視床出血ではなぜ運動失調が起きるのでしょうか?対象者の方が失調様の症状を呈しているときに、それが運動失調による物なのか、運動麻痺によるものなのかについての考えることができると、アプローチも最適なものが選択できます。

視床出血でなぜ運動失調が起きるのか!メカニズムと小脳との関係!

参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptkanbloc/30/0/30_0_10/_article/-char/ja/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/4/0/4_0_15/_pdf
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B0%E8%A9%A6%E9%A8%93

視床亜核と脳の連絡

視床では嗅覚以外の全ての感覚情報を処理し大脳皮質へ送る、中継核としての役割があります。
運動制御に関連する核も存在し、運動野や大脳基底核、小脳などとの連絡もあります。
ここでもうピンと来た方もいるかもしれません、小脳との連絡があるため、そこに関連する部位に損傷を受けると失調症状が生じる可能性があるのです。

視床亜核にはどのようなものがあり、脳画像上ではどこにあるのでしょうか。
図を見てもらうとだいたいのイメージはつくかと思います。
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出典:中上 博之先生の脳画像資料

視床亜核の中でも、運動失調に関連する部位は、
・後外側腹側核(VPL)
・外側腹側核(VL)
があります。
それぞれの機能を見ていきます。

後外側腹側核(VPL)、後内側腹側核(VPM)
入力:内側毛帯、脊髄視床路
出力:体性感覚野
四肢体感の体性感覚、後内側腹側核は顔面感覚に関連

外側腹側核(VL)
入力:基底核、小脳
出力:運動野
精緻運動に関連

視床損傷と運動失調の種類

視床亜核の損傷のうち、VPL損傷では感覚性の運動失調、VL損傷では小脳性の運動失調が生じると言われています。
VPLは、後索路(触圧覚、振動覚、深部核)との関連があります。脊髄後索を通った情報は、VPL核を介して体性感覚野に伝えられます。
感覚性の運動失調においては、関節位置覚の消失による失調症状になります。
静止時や運動時の両方に動揺が起こるとされています。四肢(主に下肢)に運動失調が出現しやすくなります。
感覚性失調かどうかを調べるものには、「ロンベルグ試験」があります。
ロンベルグ試験の概要は、以下のようになります。

被験者に足をそろえ、目を閉じて直立するように言う。実施者は被験者の近くに立ち、被験者が倒れて怪我をしないように注意する。被験者の動きを周囲の垂直な物(部屋の柱やドア、窓など)と比較して観察する。体の揺れがあれば、陽性と記載する(時として不規則に揺れたり、転倒したりすることもあるので注意する)。基本的な特徴は、被験者が開眼しているときよりも不安定になるということである。

試験の基本的要領は次の通り。
1.被験者は手を体の側面に添え、開眼して足をそろえて立つ。
2.被験者が目を閉じ、そのまま実施者は一分間観察する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%B0%E8%A9%A6%E9%A8%93

ロンベルグ試験の2番目の閉眼課題では、視覚からの情報がない場合に、位置覚が正常であれば姿勢を保つことができます。
位置覚が障害されていると、姿勢の崩れが見られます。
これが、感覚性の失調の特徴になります。

VL損傷では小脳性の運動失調がみられます。
小脳性の運動失調では基本的には感覚障害は認められません。
小脳失調の症状としては、
・測定障害
・共同運動不能・変換運動障害
・円滑性の障害・協働収縮不能
・企図振戦
・時間測定異常
・運動分解
などが生じます。

小脳性の運動失調では感覚障害が認められないとしましたが、VPLやVLは近くにあることから、損傷度合いによっては小脳失調や感覚障害が同時に生じることもあると考えられます。
また、運動麻痺も同時に呈する事も十分考えられます。
症状を見極める一番確実な方法は、画像を見ることでどこが損傷されているかを評価することです。
私ももっと画像が見れるようにならないといけないと感じています。