パーキンソン病では、その初期から要素的に認知機能障害が出現すると言われています。今回、パーキンソン病で評価するべき認知機能障害についてまとめていきたいと思います。
目次
パーキンソン病と非運動症状!パーキンソン病で評価するべき認知機能障害!
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参考
立花 久大「パーキンソン病の認知機能障害」精神経誌(2013)115巻11号
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パーキンソン病ではどのような認知機能障害が見られるか?
パーキンソン病で確認される認知機能障害の概要
パーキンソン病では、以下のような認知機能障害が確認されますが、その初期では、観察による評価では確認されないことも多く、評価バッテリーにおいて確認されるレベルの機能障害の程度になります。
・遂行機能
・作動記憶
・手続き記憶(記憶機能)
・視空間機能
・注意
・情報処理機能
・社会的認知
パーキンソン病で確認される遂行機能障害の特徴
パーキンソン病における遂行機能障害では、セットの転換や保持、問題解決能力に問題が見られることが多くあります。
セットの転換(認知の柔軟性)とは、最新の情報と以前の情報を頭に保持し、適切な対象・判断を選択しながらセットを維持し、さらなる情報に従って転換していくことを指します。
この機能は前頭葉背外側部が関係していると言われています。
ワーキングメモリとも関与し、短期間ある情報を保持し、注意を配分しながら次の情報と照らし合せていくことになります。
パーキンソン病で確認される記憶障害の特徴
パーキンソン病における記憶障害では、作動記憶(ワーキングメモリー)、長期記憶、手続き記憶に問題が見られることが多くあります。
ワーキングメモリーの問題では、処理資源の配分がうまくいかなかったり、処理資源容量が減少していることが要因だとも言われています。
特に、視覚的(視空間的)なワーキングメモリーに問題が生じやすくなっています。
長期記憶の問題では、記憶の想起(検索過程)や登録に問題が生じやすいとされています。
また、日常的なエピソード記憶は保たれやすいですが、その時間的な前後関係についてはエラーが生じやすいとされています。
さらに、パーキンソン病では手続き記憶やプライミングの障害も生じやすいと言われています。
パーキンソン病で確認される注意障害や情報処理機能障害の特徴
パーキンソン病における注意障害では、覚醒レベルや注意・集中の維持については保たれていることが多いと言われています。
効率よく課題を遂行していくために処理スピードを必要とされる課題などでは問題が見られやすくなります。
複数の課題を同時に行うときには、注意配分を分け合うことになりますが、そのときに活用できる注意の容量は個人によって決まっており、このことを注意資源と呼んでいます。
パーキンソン病では、この注意資源を自らどの程度振り分けるかというような調整が行いにくくなります。
パーキンソン病における社会的認知機能障害の特徴
パーキンソン病における社会的認知機能障害では、他者の表情や行動からその感情などを推測する機能が低下しますが、中でも嫌悪や恐怖の表情を見分けることが困難だとされています。
また視線を向けられているのを感知したり意思決定にも問題が見られやすくなるとされています。
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パーキンソン病で認知機能障害が起こる理由
パーキンソン病では、よく大脳皮質-基底核ループの話が出てきますが、認知機能障害は、前頭前野ループが関与しているとされています。
前頭前野ループは、「背外側前頭前野-尾状核-前腹側核、背内側核」
「外側眼窩前頭皮質-尾状核-前腹側核、背内側核」
でループを形成しています。
遂行機能、問題解決、意思決定や衝動のコントロールを制御する役割があります。
また報酬予測にも関連するとされています。
前頭前野ループの機能低下では、これらの機能低下に加え、運動学習を阻害することも予測されます。
また、レボドパ治療により認知機能障害が必ずしも改善しないということから、上記ループに関するドパミン系の問題だけではなく、その他の系(アセチルコリン、ノルアドレナリン)の問題も、認知機能障害出現に関係していると言われています。
https://youtu.be/dNiFF-Va71s
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