以前、MP関節の拘縮に対する可動域訓練の知識と方法についての記事を書きました。今回は、PIP関節に焦点を当て、文献を参考にしながら、その知識と訓練方法について整理していきたいと思います。

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目次

拘縮を防ぐ!指のPIP関節の可動域訓練の知識と方法

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参考文献

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手指外在筋、手内筋の短縮検査、短縮と拘縮を見分ける方法

軟部組織の短縮

手の不動状態が続くと、同一のポジショニングをとってしまいます。

すると、特異的変化として、筋節数、タンパク質含有量、筋重量低下、他動・自動での軟部組織の張力量、有酸素機能の低下、タイプⅠ・Ⅱ繊維の萎縮が起こります。

筋は変化しやすい組織であり、伸張よりも短縮されているときが変化が顕著になります。

変化は有害の可能性が高いですが、可逆性があり、矯正も可能です。

軽度の拘縮がある場合、30分の持続的な伸張が効果的だとされています。

より重度の場合、スプリントによる長時間の伸張が必要になる場合があります。

 

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短縮と拘縮の見分け方

外在性の軟部組織の関与を見分けるには、手関節の肢位を変化させることにより判断していきます。

外在筋の緊張が高ければ、手関節を軽度伸展位から屈曲位に変化させることにより手指の可動範囲が増加します(テノデーシス効果)。

関節の病理学的問題により可動域が制限されているのであれば、手関節の肢位を変化させても手指の可動範囲に変化はありません。

外在筋短縮テスト

①手指屈曲位で手関節伸展させます(長い屈筋の部分的伸張)。

②手関節伸展位保持で手指を伸展させます。

*このとき手指伸展できれば外在屈筋は完全な可動域を有していると判断し、評価を終了する。
③手関節屈曲させ、手指伸展が増加するかを判定します(テノデーシス作用)。

*手指伸展が増加すれば外在筋の緊張によるものと判断し、そうでなければ病理学的な関節状態(例:骨性拘縮)が制限因子となります。

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手内筋短縮テスト

①MP関節伸展位で保持し、PIP関節を屈曲させます。

*完全に屈曲できれば、手内筋の可動域は確保されており、評価を終了します。
*手内筋が短縮している場合、MP関節屈曲させるとPIP関節は他動屈曲する可能性があります。

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伸筋腱の短縮の評価

伸筋腱の短縮は、MP関節の肢位がPIP関節の可動域にどう影響するかを判断します。

伸筋腱の癒着や短縮がある場合、MP関節を屈曲位よりも伸展位にさせると、PIP関節を伸展させることができます。

これは、伸展が伸筋系を弛緩させ、屈曲が伸筋系を他動的に緊張させるためです。

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PIP関節の側副靭帯の緊張

PIP関節の側副靭帯の緊張がある場合、MP関節の肢位に関わらずPIP関節の運動は制限されます。
検査は、

①MP関節屈曲/伸展位でPIP関節を屈曲させます。
どちらの検査肢位でも制限があれば、側副靭帯は短縮しています。

DIP関節の自動屈曲の低下

DIP関節の自動屈曲の低下は、関節拘縮または斜支靭帯の拘縮による場合があります。
検査は、

①PIP関節伸展位でDIP関節を他動屈曲させます。
②PIP関節屈曲位でDIP 関節を他動屈曲させます。

*伸展位よりも屈曲位でPIP関節屈曲可動域が大きければ、靭帯の短縮または拘縮が生じています。
*PIP関節屈曲、伸展位どちらでも屈曲制限が同じであれば、関節拘縮が明らかです。

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関節拘縮の原因と「ミラクルグリップ」による手指拘縮改善への効果

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関節拘縮の原因

関節拘縮は、皮膚や皮下組織、筋肉、腱、靭帯、関節包などの軟部組織に由来したものをさし、軟部組織の伸張性の低下が原因になって生じると考えられている。

①皮膚性拘縮
皮膚、皮下組織の伸張性低下によるもの。

②筋性拘縮
筋繊維の伸張性低下によって生じ、筋線維の短縮や萎縮が原因となります。
関節の長時間の固定でも起こり、筋膜の変化も加わり、結合組織性の関節可動域制限 も合併する。

