肘頭骨折のリハビリテーション-術後固定時期、固定除去時期に合わせた評価とアプローチの具体的内容-
肘頭骨折のリハビリテーションとして、術後固定時期、固定除去時期に合わせた評価とアプローチの具体的内容についてまとめています。
目次
肘頭骨折のリハビリテーション-術後固定時期、固定除去時期に合わせた評価とアプローチの具体的内容-
上肢骨折や肘関節のリハビリテーションについてのお勧め記事
上腕骨(頚部)骨折に対するリハビリテーション!注意点やリハビリ方法!
橈骨遠位端骨折術後の作業療法!浮腫管理から可動域改善、ADL指導まで!
肘関節伸展可動域制限の原因と改善のためのリハビリテーション!
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)かも!肘の外側が痛い場合の症状と評価!
スポンサーリンク
肘頭骨折の概要

- 受傷機転
・直達外力(肘屈曲位で肘頭部を強打)
・介達外力(肘屈曲位で手をついて転倒し、上腕三頭筋に嫁延引される)
- 肘頭骨折の分類:colton分類
- 離開が2mm以下で転位がない場合、保存療法適応
- 手術療法はZuggurtung法が一般的
肘頭骨折の分類

colton分類
- Type1 離裂骨折、骨折線は横走、高齢者に多い
- Type2 斜骨折、滑車切痕の最深部から背側に向かう骨折
A 単純な斜骨折、転位の有無は問わない
B Aに第3骨片を伴う、転位はなし
C Aに第3骨片を伴う、転位がある
D Aの第3骨片が粉砕
- Type3 脱臼骨折
- Type4 骨片は粉砕し前腕骨幹部、上腕遠位部の骨折を合併することが多い
https://hpcr.jp/topic/plus/jargon/Colton%E5%88%86%E9%A1%9E
Mayo分類

スポンサーリンク
肘頭骨折に対する手術療法

- 離開2mm以上で手術を行う
- Zuggurtung法
・ワイヤー固定
・肘屈曲時に骨片への離開させる力を、上腕三頭筋張力で骨片への圧迫力に変換する作用がある
*引っ張りに対する固定力が弱い
⇒肘伸展では圧迫力にはならない(骨離開リスク↑)
⇒不安定な時期にむやみに肘伸展運動(自動)を行うと、離
開や偽関節を生じさせてしまう
肘頭骨折に対するリハビリテーションの注意点

- 暴力的な他動運動に注意
⇒微細損傷による異所性骨化や筋炎が生じやすい→拘縮へ - 関節面に合わせた運動を考慮(運搬角;キャリングアングル)
⇒肘関節の前額面上で上腕骨長軸と前腕長軸のなす角度
男性5°、女性10〜15°の外反
健側と比較し、可動域訓練の参考にする - 皮膚の伸長性低下を考慮
⇒皮膚のゆるみがないと屈曲制限につながる
*術創部への伸長や離開は疼痛による筋スパズムにつながりやすい
スポンサーリンク
肘頭骨折 リハビリテーションの流れ

- 術後固定期間中(シーネ固定)
・評価(疼痛、浮腫、手内筋の筋力測定など)
・肘関節周囲の柔軟性維持
⇒腫脹や浮腫管理、 前腕・手関節・手指筋群の収縮や伸張、上腕筋群の直接的伸張など
・患部外の可動域の確保 - 固定解除以降
・ 評価(可動域、創部の状態、疼痛、感覚など)
・皮膚の伸長性獲得と皮下の滑走性改善
・上腕三頭筋の滑走性改善
・従重力位での肘屈曲自動介助(→自動)運動、伸展他動運動
・骨折部の安定性が得られる時期(術後3W以降)より、抗重力位での肘伸展運動
腫脹や浮腫管理

- 高位挙上
- 筋の収縮と弛緩
- 圧迫
- 肘関節は挙上位をとりにくい
⇒背臥位や側臥位でのクッションの活用方法を工夫する
スポンサーリンク
前腕・手関節・手指筋群の収縮や伸張、上腕筋群の直接的伸張

- 過剰な炎症を引き起こさないように注意する
- 肘関節周囲筋群のリラクゼーション
⇒上腕二頭筋や上腕筋を把持して横方向へスライドさせる - 筋収縮の許可があれば
⇒肘屈筋・伸筋の弱めの等尺性収縮 - 筋の短縮や変性を防げるようにアプローチ
患部外の可動域の確保

- 肩関節内・外旋
- 肩甲骨可動性
- 手指可動性
スポンサーリンク
皮膚の伸長性獲得と皮下の滑走性改善
- 術後は皮膚の修復過程において瘢痕が生じる
- 瘢痕は皮膚伸張性や皮下滑走性を低下させる
*浮腫によって強い瘢痕になる
- 肘背側皮膚伸長性低下は肘屈曲制限につながる
- 肘屈曲時の皮膚の伸長性(縦と横)と皮下の滑走性改善が重要
- 創部への伸長が加わらないようにしながら、周囲の皮膚を操作する
スポンサーリンク
固定除去後の介入のポイント

- 痛みをできるだけ生じさせない(愛護的に)
- 筋のリラクゼーションを得る(上腕二頭筋や上腕三頭筋の同時収縮が生じやすい)
- 固定除去に対する不安や関節運動への不安
⇒上肢の過緊張(固定)につながる
体幹部や肩周囲のリラクゼーションから介入も検討 - 腕尺関節や腕橈関節の愛護的な牽引は靭帯や関節包伸長につながる(準備運動的な役割がある)
従重力位での肘屈曲自動介助(→自動)運動、伸展他動運動

- 肘屈曲可動域獲得に向けての最初の課題
①背臥位、肩関節 90°屈曲位で固定(上腕二頭筋を抑制しながら上腕三頭筋の張力を維持させる)
②自動介助(→自動)運動で屈曲させる(必要に応じてマイルドな抵抗をかける)
③他動運動にて肘伸展させる
スポンサーリンク
抗重力位での肘伸展運動

- 肘頭の離開に考慮して行なう事が必要
・背臥位で実施(前腕の自重を利用できる)
・肘屈曲位(45°以上)で等尺性収縮から開始(徐々に自動介助運動→自動運動へ)
・肘頭が離開しないように把持しながら行なう
ADLに必要な肘関節運動

- 肘の実用的な可動域は30-130°
- 日常では20-30°の範囲でしか肘は伸展しない
- 見た目の部分での伸展可動域獲得は必要
- 実用可動域以上の可動性が確保されていると、最終域で手を使いやすい



