パーキンソン病の病態を把握する評価法として、パーキンソン病統一スケール(Unified Parkin-son’s Disease Rating Scale:UPDRS)があります。今回、パーキンソン病統一スケール(UPDRS )の概要と使用方法、結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 パーキンソン病統一スケール(UPDRS )の概要と使用方法、結果の解釈

参考文献

中西 亮二ら「パーキンソン病の障害評価とリハビリテーションの実際」Jpn J Rehabil Med VOL . 50 NO . 8 2013

パーキンソン病統一スケール(UPDRS )の概要

パーキンソン病統一スケール(Unified Parkin-son’s Disease Rating Scale:UPDRS)は、1987年にパーキンソン病の方の病態把握のための評価尺度としてFahnらにより開発されたものです。
認知・情動状態、 ADL、運動機能、薬剤の副作用の項目を評価します。
国際的評価スケー ルとして信頼性が高く、特に治療効果判定に用いられることが多い評価法です。
全42項目の状態の評価を0~4の5段階で行います(第1部から第3部までは 0〜4の5段階、第4部は一部 0、1の2段階で評価します)。
UPDRS の評価尺度は順序尺度です。

 

使用方法(評価項目)

UPDRS その1 精神機能、行動および気分

1.知的機能の障害 0 なし
 1 軽度.健忘が一貫してみられるが,部分的に思い出す.他の障害はない.
 2 中等度の記銘力障害と見当識障害あり.複雑な問題への対処に中等度の障害. 家庭内でも軽度ながら明らかに障害あり,ときに介助を必要とする.
 3 重篤な記憶障害と時間と,ときに場 所に対する見当識障害.問題の対処に重篤 な 障害.
 4 重篤な記憶障害と見当識は人に対し てのみ保たれている.判断や問題解決は不 可 能.身の回りのことにもかなりの介助が必要で,ひとりにしておけない.

2.思考の障害(痴呆または薬物の中毒による)
 0 なし
 1 生々しい夢をみる.
 2 たちの良い幻覚.幻覚であることはわかっている.
 3 時々あるいはしばしば幻覚・妄想が あるが病識がない.日常生活に支障をきた す ことあり.
 4 持続的に幻覚・妄想あるいは病勢盛んな精神病がある.自分でケアをできない.

3.抑うつ
 0 なし
 1 ときに正常以上の悲しみや罪悪感に悩まされる.数日や数周続くことはない.
 2 うつが1週間以上続く
 3 不眠,食欲不振,体重減少,興味の消失をともなう抑うつ状態. 4 上記の症状に自殺念慮あるいは自殺企図をともなう.

4.意欲・自発性
 0 正常
 1 通常より受動的.より消極的.
 2 選択的活動(ルーチンでない)を進んでおこなわない.興味の喪失.
 3 日々の活動(ルーチン)を進んでおこなわない.興味の喪失.
 4 引きこもり,意欲の完全な消失.

UPDRS その2 日常生活動作(on/off時に分けて評価)
5.会話
 0 正常
 1 軽度の障害.理解するのに障害なし.
 2 中等度の障害.ときどきもう一度くり返すように頼まれる.
 3 高度の障害.しばしばもう一度くり返すように頼まれる.
 4 ほとんどの時間,聞き取り不能.

6.唾液
 0 正常
 1 口中の唾液が軽度ながら明らかに増加.夜間の流涎をみることあり.
 2 中等度に唾液が増加.軽度の流涎があることもある.
 3 著明に唾液が増加.ときに流涎.
 4 著明に流涎,ティッシューやハンカチをつねに必要とする.

7.嚥下
 0 正常
 1 まれにむせる.
 2 ときどきむせる.
 3 柔らかい食事にしないとむせる.
 4 鼻管や胃瘻でチューブフィーディング.

8.書字
 0 正常
 1 軽度書字が遅いか字が小さい.
 2 中等度に遅いか字が小さい.すべての語は読める.
 3 高度に障害.すべての語が読めるわけではない.
 4 語の大多数は読めない.

9.食べ物のカット,食器の取り扱い
 0 正常
 1 いくらか遅くぎこちないが,助けはいらない.
 2 遅くぎこちないが,たいていの食餌はカットできる.部分的に介助.
 3 食べ物は他の人に切ってもらわないといけないが,ゆっくりと食べられる.
 4 他人に食べさせられる.

