。

7時起床
洗顔、歯磨き
朝食、着替え
8時テレビ鑑賞
12時昼食
13時昼寝
15時テレビ
19時夕食、歯磨き
20時入浴
21時就寝

このような日常を繰り返していると、活動量の低下から、筋肉量が低下し、それに伴いバランス能力の低下や転倒の危険が高まるなどということにつながる可能性があります。

スケジュールの把握することのメリットは、他にも対象者が感じている、活動の行いにくさなども面談の中で把握することが可能です。

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②IPAQ(国際標準化身体活動質問票)

質問紙を用いた身体活動量の計測方法として、IPAQ(International Pysical Activity Questionnaire)があります。

IPAQは、現在までの1週間の中で、

「強度の身体活動」
「中等度の身体活動」
「歩行」
「安静」

の中で、どの程度行っていたか(日数、時間)を把握していくものです。

評価結果から、エネルギー消費量を算出します。

以下の質問では、1回につき少なくとも10分間以上続けて行う身体活動についてのみ考えて、お答え下さい。

質問 1a 平均的な1週間では、強い身体活動(重い荷物の運搬、自転車で坂道を上ること、ジョギング、テニスのシングルスなど)を行う日は何日ありますか?

質問 1b 強い身体活動を行う日は、通常、1日合計してどのくらいの時間そのような活動を行いますか?

質問 2a 平均的な1週間では、中等度の身体活動(軽い荷物の運搬、子供との鬼ごっこ、ゆっくり泳ぐこと、テニスのダブルス、カートを使わないゴルフなど)を行う日は何日ありますか?歩行やウォーキングは含めないでお答え下さい。

質問 2b 中等度の身体活動を行う日には、通常、1日合計してどのくらいの時間そのような活動を行いますか

質問 3a 平均的な1週間では、10分間以上続けて歩くことは何日ありますか?ここで、歩くとは仕事や日常生活で歩くこと、ある場所からある場所へ移動すること、あるいは趣味や運動としてのウォーキング、散歩など、全てを含みます。

質問 3b そのような日には、通常、1日合計してどのくらいの時間歩きますか?

質問 4 最後の質問は、毎日座ったり寝転んだりして過ごしている時間(仕事中、自宅で、勉強中、余暇時間など)についてです。すなわち、机に向かったり、友人とおしゃべりをしたり、読書をしたり、座ったり、寝転 んでテレビを見たり、といった全ての時間を含みます。なお、睡眠時間は含めないで下さい。平日には、通常、1日合計してどのくらいの時間座ったり寝転んだりして過ごしますか?

http://www.tmu-ph.ac/pdf/IPAQ%20Japanese%20version(short%20version%20usual%20week).pdf

高強度の場合、推定METSは8
中等度の場合、推定METSは4
歩行の場合、推定METSは3.3

となります。

ここで、「METS」について説明します。

METSは運動強度の指標です。

これは身体活動の強さを、安静状態の何倍に相当するかを示す単位です。

座って安静にしている状態を1METsとし、普通歩行は3METsとなります。

つまり、安静時と比較し3倍の代謝でカロリー消費が行われるということになります。

エネルギー量(kcal)は、

”エネルギー消費量×体重(kg)×時間(分)×補正係数”で求めることが可能です。

エネルギー消費量は、

活動項目エネルギー消費量
睡眠0.0170
食事0.0269
身の回り(身支度、洗面、便所)0.0287
休息・談話0.0233
入浴0.0606
炊事(料理・かたづけ)0.0481
洗濯(手洗い)0.0587
洗濯(洗濯機)0.0410
洗濯(干す・とり込む)0.0587
洗濯(アイロンかけ)0.0464
布団あげおろし0.0818
掃除(はく・ふく)0.0676
掃除(電気掃除機)0.0499
趣味・娯楽(生花、茶の湯、楽器演奏など)0.0287
教養(読む、書く、見る)0.0233
裁縫(縫い、ミシンかけ)0.0287
買い物0.0481
家庭菜園、草むしり0.0552
机上事務(記帳、パソコンの使用等)0.0304

階段(のぼる)

0.1349

階段(降りる)

0.0658

階段昇降

0.1004

乗物(電車・バス)

0.0375

自動車運転

0.0287

歩行(普通)

