筋肉のトリガーポイントが原因で痛みが生じている場合、マッサージやストレッチ、リリースを行い痛みの軽減を期待します。しかし、なかには処置が上手くいかなかった場合や、悪化させる場合もあります。今回、そのような時の考え方、対応方法について文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
筋肉のトリガーポイントにマッサージ(ストレッチ)を行うことで期待できる効果としては、1回の処置で痛みが消失することもあります。
場合によっては複数回の処置により徐々に痛みが軽減されていくこともあります。
治療が成功しているならば、その後数日から数週間の間の症状の発生や再発はなくなります。
トリガーポイントマッサージが上手くいかないと、痛みの増悪、疲労、新しい症状やあざができるなどが見られることがあります。またこわばりの増加により関節可動域制限が出ることもあります。
マッサージ後24時間で悪化することもあり、これは圧が強すぎる、トリガーポイントへの長時間の処置があったか、全体への処置が長すぎたかなどが考えられます。
腹筋や腰部へのアプローチ後に吐き気を催すこともあり、胸鎖乳突筋では吐き気やめまいを感じることがあります。
上手くいかなかった理由としては、痛みの主たる原因となるトリガーポイントを見逃していることが挙げられます。また、主たるトリガーポイントでないサテライトトリガーポイントを治療した結果、痛みの原因となる箇所を増やしてしまうこともあります。
主なトリガーポイントがサテライトトリガーポイントを活性化させることもあり、症状が数時間後にぶり返してしまうこともあります。
このことから、間違った部位の治療をしてしまったのか、もしくはトリガーポイントを見逃したのかという視点で考えていくことが必要です。
マッサージによって新しい症状が出てきても、それが隠れた痛みだったということもあり、この場合新しい症状は痛み解消のための進歩ととらえることもできます。
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治療アプローチだけが上手くいかない原因ではありません。
患者が負担のかかる動作をしたり、繰り返し運動を必要とする動作を行っている可能性もあります。
不良姿勢、精神的ストレス、胸式呼吸の習慣などが定着している場合、患者自らが悪循環を作っていることになります。
ストレッチを行うことも注意が必要で、トリガーポイントが非活性化してからストレッチをする、強引にストレッチをやりすぎないことも大切になります。
強引なストレッチはトリガーポイントを再活性化させることにつながります。また、筋の短縮はトリガーポイントから起こっていることも知っておく必要があります。
トリガーポイントの非活性化により筋は元の適切な長さとなり、粘弾性も獲得され関節可動域も拡大します。
適切な圧でない、また長時間行う過剰なマッサージはトリガーポイントに悪影響を与え、筋肉の痙攣を引き起こすこともあります。
そのような場合、まず軽くこするように筋肉をほぐし、一定時間そのままにして別の部位のアプローチを行います。後で元の部位に戻る時は、愛護的にアプローチする必要があります。
最後に悪化させた箇所をアイシングやホットパックを行うことで症状の軽減に役立つこともあります。
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