③結合組織性拘縮
靭帯、腱、腱膜などの結合組織の伸張性低下によるもの。腱膜の癒着・瘢痕化、皮下 組織、筋膜、滑膜や関節包の変化にもよる。

④神経性拘縮
神経疾患由来のもの。疼痛による筋スパズム持続、脳卒中なのど中枢神経系疾患での 痙縮や筋緊張亢進によるもの。

 

脳卒中での痙縮による関節可動域制限

脳卒中の場合、痙縮による筋収縮の持続が関節の不動に関係すると言われています。
緊張の高い手の傾向について、

相対的に屈筋群・内転筋群をはじめ屈筋支帯や手掌腱膜の緊張亢進を伴う。

そのため、手関節は掌屈方向に固定され、手根骨、中手骨、指骨は内転屈曲、橈側方向に変位しやすい。

また、母指球筋群や小指球筋群、手内筋群は扁平化し、同時に皮膚や軟部組織、指腹も柔軟性を失うため、対象物に応じて皮膚の変形やゆがみをつくり出すことができなくなってしまう。

臨床OT ROM治療 P94

とあります。

内転、屈曲方向の強い力は手背部にも影響を与え、手に関連した支持機構全てが過剰連結することになります。固く握りしめられた手は、十分な開き、閉じができなくなります。

拘縮手ではひどい場合爪先が皮膚に食い込み、衛生状態が悪くなることで悪臭や感染症を引き起こすこともあります。

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手指拘縮を改善する「ミラクルグリップ」

ミラクルグリップは高反発性と圧力のランダム性を兼ね備えたクッショングリップです。

握る力が効率よく手指を刺激すると共に、圧力が変化しながらさまざまな方向へ返ってきます。

ミラクルグリップには適度な反発力を有する立体網状クッションが使用されています。

このクッションは、高反発性に加えて動揺性つまり不安定に揺れる特性を持たせてあります。

握った圧力が、効率よくランダムな方向に常に変化しながら手指に返ってくるのです。

ミラクルグリップホームページより引用

ミラクルグリップを握ることにより、ポリエチレンの開こうとする力が常に抵抗し、無意識レベルで手指の反復運動を行うような刺激が脳に伝達する効果があります。

ミラクルグリップを1日24時間装着を1〜2ヶ月継続した結果、約8割程度の対象者に拘縮が改善した(おそらく程度は様々)とされています。

拘縮だけでなく、悪臭や感染症も防ぐことができる点においても優れているといえます。

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出典:ミラクルグリップ40 取扱説明書

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出典:ミラクルグリップ40T 取扱説明書

両者の差は、40Tでは装着・脱着がし易いようにマジックテープで留められるようになっており、拘縮がより強固な場合は40Tの装着が行いやすいといえます。

また拘縮が軽めの方にはミラクルグリップ60という、直径6㎝の商品もあります。

脚・膝・脇・腕用のミラクルグリップ

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出典:ミラクルグリップ200 取扱説明書

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ミラクルグリップと文献による検証

学術発表にて、ミラクルグリップについて書かれているものがあったので紹介します。

回復期病棟に入院している脳血管疾患、進行性神経疾患で、手指拘縮を認める患者に、1ヶ月、24時間ミラクルグリップを装着した結果、拘縮の軽減、表情や手指衛生の改善が得られたとしています。

ミラクルグリップの効果として、クッションの強い反発力と圧力のランダム性が、上肢全体・顔面の血流を増加させ、脳血流も増加することを示している。

また筋電図では、上肢屈筋群だけでなく伸筋群の筋活動量も増加すると報告している。

今回の ROM や表情の改善も同様の作用によるものと考える。

また手指衛生の改善は、グリップのもつ高い通気性・抗菌消臭作用が拘縮改善と相まってもたらした効果と考えられる。

中枢神経疾患由来の手指拘縮に対する高反発クッショングリップの使用経験

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手のMP関節の可動域改善に向けてー知識の整理と訓練の実際

