私たちは日常生活の中で、目で見ることを通して様々な情報を得ています。視覚の入力系に問題があると、日常生活上や職業生活において困難さを生じることがあります。今回、視覚機能(入力系)に対する問題とリハビリテーションアプローチについてまとめていきたいと思います。

視覚機能(入力系)に対する問題とリハビリテーションアプローチ

視覚機能について

私たちは、視覚をどのように利用して日常生活をおくっているのでしょうか。

目で見た(捉えた)情報は、感覚情報として今までの経験や知識をもとにしてそれが何であるかを認識します。

認識した情報(色、形、距離など)をもとに、自分の体や手による運動と協調しながら動作を遂行します。

このことから、視覚機能を考えるときには、
・目から入る情報を入力する機能
・入力された情報が何であるかを理解する視覚認知機能
・手や体と目の協調機能(出力)
に分けることができます。

目から入る情報の入力が困難になる原因

情報が入力されないと、私たちは出力ができません。

暗闇の中でダーツをするようなものです。

それだけ、私たちにとって目からの情報が入力され、脳に伝達されるということは重要なのです。

目からの情報が入力されるには、まず目を構成する組織に問題がないことが必要になります。
・レンズ
・網膜
・瞳孔
などが構造的に問題がないことがポイントになります。

次に、視力の問題がないことも必要です。
・近視
・遠視
・乱視
などが挙がります。

また、ピントを調整したり、動いた対象物を目で追う機能(追視)である眼球運動も情報入力においては重要な要素となります。

目は左右合わせて2つあるのは当たり前です。

この左右2つの目を適切に機能させることによって対象物の立体感を捉えることができます。

視覚入力の障害による日常生活上の困難さや症状の例

・本や書類を見るときに疲れやすい
・文章を読むときに読み飛ばしがある
・表の縦横の列を見失う、見誤る
・近くの本や書類を見るのを避ける
・目だけで文章を追えない/指で文章を追いながら読む
・似ている字を読み間違う
・黒板やホワイトボード、スクリーンの文字を写して書くのが苦手
・字の習得に時間が掛かる
・両目が同じ方向を向かない
・ものを見るときに目を細める
・ものを見るとき体の一部を傾ける
・ものを見るときに目をこすったりまばたきをする
・ものを見るとき、必要以上に顔が近い

などがあります。

これらのような日常生活上の困難さや、症状があるときには、視覚の入力系に問題がある可能性があります。

目の構造や視力、眼球運動の評価を行い、どこに問題があってそのような困難さが生じているのかを把握するようにします。

視覚機能(入力系)に対するリハビリテーションアプローチ

視覚入力に関わる要素のうち、リハビリテーションの適応となるのは、主に眼球運動に関わる機能になります。

視覚入力に対するアプローチでは、以下のようなことを行っていきます。

まず、空間内での対象物の動きに対して、目で追いながら(追視)見続ける能力をトレーニングしていきます。

キャッチボールは、眼球運動を促す上では最も利用される活動です。

段階付けとして、
・大きいボール→小さいボール
・正面でのキャッチ→左右上下斜め方向でのキャッチ
・ゆっくりの動き→早い動き
などの段階付けの設定を行うことができます。

対象者が子供の場合、ボールよりもおもちゃやぬいぐるみが適切かもしれません。

子供の場合は本人が興味を持ち活動に取り組めることが大切です。

日常生活の中で大切になるのは、興味ある対象や注意を移す必要のある対象へ視覚探索が行えることです。

対象が成人であればUSNトレーナー、子供であれば積み木などを用いて、眼球運動を促して視覚探索が行えるようにトレーニングを行っていきます。

このようなトレーニングは、手を使っているので目と手の協調性をトレーニングしていることにもなります。

レベルを上げようとするならば、
・卓球ラケットとボールを使って打ち合う
・バドミントンラケットを使用し、投げられたお手玉をそれの上に乗せる
・バドミントンをする
などが考えられます。

視覚探索を空間的に広げていくことも大切ですが、日常生活の中では文章を読むことなど小さな範囲で正確に視覚入力が行えることも重要です。

我々が高次脳機能障害の検査で用いている、仮名拾いテストのような課題は、小さい対象物に対する視覚探索能力をトレーニングする上でも必要な要素になります。

また、百ます計算のような課題は、表の見誤りに対するトレーンニングとしても有効なものになります。

これらのトレーニングを通して、視覚入力機能の向上を期待するのと並行して、実際に困っていることへの練習も行っていく必要があります。

本を読む、板書を写すなどの練習も並行して行うとよいでしょう。

今回は視覚入力の問題についてのみ書きてきましたが、日常生活での困難さにはそれ以外に注意機能の問題や身体機能的な問題が他にもあるかもしれません。

総合的に評価を行うことで、対象者の問題点を捉え適切なアプローチをとることができます。