10.着衣
 0 正常
 1 いくらか遅いが,介助は要しない.
 2 ボタンを留める,そでに腕を通すなどで時に介助を要する.
 3 いくらか自分でできることもあるが,かなり介助が必要.
 4 自分では何もできない.

11.衛生(入浴・トイレ)
 0 正常
 1 やや遅いが介助は要しない.
 2 シャワーや入浴に介助を要する.とても遅い.
 3 洗顔・歯磨き・くし・風呂に行くなど介助を要する.
 4 膀胱カテーテル.

12.寝返りおよびシーツをなおす
 0 正常
 1 すこし遅く,不器用だが,介助は必要ない.
 2 ひとりで寝返りをうったりシーツを直せるが,たいへんな努力を要する.
 3 寝返りやシーツをなおす動作は始められる.しかし完結できない.
 4 自分ではまったくできない.

13.転倒(すくみ現象とは関係なしに)
 0 なし
 1 まれに転倒
 2 時々転倒.平均して一日に一回はない.
 3 平均して一日一回転倒.
 4 一日数回転倒.

14.歩行中のすくみ
 0 なし
 1 歩行中にまれにすくみ.歩き始めにすくむことがある.
 2 時々歩行中にすくむ.
 3 しばしばすくむ.これにより時に転倒する.
 4 しばしばすくみ足により転倒する.

15.歩行
 0 なし 1 軽度障害.腕の振りが無かったり,足を引きずることがある.
 2 中等度障害.しかし介助はほとんどいらないか不要.
 3 高度障害.介助を要する.
 4 介助をもってしても歩行不能.

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16.振戦
 0 ない
 1 軽度そしてまれにある.患者にとっては煩わしくない.
 2 中等度.患者は気になる.
 3 高度.多くの日常生活動作ができない.
 4 著明.ほとんどの日常生活動作が妨げられる.

17.パーキンソン症候群に関連した感覚障害
 0 なし
 1 時々感覚鈍麻,ちくちく,または痛みを感じる.
 2 しばしば 感覚鈍麻,ちくちく,または痛みを感じる.苦痛ではない.
 3 しばしば痛みを感じる.
 4 耐え難い痛み.

UPDRS 3 運動機能検査(on時に検査する)
18.言語
 0 正常
 1 表現,用語,and/or 声量の軽度の障害がある.
 2 中等度の障害.単調で不明瞭だが理解できる.
 3 著しい障害.理解が困難.
 4 理解不能

19.顔の表情
 0 正常
 1 わずかに表情が乏しい.ポーカーフェース.
 2 軽度だがあきらかな表情の減少.
 3 中等度の表情の乏しさ.口を閉じていないときがある.
 4 仮面様で,ひどくあるいは完全に表情がない.口は 0.6cm 以上開いている.

20.安静時の振戦
 0 なし
 1 わずかの振戦が,時に見られる程度.
 2 軽度の振幅の振戦が常にある.または中等度の振幅の振戦がときどきある.
 3 中等度の振戦がほとんどの時間ある.
 4 高度の振戦がほとんどの時間ある.

21.手の動作時または姿勢時振戦
 0 ない
 1 軽度;動作にともなっておこる.
 2 中等度の振幅;動作にともなっておこる.
 3 中等度の振幅;動作時,姿勢時におこる.
 4 著明な振幅.食事が妨げられる.

22.固 縮(患者 は座位で 安静にしている.主要な関節で判断する.歯車現象は無視)
 0 ない
 1 軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発できる程度.
 2 軽度ないし中等度の固縮.
 3 高度の固縮.しかし関節可動域は正常.
 4 著明な固縮.関節可動域に制限あり.

23.指タップ(親指と示指をなるべく大きく早くタップする.左右は別々に)
 0 正常(>=15/5秒)
 1 すこしおそいか,振幅が減少している.(11-14/5秒)
 2 中等度 の障害.疲 れやすい.と きどき運動 が止まること がある.( 7-10/ 5 秒)
 3 著 明な障害 .はじめ にしばし ばすくむ .または 運動中に とまる. (3-6 /5秒)
 4 ほとんどできない.(0-2/5秒)

24.手の動作(できるだけ大きく,すばやく手の開閉をくり返す.左右は別々に)
 0 正常
 1 すこし遅いか,振幅が小さい.
 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.ときに運動が止まることがあっても良い.
 3 著明な障害.しばしば開始時にすくみ,運動がとまる.
 4 ほとんどできない.