骨の構成

中手骨頭の関節面と基節骨基部(関節窩)の関節面の半径を比較すると中手骨頭のほうが小さく、関節運動をとらえる上では旋回運動の再現が必要となります。

 

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骨と靭帯

掌側には靭帯とも言われる掌側板があり、繊維軟骨で近位部(中手骨側)では短縮しやすく、遠位部ではそれほど短縮しにくいと言われています。

橈側の側副靭帯は斜め下に走行し、尺側はそれほど斜めには走行していません。

そのため、運動の際回旋運動が入りやすくなっています。

MP関節の断面

両側に側副靭帯があり、橈側には虫様筋が掌側から背側に向かいらせん状に走行する。

そのため、虫様筋は回旋運動を起こす可能性があります。

掌側部に掌側板があり、輪状型の靭帯性腱鞘があります。この中には深・浅指屈筋腱が存在します。

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MP関節の運動と筋

運動:屈曲、伸展、内転、外転、ぶん回し

筋:

MP関節PIP関節DIP関節
虫様筋屈曲伸展伸展
浅指屈筋(屈曲)屈曲
深指屈筋(屈曲)(屈曲)屈曲
指伸筋伸展(伸展)

()は補助筋

軽いグーパーは深・浅屈筋によって行われ、あとはそれぞれの筋の自然張力によってコントロールされています。

虫様筋:
4つ。背側に向かって走行し、指伸筋の側索に合流し、PIP,DIP関節の伸展に作用します。第1、第2虫様筋は正中神経支配、第3、第4虫様筋は尺骨神経支配です。
虫様筋のMP関節での侵入角は35度のため、屈曲に作用します。
背側骨間筋の侵入角は0度、掌側骨間筋の侵入角は25度で、屈曲していくと、MP関節の運動軸よりも下に位置します。そのため握っていくと、2つの骨間筋も屈筋に作用しながら、MP関節の固定力を高める役割があります。

指伸筋:
腱と腱の間に腱間結合があるため、個別に働かせることができません。本来の伸展運動は、指伸筋腱が牽引することで、矢状索と骨間腱帽が一つのユニットとして引かれることでMP関節の伸展が可能になります。そのため、全体の滑動現象がないと伸展が不十分になります。

MP関節の靭帯と動きの変化

側副靭帯は中間位では緩みます。

運動軸が背側にあるため、屈曲とともに伸張されます。

そのため中間位では側方への動きは自由度は高いが、屈曲とともに動きがなくなります。伸張は70度程度で最大となり、側方への可動性がなくなります。

橈側は斜め、尺側はストレートに付きます。そのため、尺屈すると橈側の側副靭帯は回旋力を生みます。

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MP関節の可動域改善に向けての考え方

手を机の上に乗せるとMP関節は伸展位でPIP関節はやや屈曲位となります。

MPは関節は伸展優位で拘縮しやすいそのため、MP関節の屈曲方向への運動を常に保つ必要があります。

腱の活動現象を確保するために、自動運動にて全可動域を動かし、他動的関節可動域の確保も重要です。

指伸筋腱は伸展から全屈曲位まで16㎜程度の腱が滑ります。

屈筋腱(深指屈筋、浅指屈筋)は屈曲から伸展位まで23〜26㎜程度の腱が滑ります。

この動きがないと、指は十分に屈曲伸展できません。

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MP関節の他動的可動域

屈曲:90〜110度
伸展:個人差あるが約90度(自動では30度程度)
テーブルの上に手をついて立ち上がる際にこの可動域は重要です。
側方:35〜55度
回旋:30〜40度:側副靭帯の伸張にもなります。

