筋力強化を行う上で、抵抗運動を行うのは大原則ですが、実際にはどのような基準を用いて行っているでしょうか。基準があいまいなままではただ単に運動を行っているに過ぎず、根拠あるリハビリテーションとはなりません。また、抵抗運動を行う際の注意点も考慮する必要があります。今回、筋力強化のための抵抗運動の方法と注意点についてまとめていきたいと思います。

筋力強化のための抵抗運動の方法と注意点

筋力強化のための抵抗運動の考え方

筋力強化には原理原則があります。

最大筋力の20〜30%に相当する強度ではトレーニングによる筋力増強は認められず、40%以上の強度で行う必要があるとされています。
最大筋力でトレーニングを行った場合に最も効果が大きいとする報告が多く、一般的には60%以上の強度でトレーニングを行うのが効果的とされています。

筋力強化を行うには、ある程度持続して筋収縮を行わせる必要もあります。

最大筋力に対する%で示したトレーニング強度

必要な筋収縮時間

40〜50

15〜20

60〜70

6〜10

80〜90

4〜6

100

2〜3

上記の表が意味しているのは、強度が低くても、筋収縮させる時間を長くすれば筋力強化を示すことができるという点です。
痛みがあり強度の高い運動ができない場合には、強度を下げながら筋収縮の時間を長くさせることが原則になります。

抵抗運動の反復回数との関係をみていきます。

最大筋力(1RM)に対する割合(%)

最高反復回数

期待できる主な効果

     100

      90

      80

      70

      60

      50

      1/3

     1

   3〜4

  8〜10

 12〜15

 15〜20

 20〜30

 50〜60

集中力

 

筋肥大

 

筋持久力

(最大速度で行えばパワートレーニング)

上記のことから、筋肥大を目指すには最高反復回数が8〜15回の範囲で行うのが良いことがわかります。
また、筋持久力向上を目指すには最高反復数が15〜20回以上の範囲で行うのが良いことがわかります。
セラピストが抵抗をかける際には、筋力あるいは筋持久力のどちらを向上させたいのか目的をはっきりとさせ、上記のような考え方を元に抵抗運動の負荷量を決定していく必要があります。

また、患者様の自主トレーニングを設定する際にも、筋力強化を目的とするのであれば8〜15回で限界にくるような負荷量を設定させる必要があります。
また、筋持久力向上を目的とするのであれば15〜20回以上で限界にくるような負荷量を設定させる必要があります。

そのため、例えば自重を利用して筋力強化を行うのであれば、途中で等尺性収縮を入れて空中で肢位をとめるなどして負荷量を調整させる必要があります。

抵抗運動にリスクがある方にはどのように対応するのか

抵抗運動にリスクのある方とはどのような方が当てはまるのでしょうか。
例えば、
・骨粗鬆症
・心疾患
・呼吸器疾患
・虚弱高齢者
などの方です。
このような方においては、抵抗運動を調整する必要があります。

骨粗鬆症の方においては、抵抗運動を行うことにより骨折につながることも考えられます。
筋力強化運動を行う上での注意点としては、
・持続的な抵抗運動とする
・抵抗を加える部位を強化したい部位の関節近くに設定する
*上腕二頭筋の強化であれば、手関節付近よりも肘関節付近にする
・目標とする抵抗の負荷量にいくまでに時間をかける
・関節の動揺が起きないように関節保護を徹底する
などが挙げられます。

骨粗鬆症のリスクが高くなるのは閉経後の女性も該当するので、注意を要します。

虚弱高齢者では、まずは全身持久性の向上を目的に筋力強化を考えていく必要があります。

体力の維持あるいは持久性とは、脈拍・血圧の変化が安全な範囲で、途中に休憩をとりながら動作し続けて、翌日に疲れを残さず、少なくとも3〜4回/週の頻度でその動作ができるかで評価し、適正量が同時に動作実施の許容と考えています。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて

呼吸器疾患などの方においては、

筋収縮が局所的な無酸素運動になりやすく、その負債を戻すことが換気の負担超過にならない量にコントロールする必要があります。
末梢循環障害の人は、過度な筋収縮は局所的疲労と痛みの原因になり、末梢循環に過度の負債を残すので抵抗と収縮時間、休憩を調整します。

片麻痺 能力回復と自立達成の技術 現在の限界を超えて

とあります。

リスク管理を行う上では、リハビリの中止基準を知っておく必要性もあります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
リハビリテーションとリスク管理:リハビリの中止基準