自分でできる足の痛み解消法として、筋肉別のトリガーポイントのほぐし方、緩め方について紹介していきたいと思います。
目次
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長趾伸筋は前脛骨筋の外側に位置し、脛骨の上端から起始し、腓骨の全長にわたって走行しています。
そこから4本の腱により2〜4足趾の末節骨に停止しています。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法 ASTR
長母趾伸筋は腓骨の中心部から起始し、母趾の末節骨に停止しています。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法 ASTR
長趾・長母趾伸筋は足趾を伸展する作用があります。
長母趾伸筋は足関節の内返しに作用し、長趾伸筋は足関節の外返しに作用します。
これら3つの動き(足趾伸展、足関節内・外返し)により地面に接地する際の調整を行い、バランス保持に役立っています。
どちらの筋も前脛骨筋に覆われて隠れています。
長趾伸筋のトリガーポイントは、前脛骨筋のトリガーポイントよりも2㎝程度外側(下腿前面と側面の間)にあります。
足関節の背屈をせず(むしろ底屈させて)、足趾伸展させることにより触知します。
長母趾伸筋のトリガーポイントは脛骨の外側で膝と足首の間に位置します。
母趾の伸展により前脛骨筋腱と長趾伸筋腱の間に腱が位置します。
長趾伸筋のトリガーポイントは、足の甲の痛みを生じさせ、母趾以外のつま先や、足首前面にも関連痛を送ります。
関連痛は前脛骨筋、第三腓骨筋、短趾伸筋、骨間筋と重なるため、どの筋が原因かをチェックする必要があります。
長趾伸筋の緊張により深腓骨神経の圧迫が生じることがあります。
これにより母趾と第2趾の根元が麻痺することもあります。
長趾伸筋のトリガーポイントで筋力低下が起こり、足関節背屈が困難になることがあります。
長母趾伸筋のトリガーポイントは主に母趾の痛みを生じさせ、足首の前面にも痛みを送ることもあり、骨が痛むような感覚を覚えることがあります。
これらの伸筋の慢性的な短縮は、ハンマートゥやかぎ爪趾の原因となります。
この状態を放置すると足の変形を招き、伸筋の短縮を改善しないと夜間の痙攣が起こりやすくなります。
長指伸筋と長拇指伸筋が緊張する原因として、足をぶつけたり、ボールを蹴る動作で一時的な負荷がかかることが挙げられます。
また、自動車運転でアクセルブレーキを踏みかえの頻度が多くなると、過度の負担がかかりやすくなります。
自転車のペダルを漕ぐことも同様です。
階段の昇り動作でも緊張しますが、これは段に対してつま先を背屈する必要があるためです。
骨折後のギプス固定でも足指を動かす機会が減少し、トリガーポイントが形成されることがあります。
長趾伸筋
①足関節と拇趾を伸展させ、長趾伸筋の起始と停止を近づけます。
②長趾伸筋に押圧を加え、頭側へ引き寄せ保持します。
③足関節と拇趾を屈曲させ、長趾伸筋をストレッチします。
長拇趾伸筋
①足関節と拇趾を伸展させ、長趾伸筋の起始と停止を近づけます。
②長趾伸筋に押圧を加え、頭側へ引き寄せ保持します。
③足関節と拇趾を屈曲させ、長趾伸筋をストレッチします。
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短趾伸筋は、足趾の短い伸筋です。
踵骨の背面から起始し、第二~第四趾の長趾伸筋腱に停止します。
その作用は第二~第四趾の伸展になります。
背側骨間筋は表面側に位置しますが、短趾伸筋は深層に位置しています。
長・短両方の伸筋により、ステップを踏む際のつま先上げを可能にし、地面から足を離すことが可能になります。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
短趾伸筋は深層にあり、触知しにくいですが、つま先を曲げ伸ばしすることで、収縮と弛緩を感じることができます。
その際、足関節底屈位で行うと触知しやすくなります。
短趾伸筋のトリガーポイントは足背の外側付近で生じます。
この部位の痛みは、長趾伸筋、前脛骨筋、第三腓骨筋の関連痛と重なっているため、原因筋の特定にはこれらの筋をチェックする必要があります。
足関節捻挫後に痛みが残っている場合には、短趾伸筋にトリガーポイントが生じている場合があります。