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屈曲位の確保の訓練方法

①随意運動で最大位まで屈曲し、力を抜いてもらう(筋を弛緩させる)
②痛みのない範囲で他動的に屈曲(全指屈曲で:MP関節を走行する全ての組織の活動性を高める)
*矢状索と共に指伸筋腱はMP関節背側部で腱の滑動を引き起こしています(腱の滑動性の確保)。

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伸展域の確保

①随意運動で最大位まで伸展し、その後手指を他動的に伸張させる
a.手指を中間位のまま自動伸展させ、その後軽く他動運動にて伸展域を広げる→同時に屈筋腱の腱滑動を確保する

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b.全屈曲位からMP関節のみを伸展させる →内在筋を伸張し、腱滑動を確保する

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c.2つのIP関節屈曲位からPIP関節のみを伸張する(MP関節は伸展)→浅指屈筋腱の間の腱活動を確保できる

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d.MP関節伸展位、2つのIP関節屈曲位でDIP関節のみを過伸展させる→深指屈筋腱の腱床での滑動現象を確保する

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側方、回旋域の確保

他動的側方(回旋)での運動域は、示指:55°(28°)、中指:42°(27°)、環指:36°(32°)、小指:52°(43°)であり、物を握る、ボールをつかむ際に役立ちますがそれには側副靭帯の伸張性が必要です。

①片手で手部を固定する
②もう一方の手でMP関節を中間位に保ち、かつIP関節を軽度屈曲位に保ちながら、回内外方向に回旋させる

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*写真では手部の固定はできていません。

側副靭帯の伸張

①片手で手部を固定する
②もう一方の手でPIP関節を保持し、回旋が加わらないように遠位部は他の手指で固定するMP関節約20°屈曲位に保ちながら、側方へ橈尺屈させる
*靭帯は橈側が斜め、尺側が縦に走行しているため、橈側の靭帯の伸張では回旋が加わらないように工夫する

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矢状面の動揺性の確保(掌側板の伸張)

掌側板の伸張性が失われると、屈曲伸展とも可動域の制限が出やすくなります。
①片方の手でMP関節の中手骨底を固定し、もう一方の手で基節骨を掌背側で固定し、上下に動かす
*最終域では伸張を加え、長軸方向に牽引を加える。

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掌側板全体の伸張:
①中手骨頭を固定し、掌背側で基節骨を固定し、斜め背側に動かす

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出典:手の関節の動き・運動の理解
*女性の方が可動性が大きい

拘縮が進んだ場合の対応方法

屈曲拘縮が進んだ場合、「ミラクルグリップ」という商品があり、これは高反発素材により常に伸展方向に伸張刺激を加えるもので、拘縮改善の効果があると言われています。
リハビリテーション場面のみでは対応できない場合、導入をすることも検討します。

 

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拘縮を防ぐ!指のPIP関節の可動域訓練の知識と方法

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PIP関節の特徴と拘縮について

蝶番関節ですが、構造としては螺旋関節のようになっています。そのため、屈曲・伸展運動だけでなく、多少の回旋現象を伴います。

自然に指を伸ばした時には、PIP関節は屈曲位をとります。そのため、屈曲拘縮(伸展できない)になりやすい関節です。

PIP関節では、十字形靭帯性腱鞘と輪状型靭帯性腱鞘が入り乱れており、その中を2つの屈筋腱が走行しています。MP関節レベルでは屈筋腱が骨の近くを走行し、PIP関節のレベルでは表層に出ていきます。深指屈筋腱がトンネルのような形をして、その下を深指屈筋が走行し、浅指屈筋は2つに分かれ、トンネルを形成せず、深指屈筋の下に入るようにしながら中節骨に停止します。

掌側板と深指屈筋、浅指屈筋、その上に十字形靭帯性腱鞘が真ん中に位置し、両脇に輪状型靭帯性腱鞘が位置しています。2つの輪状型靭帯性腱鞘により、腱を浮き上がらせないように作用しています。

