今回は、下腿前面から足背、足首に痛みを生じさせる筋肉のほぐし方、緩め方を紹介していきます。
目次
スポンサードサーチ
スポンサードサーチ
前脛骨筋は脛骨の外側から起始し、脛骨上部から前面にかけて付着しています。
腱部は長く、足底の内側楔状骨、第1中足骨(基底部)に停止します。
前脛骨筋の走行から、足関節背屈や内返し地面から親指(足底の内側)を離すの作用があります。
動作としては歩行での下肢の振り出しや着地に関与したり、バランス保持に働きます。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
前脛骨筋は脛骨の外側に位置しており、足の背屈(地面からつま先を離す)で筋の収縮を触知することが可能です。
また、足関節内反(地面から親指(足底の内側)を離す)することでも収縮を触知できます。
前脛骨筋のトリガーポイントは、足の親指の背面と内側、足首の前側に痛みを生じさせます。
また歩行中に痛みが悪化し、脛骨に沿った前脛骨筋にまで痛みが拡大することもあります。
足の親指の痛みは痛風と誤診されることも多くあり、これは痛みが関節部から生じるように感じるためです。
前脛骨筋に加え、長母趾伸筋のトリガーポイントの関連痛は、母趾と第一中足骨に発生します。
前脛骨筋にトリガーポイントがあると、筋力低下を招き、結果として転倒やバランス不良の原因となることがあります。
前脛骨筋の筋力低下があると歩く際につま先が下がったままとなり、地面につまづいたりつま先をひっかけたり、階段を昇る際につま先がひっかけたりする可能性があり危険です。
これは高齢者によく見られることですが、年齢問わずこのような症状が見られる場合、前脛骨筋など下腿前面の筋をチェックするとよいです。
足首前面、足の甲、足趾の痛みの原因を評価するには、前脛骨筋の他に第三腓骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋、短趾伸筋、短母趾伸筋をチェックする必要があります。
前脛骨筋は歩行や走行、階段昇降などで過度に負担がかかってしまうことがあります。
凸凹道は前脛骨筋へ負担をかけやすい環境であり、他の下腿に関する筋全てに負担がかかります。
自動車運転で、長時間アクセルを踏みっぱなしにする運転では特に前脛骨筋に負担をかける動作です。
腓腹筋にトリガーポイントがあると、下腿前面筋を必要以上に緊張させて(働かせて)しまうことがあり、易疲労性を生じさせます。
一方、下腿前面筋のトリガーポイントが下腿後面の筋に影響することもあり、過剰な負荷を長時間続けることは両方の部位へ悪影響が出ることがあります。
これにより、筋の損傷や脛骨の疲労骨折の原因となることがあります。
前脛骨筋のトリガーポイントは膝下約1/3に生じ、筋の深い位置に発生することもあります。
①足関節背屈内反(地面から親指(足底の内側)を離す)させ、前脛骨筋の起始と停止を近づけます。
②前脛骨筋に押圧を加え、上(頭部)方向へ引いて保持します。
③足関節底屈外反(地面から小指(足底の外側)を離す)させ、前脛骨筋の起始と停止を遠ざけ、ストレッチさせます。
スポンサードサーチ
長腓骨筋は、腓骨の頭頂部から骨幹部の上2/3に付着しており、腱部は外果の外側を通り、足の裏を対角に横切り第一楔状骨、第一中足骨底部に付着します。
このような筋の走行から足関節の底屈や外がえしの作用があります。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法 ASTR
長腓骨筋のトリガーポイントは、腓骨頭のすぐ下にあり、足趾の伸展を伴う外がえしを行うと長腓骨筋の収縮が確認できます。
長腓骨筋にトリガーポイントがあると、足首の外側に痛みを生じさせます。
痛みは特に外果の上部と下部に集中します。また下腿外側中部から足の外側に沿って痛みが生じることもあります。
長腓骨筋のトリガーポイントは足関節周囲の筋力低下を招き、長腓骨筋の短縮による神経のインピンジメントでは下腿から足の甲にかけての痺れ感を生じさせます。
椎間板ヘルニアによる神経圧迫でも下肢の筋力低下が起こりますが、その前に腓骨筋のトリガーポイントを調整することも必要です(同時に問題が存在するケースもあり)。
足関節の内返しを伴う捻挫では、腓骨筋は著しく伸長されます。このときの腓骨筋での反応は自己防衛のために短縮しますが、その際トリガーポイントが生じやすくなります。
トリガーポイントにより足首が動かしにくくなると、足首の不安定さが増し捻挫が再発し、骨折しやすくなります。
歩行、走行、段差を昇るような動作は長腓骨筋にトリガーポイントを形成する要因となります。
脚長差、扁平足などでは長腓骨筋にさらに負担がかかりやすくなります。
寝る姿勢で足のつま先が伸びきっていると、筋が長時間の短縮状態となり、負担がかかります。
女性ではハイヒールを履くと、下腿前面筋は常に短縮し、そのバランスをとるために長腓骨筋も収縮し続ける必要があります。
治療用弾性ストッキングや足首を締め付けるようなきつい靴下は腓骨筋を圧迫することになります。
また足を組んで座る姿勢は、腓骨神経や血管、腓骨筋を圧迫し負担をかけることにつながります。
①足関節を外がえしします。
②長腓骨筋に押圧を加え、頭側へ引いて保持します。
③足関節を内がえしします。
長腓骨筋、短腓骨筋は足の外側縦アーチの形成に関わっています。
長・短腓骨筋に筋力低下があると、体重がかかる瞬間に足関節が固定されず、重心が外方にずれやすくなる。こういうケースでは、第5中足骨頭部にべんち(胼胝:たこ)を形成していることも多い。接地時の足関節が不安定になるので、捻挫も生じやすい。
痛みの臨床に役立つ手技療法 ASTR P170
スポンサードサーチ