なんらかの障害により眼球運動が障害されている場合、複視や視覚的な見えにくさ、注意力の低下につながることがあります。今回、眼球運動訓練の方法として、わかさ生活のビジョントレーニングを利用した方法を紹介しようと思います。

眼球運動訓練の方法!わかさ生活「ビジョントレーニング」を利用して!

眼球運動障害の評価

①対象者の眼前30〜60㎝に検者の指や指標を置き、その先を見つめさせゆっくりと左右、上下に動かします。
頭を動かさないように指示しますが、この際片手で頭を軽く押さえ、注視により頭を回転させようとするかを感じ取るようにします(注視障害を補正するように頭を動かすことがある)。
左右からの動きを見るようにします。上下の運動は、人により動く範囲に差があります。

②眼筋の検査では、対象者と向き合い、検者の示指先端を見つめさせます。
眼球の左右への動きをみて、内、外直筋の動きを調べます。
次に右or左を注視させ、その位置で指を上下に動かし、眼球の動きをみます。

眼球運動の正常範囲ですが、上方では黒目の下に必ず白目が見られますが健常者でも程度は個別性があります。下方では眼瞼を上げると正常では角膜上縁は内外の眼角を結ぶ線に達します。
両目は左右同様に動くのが正常です。いずれかの方向に複視が生じることがあります。
指標を動かしたときに、眼球運動が滑らかでなければ異常があります。
左右の眼の動きは、共同しますが、一方が遅い場合もありえます(右方向注視と比較して左方向注視が遅い場合、潜在性に左方注視障害がある)。
小脳症状があると、側方注視において眼球の測定異常がみられます。
普通に指標を見つめさせて追跡するのは滑動追従運動(滑らかで連続的)で、視点の急激な変化に伴う眼球運動は衝動性眼球運動です。
衝動性眼球運動が障害されると、眼前の2点の間を交互に素早くみることが困難となります。衝動性眼球運動のみが障害されることを緩徐眼球運動と呼び、脳幹部で症状がみられることがあります。

その他の視覚機能評価については、以下の記事を参照してください。
リハビリテーションにおける視機能検査の概要と方法

眼筋と眼球運動

動眼神経は上直筋(作用は上転、内転、内方回旋)、内直筋(作用は内転(水平方向のみ))、下直筋(作用は下転、内転、内方回旋)、下斜筋(作用は上転、外転、外方回旋)を支配しています。
滑車神経は上斜筋(作用は下転、外転、外方回旋)を支配しています。
外転神経は外直筋(作用は外転(水平方向のみ))を支配しています。

眼球運動のトレーニング

眼球運動の評価により、眼球の動きが阻害されていることがわかれば、眼球運動をスムーズに行えるようにアプローチしていく必要があります。
その際に役に立つのが、わかさ生活で提供されている、ビジョントレーニングです。
いくつかコンテンツがあるのですが、私が臨床でよく利用しているのは、下図のようなものです。

出典:http://kenkyu.wakasa.jp/training/eyemovement/

見ているだけでも目がごちゃごちゃになりそうな気がします。
このビジョントレーニングの利用方法は以下の通りです。
①椅子に座り、机の上で対象者の正中に用紙をセットする
②対象者は「1」〜「50」までの数字を見つけていく
*眼球運動訓練として行う場合は、頭部の回旋は行わず、眼球運動のみで見つけさせる。

これ、実際にやってみるとかなりの集中力がいります。
なので、注意の維持能力向上のためのトレーニングにも利用できるのではないかと思っています。
早く見つけていこうと思うと、眼球運動としてはかなりスムーズで全方向に動く必要があります。
よくよく考えてみるとトレイルメイキングテストと似た要素も持ち合わせていますよね。
半側空間無視の方においても利用できるかもしれません。

眼球運動トレーニングの種類

先ほどのわかさ生活のビジョントレーニンングでは、自分に近い空間での眼球運動トレーニングでした。
しかし、日常生活を考えるともっと広い空間での適応が必要になります。
半盲などで利用される眼球運動トレーニングの種類として、
①見えない側への大まかな探索訓練(視覚性視野領域探索)
②見えない側に向かって大きく眼を動かす
③読みの改善を促すための細かな眼球運動
があるとされています。

リハビリテーション場面では半盲、複視に対する眼球運動訓練を行うことが多いと思います。
上記のような視点をもって眼球運動トレーニングを行っていく必要性があります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
視野障害(半盲)のリハビリテーション
脳卒中による複視のリハビリテーション