十字形靭帯性腱鞘は、屈曲に従い、腱が浮き上がるのを許すように作用します。

その際掌側板が重なるように近位に近づき、近位部にある手綱靭帯が重なるように縮んでいきます。

その反面、手綱靭帯が短縮すると、伸展ができなくなります。

同時に、掌側板全体が肥・硬化すると、これも伸展を制限します。

このことからも、PIP関節は潜在的に屈曲を保つ傾向があり、手を使わなくなると、短縮を起こして屈曲拘縮の原因となりやすいです。

屈曲傾向があると、指伸筋は基節骨の中央部から側索と中央索、側索に分かれ、側索は両脇を通りながら、中節骨遠位で合流し、末節骨基部に停止します。

その部分は三角靭帯でコントロールされ、これ以上開かないようになっています。

しかし、屈曲においては、側索が両脇に落ちるような形となり、この状態が続くと、これらを支えている靭帯も伸張され伸びなくなってしまいます。また側索を含めた部分を引っ張る虫様筋や骨間筋は屈曲位にあると、癒着してしまい、伸展作用がなくなります(筋収縮が起こっても腱の滑動がみられない)。

 

PIP関節の側副靭帯と靭帯性腱鞘

MP関節とは異なり、側副靭帯は屈曲・伸展に関わらずその緊張度は変わらないと言われています。

掌側板につく副靭帯には、掌側板の近位部に付く手綱靭帯、十字形・輪状型靭帯性腱鞘もあります。この部分が損傷を受けると、屈曲拘縮を起こしやすくなります。

DIP関節との関連では、支靭帯があり、その斜繊維が緊張すると、PIP関節では屈曲、DIP関節では伸展という構造になります。

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PIP関節の運動

屈曲と伸展です。

屈曲は掌側板板などの結合組織、軟部組織の制限因子により他動的な運動が制限されます。

伸展は掌側板によって制限され、運動域は制限されます。

伸展域は他動的に少し広げることが可能です。

PIP関節の筋作用

MP関節PIP関節DIP関節
虫様筋屈曲伸展伸展
浅指屈筋(屈曲)屈曲
深指屈筋(屈曲)(屈曲)屈曲
指伸筋伸展(伸展)

()は補助筋

浅指屈筋は、肘関節をまたいで走行しているために、その伸張には、肘を伸展位で行うことが重要です。

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PIP関節での腱の滑動

伸筋腱はで約3㎜程度の滑動現象が見られます。

屈筋腱は約16〜17㎜の滑動現象が見られます。

PIP関節の側副靭帯と靭帯性腱鞘の動きでの変化

側副靭帯では運動域全般で大きな差はないですが、臨床的には、屈曲30度前後で緊張が高まるようです。

そのため、屈曲30度での側副靭帯の側方への伸張を行うのが有効と考えられます。

輪状型靭帯腱鞘は、腱の浮き上がりを防止し、十字形靭帯性腱鞘は屈曲とともに起始・停止が近づき、腱の浮き上がり現象を助ける働きがあります。

十字形靭帯性腱鞘は可動域全体に伸展させておくことで伸張できると考えられています。輪状型靭帯性腱鞘に関しては有効な伸張方法の報告はないようです。

屈曲拘縮

掌側板、十字形靭帯性腱鞘、手綱靭帯は短縮傾向が起これば、自然とPIP関節の屈曲位をとります。

脳血管障害患者の屈曲障害では、その部分での肥厚がみられることが多いです。

両手の触診での比較では、非麻痺側は柔らかいが、麻痺側は固く肥厚していることがわかります。

そのため、自動運動ができない場合には、常に動かしておくことが重要となります。

患者教育として、PIP関節を(手全体)動かしておくよう指導することは初期段階から必要になってきます。

習慣的に屈曲位をとると、背側は伸張され、指伸筋腱は引っ張られます。

また側索間は開き、伸張され、伸筋腱の滑動性は低下します。掌側は短縮を許すことから、手綱靭帯・手綱靭帯、側副靭帯の短縮、十字形靭帯性腱鞘の滑動性の低下が起こります。

そのため、まずは屈曲、伸展全可動域において動かすことが重要になります。

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PIP関節の可動域訓練(従来の方法)

