肩関節外旋制限の因子として、烏口上腕靭帯がその一つとして考えられることがあります。烏口上腕靭帯は、肩のブレーキ作用としての役割も有しており、その特徴を把握しておくことで、肩関節の臨床に役立てることができます。今回、烏口上腕靭帯と肩関節外旋制限について、まとめていきたいと思います。

烏口上腕靭帯と肩関節外旋制限

肩関節外旋制限の原因因子となるもの

肩関節外旋制限の原因になるものには、どのようなものがあるのでしょうか。
肩関節の臨床においては(肩でなくても)、制限される原因因子をできるだけ多く知っていることが大切になります。
以下に、1st(肩関節下垂位)での外旋を制限する原因となるものを挙げていきます。
・棘上筋前部線維
・肩甲下筋上部線維
・腱板疎部
・烏口上腕靭帯
・前方関節包
・上関節上腕靭帯
・上腕二頭筋長頭
などが考えられます。
これらの因子の短縮、拘縮、筋緊張の程度により肩関節の外旋が制限されます。

烏口上腕靭帯について

烏口上腕靭帯は、烏口突起から大結節、小結節をつなぐ靭帯で、肩関節の動きに対してブレーキをかける役割を有しています。

烏口上腕靭帯について、

他の靭帯とは異なる組織学的構造を有しており、関節包と類似した疎性結合組織からなる強靭さを欠いた靭帯である。
これにより走行の異なる腱板の間隙を埋めて、張力を調整していると考えられる。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略

とあります。

すべての人に当てはまるわけではありませんが、小胸筋から烏口上腕靭帯がつながっている方もいるとされており、そのような場合には、小胸筋を緩めることで烏口上腕靭帯の緩みも得られることが考えられます。

烏口上腕靭帯はどんな時に緊張するのか

烏口上腕靭帯は肩のブレーキに作用するのですが、肩関節がどのような肢位で緊張するのでしょうか。

肩関節外旋:大結節・小結節に付く部分の両方が緊張する
肩関節伸展:小結節の部分が緊張する
肩関節内旋:弛緩する
肩関節内外旋中間位での挙上:弛緩する

肩関節外旋制限と烏口上腕靭帯

肩関節外旋制限について、「肩、その機能と臨床」の著書である信原先生は、肩甲下筋による制限因子よりも、烏口上腕靭帯によるものが多いと考えているようです。

肩甲下筋と烏口上腕靭帯のどちらが制限なのかを見分ける

前途したように、肩関節外旋制限には様々な因子がありますが、ここでは肩甲下筋と烏口上腕靭帯における制限因子の見分け方について考えていきます。

肩甲下筋の停止部は小結節です。
烏口上腕靭帯の停止部は大結節、小結節の両方につきます。
このことから、肩関節外旋時に、小結節より外側にある大結節が伸張されれば、烏口上腕靭帯が制限因子として考えられます。

方法:
結節間溝の外側に手を添えておきます。肩関節を外旋させます。
烏口上腕靭帯が制限の場合:「ピン」と張ってくる感触が得られます。
肩甲下筋が制限の場合:張る感触は得られない。

大結節と小結節の触診

前途した評価方法を実践するには、大結節、小結節、結節間溝の触診が行える必要があります。
簡単に説明すると、
上腕骨を内外旋中間位とした場合、結節間溝は前方に位置します。
上腕骨を内旋位とした場合、大結節が前方に位置します。
上腕骨を外旋位とした場合、小結節が前方に位置します。

肩関節下垂内旋位では大結節の後方部分が前に位置していることになります。
そこから外旋していくと、大結節が出てきて、途中くぼむ(落ちる)所が結節間溝で、そこから出てくるのが小結節になります。
詳しくは、以下の書籍を参考にしてください。