第5中足骨近位端骨折後の足背の痛みでは、短趾伸筋のトリガーポイントを認める事も多く、足根中足関節(リスフラン関節)の屈曲制限を生じさせることがあります。
①足指を伸展させ、短趾伸筋の起始と停止を近づけます。
②短趾伸筋に押圧を加え、足首側へ引いて保持します。
③足指を屈曲し、短趾伸筋をストレッチします。
*足関節底屈位で足指の伸展を行うと触知しやすくなります。
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短母趾屈筋は、立方骨、楔状骨から起始し、母趾の基節骨底に停止します。
その作用は母趾の屈曲で、母趾の内外2つの筋腹に分かれることで屈曲力を発揮できるようになっています。
母趾の屈曲には長母趾屈筋と協働しますが、長母趾屈筋は末節骨底に付着しており、屈曲力の調整を行います。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
短母趾屈筋は母趾を屈曲させると収縮するため、その位置を確認することができます。
しかし、母趾屈曲により母趾内転筋も同時収縮するため、単独収縮による区別は困難です。
短母趾屈筋にトリガーポイントがあると、第一中足骨頭部(母趾球)の下部分と足底の内側の母趾周囲に痛みを生じさせます。
母趾屈曲により母趾内転筋も、同時収縮しますが、関連痛のパターンは異なっています。
母趾内転筋にトリガーポイントがある場合、中足骨頭部の下、母趾以外の足趾のすぐ後ろに痛みを生じさせ、同部位に痺れを生じさせることもあります。
短母趾屈筋や母趾内転筋のトリガーポイントでは歩行中の足前方の痛みに最も関与すると言われています。
立ったり歩いたりしなければ痛みは軽減されます。
長時間の歩行や、安定しない路面での歩行により短母趾屈筋に負荷がかかると思われます。
また脳卒中片麻痺者で足趾屈筋の筋緊張が高い場合も、常に短母趾屈筋が収縮状態にあり過緊張となることがあります。
第2中足骨が長く、足趾全体のバランスが悪いと母趾の筋群がそれを補うために過剰収縮となりやすいです。
①母趾を屈曲させて、短母趾屈筋の起始と停止を近づけます。
②短母趾屈筋に押圧を加え、かかとの方向へ引き寄せ保持します。
③母趾を伸展させ、短母趾屈筋をストレッチします。
他法
手の親指で短母趾屈筋を直接マッサージする方法や、ゴムボールを下に置いて短母趾屈筋に圧をかける方法もあります。
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母趾外転筋は、かかと付近の足底面内側に沿って走行しており、足底の筋肉では最も浅層にあります。
踵骨の内側隆起、足底腱膜、舟状骨隆起から起始し、母趾基節骨底に停止します。
母趾外転筋の作用は母趾の屈曲と母趾の外転です。
この動きにより、体の推進力を助け、足や足首が内側に傾く(揺れる)ことを防いでいます。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方
母趾外転筋は母趾を屈曲させ母趾を床に押し付けた時にかかとの内側縁が収縮するので、そこで触れることが可能です。
また母趾を屈曲し、次に外転方向に意識して動かそうとすることでも収縮を感じることができます。
指でマッサージする場合には、分厚い筋肉であるため深い部分にまで到達するにはかなりの力が必要になります。
母趾外転筋にトリガーポイントがあると、主にかかとの内側と足関節内側の少し上に痛みを生じさせます。また母趾の付け根(第一中足骨の下)の痛みにも関与します。
このトリガーポイントは神経圧迫を招くこともあり、足や足趾にしびれを生じさせる可能性もあります。
健康的な足底の筋は押圧を加えても痛くありませんが、トリガーポイントがあるとかなり強い痛みを生じさせることがあります。
母趾外転筋は、下腿や足の筋にトリガーポイントがあって足関節が不安定な状態にあるとその負荷が強まります。
足底筋のひとつに問題があると、他の足底の筋にも影響があります。
外反母趾の痛みと誤解されることもあるため注意が必要です。
①母趾を外転させ、母趾外転筋の起始を停止を近づけます。
②足底の内側の母趾外転筋に押圧を加え、かかと方向に引いて保持します。
③母趾を内転させ、母趾外転筋をストレッチさせます。
*このとき屈曲または伸展させながら母趾内転させると、よりストレッチ効果が期待できます。