25.手の回内回外運動.垂直や水平の位置で,できるだけ大きく.左右は別々に.
 0 正常
 1 すこし遅いか,振幅が小さい.
 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.時に止まっても良い.
 3 著明な障害.しばしば開始時にすくむ.あるいは途中で止まる.
 4 ほとんどできない.

26.下肢の敏捷性.下肢をあげてかかとで床をタップする.かかとは7.5cm あげる.
 0 正常
 1 すこし遅いか,振幅が小さい.
 2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.時に止まっても良い.
 3 著明な障害.しばしば開始時にすくむか運動が止まる.
 4 ほとんどできない.

27.イスから立ち上がる.(まっすぐの 背もたれの木か金属のイス.腕を組んだま ま 立ち上がる)
 0 正常
 1 遅い.または1度でうまく行かないことあり.
 2 肘掛けに腕をついて立ち上がる.
 3 イスにふたたび倒れ込む.一度では うまく行かないことあり.介助なしで立ち 上 がれる.
 4 介助なしでは立ち上がれない.

28.姿勢
 0 正常
 1 軽度の前屈姿勢.高齢者では正常な程度.
 2 中等度に前屈姿勢.明らかに異常.すこし左右一方に偏っていても良い.
 3 高度に前屈姿勢で,脊柱後彎(亀背 )をともなう.中等度に左右一方に偏って い てよい.
 4 高度の前屈姿勢.姿勢は極端に異常である.

29.歩行
 0 正常
 1 歩行は緩慢.数歩はひきずり足になる.加速歩行や前方突進はない.
 2 歩行は困難をともなう.介助は要しない.加速歩行や数歩の前方突進あり.
 3 いちじるしく障害.介助を要する.
 4 介助があっても歩行不能.

30.姿勢の安定性.(患者はまっすぐに 立ち,開眼し,足はすこし開いて準備する . 肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる)
 0 正常
 1 後方突進あり.自分で立ち直れる.
 2 姿勢反射がおきない.検者が支えなければ倒れてしまう.
 3 きわめて不安定.自然にバランスを失う.
 4 介助なしでは立てない.

31.からだの動作緩慢.(動作緩慢,ち ゅうちょ,腕の振りの減少,運動の振幅の 減 少と運動全体の少なさを総合的に評価する)
 0 なし
 1 わずかに緩慢.ゆっくりとした動作 .人によっては正常のこともある.運動の 振 幅がやや小さいこともある.
 2 軽 度に動作 が緩慢. 運動量が あきらか に低下し ている. 運動の大 きさがや や低下.
 3 中等度に動作が緩慢.運動量が低下し,または運動の大きさが低下している.
 4 著明に動作が緩慢.運動量の低下.または運動の大きさが低下している.

UPDRS 4 治療の合併症
A. ジスキネジア
32.持続時間(起きている時間の何%か)
 0 なし
 1 1-25%
 2 26-50%
 3 51-75%
 4 76-100%

33.ジスキネジアによる障害.
 0 なし
 1 軽度障害
 2 中等度障害
 3 重度に障害
 4 完全な障害(なにもできない)

34.痛みをともなうジスキネジア.どのくらい痛いか.
 0 なし
 1 軽度
 2 中等度
 3 重度
 4 著明な障害

35.早朝のジストニア
 0 なし
 1 あり

B.症状の日内変動
36.服薬時間から予測可能なオフ期間はあるか.
 0 なし
 1 あり

37.服薬時間から予測不可能なオフ期間はあるか.
 0 なし
 1 あり

38.とつぜん(数秒以内など)おこるオフ期間はあるか
 0 なし
 1 あり

39.起きている時間の何%が平均してオフ期間か.
 0 なし
 1 1-25%
 2 26-50%
 3 51-75%
 4 76-100%

C. その他の合併症状
40.患者は食欲低下,嘔気,嘔吐をともなっているか.
 0 なし
 1 あり

41.不眠や眠気があるか.
 0 なし
 1 あり

42.起立性低血圧症状はあるか.
 0 なし
 1 あり

結果の解釈

全項目の合計点は最高251点で、最も重症な状態を示しています。
カットオフや基準値は設定されていません。

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