0.0570

散歩

0.0464

歩行/分速60m

0.0534

歩行/分速70m

0.0623

歩行/分速80m

0.0747

歩行/分速90m

0.0906

歩行/分速100m

0.1083

自転車(普通)

0.0658

自転車(平地)時速10km

0.0800

自転車(平地)時速15km

0.1207

自転車(登り)時速10km

0.1472

自転車(登り)時速15km

0.2602

自転車(降り)

0.0269

ジョキング(軽い)

0.1384

ジョキング(強め)

0.1561

剣道

0.1968

バスケット

0.2588

サッカー

0.1419

ゴルフ

0.0835

テニス

0.1437

バトミントン

0.1508

スカッシュ

0.1615

卓球

0.1490

バット素振り

0.2641

水泳(クロール)

0.3738

水泳(平泳)

0.1968

リズム体操

0.1472

体操(軽め)

0.0552

体操(強め)

0.0906

スケート練習

0.1437

となっています(http://www.geocities.jp/ooharamj/enagi.htmlを参照)。

補正係数は、

30歳代女性0.909 30歳代男性0.955

40歳代女性0.872 40歳代男性0.930

50歳代女性0.864 50歳代男性0.926

60歳代女性0.864 60歳代男性0.909

70歳代女性0.860 70歳代男性0.893

80歳代女性0.860 80歳代男性0.864

となっています。

私の場合、30代男性で体重64kgなので、例えばサッカーを60分行ったとすると、

0.1419×64×60×0.955=約520kcal

という消費カロリーになります。

エネルギー消費量は、糖尿病の運動療法にも関係しています。
詳しくは以下の記事を参照してください。
糖尿病とリハビリテーション!運動プログラムや低血糖にはどう対応するのか!

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質問紙法による評価の注意点

質問紙法では、対象者の答えに対する信頼性が問題になることがあります。

例えば、対象者の認知機能が低下しているような方においては、評価で得られた結果が本当に正しいのかどうかが疑わしくなってしまいます。

そのため、まずは「MMSE」や「HDS-R」を用いて、対象者の認知機能が正常レベルであるかどうかを把握する必要があります。

MMSEやHDS−R等、認知機能評価に関する記事は以下を参照してください。
認知症の評価とリハビリテーションアプローチ!効果測定できるリハを目指して!

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信頼性が高いのはやっぱり加速度計?

活動量の評価において、やはり信頼性が高くなるのは加速度計ではないでしょうか。

加速度計とは、

主に鉛直方向の加速度情報を任意の間隔(エポック長)で集計し、独自のアルゴリズムに基づいて、活動強度・頻度・パターンなどの活動様式を客観的に測定できる。

鉛直方向だけでなく、前後方向と左右方向の加速度情報を捉えることが可能な三軸加速度計が開発され、中高強度だけでなく、低強度の活動も精確に測定することが可能になった。

高齢期における生活機能の保持に向けた身体活動指標 大須賀 洋祐

とあるように、対象者の活動量を計測することが可能です。

加速度計は、対象者の腰、大腿、手首、足首などに装着し、装着時間における身体活動を計測することができます。

加速度計は、歩数のみならず、身体活動によって生じたエネルギー消費量も計算することができるなど、メリットがかなり大きくなります。

加速度計は、一般向けには販売されてはおらず、主に医療機関や研究機関が購入することが可能になっています。

有名どころとしては、

ニプロのウェルサポート®や、オムロンのActive style PRO HJA-750Cなどがあります。

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加速度計による活動量計測にデメリットはないのか

加速度計は、身体活動量を精確に計測できるという点においては、メリットしか感じられません。

しかし、加速度計にも、考慮しなければならない点があります。

例えば、介護調査のだけかなりしっかりとした印象を与えてしまう対象者の方はイメージできるでしょうか。

加速度計での評価においても、上記のような、その時だけしっかりしてしまう、あるいは張り切ってしまうような方もいるかもしれません。

そのような傾向がある方においては、装着前の十分な説明が必要になるでしょうし、1日だけのデータ計測のみで終わらない方がよいかもしれません。

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今回は以下の文献を参考にしています

以下の書籍は、ロコモティブシンドロームと関係のあるフレイル、サルコペニアについて詳しく書かれています。

概要から各種評価方法、エビデンスに基づくアプローチ方法が載っているので、根拠に基づきながらリハビリテーションを進めていきたい方は必読です。

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