◯伸展
基節骨を固定し、中節骨を牽引しながら、伸展方向に徐々に動かしていきます。
この時運動の切り替えはゆっくり行い、痛みは最小限にします。
関節面を旋回するように運動を誘導することが重要です。

◯屈曲
他動的に屈曲域を拡大します(掌側板への圧迫)。この時、屈曲自動運動も行うこともあります。
痛みがあるときは、牽引を加えながら、屈曲域を拡大していきます。

可動域訓練①関節面を旋回するように動かす

PIP関節は螺旋関節であり、関節面を滑るようにしながら屈曲、伸展運動が起こります。

その際、多少の回旋運動も生じています。

そのため、他動的可動域訓練では、牽引を加えながら、関節面を旋回させ、滑るように動かすことが重要です。

側副靭帯の短縮は、指の動きを動きづらく、違和感を感じさせることになります。

そのため側副靭帯の伸張も重要になります。

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可動域訓練②伸筋腱の滑動性の確保

自動運動(随意的収縮)を促し、腱滑動を高めます。

自動・自動介助運動で全可動域の運動を行い、同時に最大収縮(虫様筋、骨間筋)を促します。

PIP関節だけでなく、MP関節も伸展させることで、内在筋の伸張も行うことが重要です。

PIP関節を伸展させると、両側の内在筋が働いて、2つの側索を近位に引っ張ります。

それと同時に側索は内側に向かいます。

一方、屈曲では側索は遠位に引かれながら両側に少し開きます。

このことからPIP関節の屈曲伸展運動は、側索の3次元的で複雑な運動を保つことが重要になります。

これには随意的な筋収縮を起こしてもらいながら可動域訓練を行うことが大切になります。

可動域訓練③手綱靭帯の伸張と、掌側板の伸張

PIP関節は屈曲傾向があるため、掌側は短縮を許します。

掌側靭帯の伸張では、手綱靭帯の伸張と、掌側板そのものの伸張を考える必要があります。

◯手綱靭帯の伸張
30度前後に屈曲し、斜め遠位方向に牽引しながら伸張します。
掌側板の伸張前に行います。

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◯掌側板の伸張
中間位で長軸方向に牽引を加えながら矢状面を背側に向けて伸張します。

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◯手綱靭帯と掌側板の伸張
遠位に牽引を加えながら、徐々に背側に旋回させていきます。

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可動域訓練④側副靭帯の伸張

脳血管障害患者の手の使用において、側副靭帯の伸張を行うと手を使いやすくなるということもあるようです。

基節骨を固定し、屈曲20〜30度でゆっくり平面上を回旋するように側方に動かし伸張します。

側副靭帯の緩みが出たら、PIP関節を牽引しながら、側方に動かします。

*側副靭帯が伸張されると、他動的に全可動域の伸展が可能になりますが、自動運動では内在筋の筋力、腱の滑動性低下により10度程度のラグが起こることもあります。

拘縮が進んだ場合の対応方法

屈曲拘縮が進んだ場合、「ミラクルグリップ」という商品があり、これは高反発素材により常に伸展方向に伸張刺激を加えるもので、拘縮改善の効果があると言われています。

リハビリテーション場面のみでは対応できない場合、導入をすることも検討します。

 

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母指CM(第一手根中指)関節の痛み、可動域改善のためのリハビリテーション

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母指CM関節の解剖学的特徴

母指は大菱形骨、第一中手骨、基節骨、末節骨で考える必要があります。

大菱形骨、第一中手骨は鞍関節で、末節骨、基節骨で1つの自由度、基節骨と第一中手骨で2つの自由度、大菱形骨と第一中手骨で2つの自由度+α(必然に起こる回旋運動)を持っている。

屈曲伸展を起こすと自然に回内回外現象を起こす。

 