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小趾外転筋は踵骨隆起、踵骨外側面、足底腱膜から起始し、小指の基節骨底の外側に停止します。
小趾外転筋の作用はその名の通り小趾を外転させ、また屈曲作用も有しており、比較的大きな筋肉です。
小趾の屈筋としては、短小趾屈筋(停止が同じ小趾の基節骨底にある)もあります。
小趾の外転は、体のバランスを取る際に、足が左右に揺れることを防ぐことに貢献しています。
出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方、触れ方
小趾外転筋を探すには、足趾を広げた時にその収縮を確認することができます。
自動運動による小趾の単独運動は難しく、足趾全体の運動を通して触知することになります。
小趾外転により足底の外側に少し細めの筋繊維の収縮を触知していきます。
トリガーポイントはやや足底側に見つかることが多いです。
小趾外転筋にトリガーポイントがあると、小趾外転筋そのもとの、かかと周辺の外側に痛みが生じます。
場合によっては痛みが足首の外側で少し上の部分にまで及ぶことがあります。
トリガーポイントが活性化すると、小趾やその裏、第5骨間筋の頭部下に痛みが送られることもあります。
足の外側や足関節周辺の痛みが、小趾外転筋のトリガーポイントが原因だったということもしばしばみられます。
小趾外転筋が緊張する原因としては、凹凸のある荒れた路面を歩いたり、走ったりすることで足趾の外転筋を過剰に緊張させることにつながります。
登山などでバランスをとるための踏ん張る動作も小趾外転筋に負荷をかけやすくなります。
ハイヒールや底がかたいシューズ、サンダルなども履物は地面に対して足が安定しないため、小趾外転筋に過剰に負荷をかけることにつながります。
①小趾を外転させ、小趾外転筋の起始と停止を近づけます。
②小趾外転筋に押圧を加え、後方へ引いて保持します。
③小趾を内転させ、小趾外転筋をストレッチさせます。
*小趾の屈曲または伸展を伴いながら小趾を内転させることで、よりストレッチ効果が期待できます。
別法
大きめのビー玉(もしくは直径2㎝程度の小さめの硬いボール)を床に置き、足底の小趾外転筋部分に当て、押し付けながら転がしてマッサージを行います。
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背側骨間筋は中足骨の間に位置している筋で、中足骨側面から起始し、基節骨に停止します。
背側骨間筋は、第一、第三、第四趾を外転する作用があります。
具体的な働きとしては、足部での路面状況に応じたバランス調整に関与しています。
出典:痛みの臨床に役立つ手技療法ASTR
背側骨間筋は足背の最も表面に位置しており、中足骨の間にその収縮を触知することができます。
背側骨間筋にトリガーポイントがあると、その痛みは足指の根元に生じますが、足指にも痛みが広がることがあります。
また足の前方や足底、下腿前面にまで関連痛を送ることもあります。
このトリガーポイントは足前方部の痙攣や、浮腫を引き起こすこともあります。
足の甲の痛み(鈍痛)は足背筋(骨間筋、短趾伸筋、短母趾伸筋)のどれもが引き金になることがあります。
第一背側骨間筋のトリガーポイントは母趾の痛みや疼き、痺れを生じさせることもあり、外反母趾による痛みと誤診されることもあります。
背側骨間筋は歩行、走行、段差や坂道を登る動作により過剰に負担をかけてしまうことがあります。
足背筋は足の筋肉の微妙なバランスを調整する働きがあり、ひとつの筋に負担がかかると、他の足背筋にも負担がかかることにつながります。
環境要因では、靴のサイズが小さく、つま先部分が狭い靴を長時間履くと、つま先部分の循環不良を引き起こし、トリガーポイントが発生しやすくなります。
ハイヒールでは筋がつま先側に集まり、循環不良や動きが制限される原因となりやすいといえます。
骨間筋にトリガーポイントがある場合、強くマッサージやストレッチを行うと痛みが強く生じ、また痙攣することもあります。
①足の指を伸展させます。
②背側骨間筋に押圧を加え、足首側へ引いて保持します。
③足の指を屈曲させます。
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