片脚立位は、バランス評価の一つとして利用されており、また転倒リスクを測る項目としても採用されることがあります。では、片脚立ちが行えるにはどのようなメカニズムがあるでしょうか。

片脚立位(片脚立ち)が行えるメカニズム!

片脚立位とバランス

通常の立位、すなわち両測定が床面に接地している立位がとれても、片脚立位となるとたちまちうまくバランスを取りにくくなる方はリハビリテーション対象者にはたくさんいると思います。

バランスをとるということには、いくつかの要素が考えられ、それは視覚、前庭覚、体性感覚からの情報が重要になります。

 

視覚系は、垂直方向性や視覚の流れに関する情報を提供します。

オプティカルフローの情報は、個人や環境の動きを探るのに重要な情報入力となります。

視覚情報はあいまいなため、精度を求めるには他の感覚情報と比較する必要があります。

 

体性感覚情報は、足底の皮膚受容器、圧受容器、筋紡錘、関節受容器からなります。

体性感覚情報はあいまいな可能性があり、例えば、足関節背屈は身体が支持基底面上で前方移動していることを示しますが、坂道に立っていると正中姿勢と一致することがあります。

 

前庭系は、頭部の位置や、重力に関連する空間での頭部運動の決定に役立ちます。

 

これに加えて重要なのが筋活動です。

片脚立位でバランスを保持するには、体幹下肢の筋活動が要求されます。

 

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片脚立位と体幹の筋活動

「片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺との関係」という論文では、返却立位時の体幹筋の筋活動について検討刺されています。

片脚立位時の立脚側体幹筋においては,両脚立位と比べて,主に内腹斜筋,腰部多裂筋の活動が増大し,胸部脊柱起立筋,腰部脊柱起立筋は変化が少ないことが 示された。

鈴木  哲他「片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺との関係」理学療法科学  24 ( 1 ) : 103–107 , 2009

これは立脚側、つまり体重支持している側の体幹筋の筋活動を示しています。

また、遊脚側、つまり体重支持していない側の体幹筋の筋活動については、

片脚立位時の遊脚側体幹筋においては,両脚立位と比べて,主に胸部脊柱起立筋,腰部脊柱起立筋,外腹 斜筋の活動が増大し,内腹斜筋は変化が少ないことが示された。

鈴木  哲他「片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺との関係」理学療法科学  24 ( 1 ) : 103–107 , 2009

とあります。

遊脚側の体幹筋の活動は、そのままだと重力により水平方向を保てなくなるのを防ぐために活動していることがうかがえます。

この研究では、遊脚側の外腹斜筋が側方動揺のコントロールに関与しているのではないかとも考察しています。

よく片麻痺の方で、非麻痺側の荷重での片脚立位が不安定な方がいますが、これは遊脚側である麻痺側の体幹筋による側方動揺のコントロールが不十分であることも考えられます。

 

片脚立位と下肢の筋活動

片脚立位でのバランス保持において下肢筋活動で最も重要なのは、おそらく股関節周囲筋だと思います。

特に、中殿筋の筋活動により、側方の動揺に対するコントロールが行われます。

また、中殿筋は内転筋群と協同して働くことにより、大腿骨頭の安定性を高めることが知られています。

このことからも、片脚立位でのバランス保持能力の向上を狙うには、中殿筋だけでなく、内転筋の筋力、前途した体幹筋が協調して働くようなシステムとしてのトレーニングを検討していく必要があるといえます。

その他の要素としては、

支持側の中臀筋・小臀筋・大腿筋膜張筋・大臀筋上部繊維と腸脛靭帯や筋膜における受動的緊張を必要とします。

脳卒中の動作分析 臨床推論から治療アプローチまで

とあります。

これら筋肉の適切な筋緊張が保たれている必要があることがうかがえます。

片脚立位における足関節と体性感覚

片脚立位によるバランス保持では、足関節でのコントロールが重要です。

足関節でのバランスのコントロールについて、

健常者では姿勢制御の要求が増すのに合わせて、足部内在筋の活動が増し、足部を安定させることでバランスが維持される。

また踵骨のアライメントは足部内反に影響を与え、足部のアーチが高いと重心移動量が多くなる

脳卒中の動作分析 臨床推論から治療アプローチまで

とあります。

足部の筋活動が低いと、バランス保持が難しくなるというのは有名な話だと思います。

足部の適切な筋活動を得るには適切な足部のアライメントも当然ながら必要になります。

足のアーチの評価も重要になります。

ちなみに、足の内在筋ではなく外在筋が優位になると、タオルギャザー活動をするときにみられるような指の屈曲が強くみられます。

 

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片脚立位と体性感覚についてですが、重要なのが足底感覚になります。

足底の感覚が不十分でならば、特に視覚によるアシストが得られないような状況ではバランス保持が難しくなります。

さらに細かく考えていきます。

片脚立位では立脚側の足底の圧の移動に注意を向けておく必要があります。

圧が外側に移動すれば、自分の重心が外側に移動したことがわかります。

また圧が内側に移動すれば、自分の重心が内側に移動したことがわかります。

重心が外側に移動していけば、足部は内反方向へ運動が起こりますが、この時バランス保持のためには足関節外反を行う筋の収縮が必要になります。

このように、足底で圧の変化に伴う重心移動を知覚できるかどうかというのは、バランス保持には大切な要素になります。

片麻痺者と片脚立位

脳卒中の片麻痺者において、非麻痺側で片脚立位でバランスを保持することができれば、理論的にはトイレ動作におけるズボンの上げ下ろしは可能になるはずです。

しかし、脳卒中片麻痺者では非麻痺側の片脚立位が困難なことが多くみられます。

 

よく、非麻痺側は健康にあらずというような事が聞かれます。

錐体路は非麻痺側にも影響を及ぼすためです。

また、麻痺側の不安定性を代償するために非麻痺側に過剰な筋活動が生じている場合もあるかもしれません。

想像してほしいのですが、健康的な方でも、足にかなり力が入っている状態では、圧などを知覚することは難しいはずです。

前途した体幹筋、下肢筋の筋活動、足部の安定性と知覚機能などに加え、非麻痺側の状態を評価していくことも重要になります。

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