母指CM関節の運動学的特徴

鞍関節としては屈曲伸展、内転外転の運動方向を持ち、動的動揺性の変化があります。

CM関節は機能的肢位を決定するのに重要で、母指球筋が母指の位置に作用し、外在筋は自然張力によって支えます。

鞍関節は対立運動を生み、大菱形骨の形状は内側では険しい山のようになっていて、外側では平らな広い丘のように丸くなっています。そのため、内転すると屈曲伸展はしにくくなり、外転すると屈曲伸展はしやすくなります。外転では靭帯がより緩み、動きやすくなります。

掌側外転・内転の運動と、中間位における屈曲・伸展、総合するとぶん回し(対立運動)が可能となります。

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母指CM関節に起こりやすい問題

CM関節の起こりやすい問題としては、第一中手骨基底部の掌・外側への亜脱臼傾向があります。

これは長拇指外転筋により引っ張られ、第一中手骨は内転傾向となります。

母指内転傾向(水かき部分の減少)と変形を起こしやすくなり、MP関節やIP関節の運動が変化(代償せざるを得ない)していきます。

母指が外転すると、大菱形骨の外側の緩やかな丘に第一中手骨が乗ることでどの方向にも動きやすくなり

ますが、内転すると骨と骨との密着性が高まり、動きにくくなります。
閉鎖肢位(内転位)では、大菱形骨は内側は険しい山のようになっていますが、第一中手骨の内側は堀の深い状態になっているためうまく組み合うようになり動きにくくなります。

内転位となると、MCP関節は過伸展、IP関節は過屈曲位をとりやすくなります(逆の場合もある)。

杖の長期使用により、母指球筋の萎縮が見られることがあります。

この場合、手根管症候群との鑑別が必要です。

このような場合、感覚障害が見られないことが特徴です。

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母指CM関節のリハビリテーション指針

まずは外転を確保することが大切となります。

すでに第一中手骨基底部が外側に飛び出しているような場合は、圧をかけながら外転運動を行わないと痛みを引き起こしかねないので注意が必要となります。

機能向上のためには、屈曲伸展運動面でCM関節の動揺性を出す必要があります。

初めから掌側外転・内転方向で動かすと痛みを引き起こすことが多くあるためです。

CM関節での靭帯の緩みを再現できるようにしていきます。

次に外転位で行いますが、TMC関節の基底部を内側に押しながら母指を外転させていきます。

2点つまみ、3点つまみを行う上では対立運動を行えることが大切になります。

母指球筋において母指内転筋は、あらゆる方向で内転方向の力を出します。

母指内転筋は第3中手骨にも付着しますが、その中間にある屈筋腱が滑車として働き運動方向を変えています。そのため母指内転のための重要な筋肉となります。

母指球筋の多くは肢位を保持するための筋ですが、母指の力を発揮するためにはこの筋肉が重要となります。

母指再建術では瘢痕形成は縮み、硬化しますが、伸張し、圧迫を加えることで瘢痕が平坦化していきます。

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母指CM関節のリハビリテーション(徒手療法)

CM関節の動揺性を確保するために、屈曲伸展運動面で動かしていきます。
①第一中手骨の基底部を持ち、内側部は人差し指でつまむようにしながら上下に動かします。
②痛みがなければ内転、外転の運動面で動かします。
CM関節の動揺性の確保ができたら、母指屈曲伸展運動を行い運動域を確保していきます。

痛みを生じさせないようにゆっくり伸張させていきます。

牽引を加えながら行うことでさらなる可動域改善と痛みの抑制が可能です。

最終的には、小指までの対立運動と、母指外転による手掌の平坦化(手掌が床面にぴったりとつく)を可能にしていきます。

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MP関節の伸展拘縮がある場合、伸展位で側方への伸張(靭帯)を行います。

屈曲内転方向では、掌側板のストレッチを行います。

IP関節においては側方への伸張、掌側板のストレッチを行います。

母指の回線可動域確保のために、各関節の回旋を行います(最終域で回旋が入る)。

母指の運動域を確保し、手関節屈曲、伸展しながら長母指屈筋や長母指伸筋をストレッチすることも重要です。

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