視野障害があると、自動車運転、歩行、読書、食事などの日常生活動作を遂行する際の妨げになります。
今回、視野障害(半盲)のリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 視野障害(半盲)のリハビリテーション

文献

正常視野と視野障害の影響

眼が前方を向いているとき、視野は上方へ約65度、下方へ約75度、内側へ60度、そして外側へ90度に及ぶ。

脳卒中リハビリテーション

下方視野欠損は、バランス不良や歩行速度の遅れ、段差や縁石の認識の困難さ、歩幅短縮や不安定な歩幅、視覚的な指標の認識の困難などを生じさせます。
上方視野欠損は、標識確認、書字・読字の困難さを引き起こします。

 

半盲の特徴

半盲は、全脳卒中者の30%と後大脳動脈が関連した脳卒中者の70%に出現します。
また、くも膜下出血、脳内出血、頭部外傷も半盲を生じさせることがあります。

半盲を呈している方は、完全な視野を持つ人と比較して、視覚情報処理が適切に行えないとされています。

多くの視覚の再固視と不正確なサッケード、まとまりのない視覚的走査を示し、視覚性探索に時間を要し、環境内の関連の対象物を見落としてしまう。
加えて、彼らは障害のない側の視野に意識を集中させる。彼らのサッケードは不規則で、正確ではなく、迅速な組織化された視覚的走査や読み込みを許すには、範囲があまりにも狭すぎる。

〜中略〜

完全な右側の同名半盲のある患者において、文章を読む間の右方向へのサッケードは中断し(半盲性失読む)、それは文章を読む間のサッケードの運動準備を妨げる。

脳卒中リハビリテーション

半盲の回復

Zhangら(2006)は、脳損傷による同名半盲254人の経過観察により症例の40%未満で視野障害の完全回復があったとしています。
損傷から初回の視野検査までの期間が長くなるに伴い自然回復が減少する可能性があるとしており、視野障害リハビリテーションは早期から行う必要があります。
なお、ほとんどの場合、回復は損傷後最初の3ヶ月以内に起こったとしています。

視野検査と半側空間無視との判別

臨床場面では、対座法を用います。
以下の記事を参照してください。
視野検査(対座法)の正しい方法の理解と半側空間無視との関係

また、半盲は半側空間無視と同時に存在する可能性もあります。
半盲は障害の認識が良好な傾向があります。
以下の記事を参照してください。
半側空間無視と視野障害(半盲)の判別〜行動分析的視点から〜

なお、複視のリハビリテーションについては、以下の記事を参照してください。
脳卒中による複視のリハビリテーション

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半盲のアプローチ:サッケード運動による視野探索能力の改善

眼球運動の代償による視野欠損の代償に基づいています。
見えない半側視野への注意を強化し、サッケード運動での視野探索を促します。
訓練では、
①見えない側への大まかな探索訓練(視覚性視野領域探索)
②見えない側に向かって大きく眼を動かす
③読みの改善を促すための細かな眼球運動
があります。

読むのに必要な最小限の視野は、右を固視して左へ2度である。
これは、文字列がはっきりと見え、25cmの距離では10〜12文字の活字が含まれる。
流暢に読むためには、視野幅は読む方向に5度、あるいは15文字以に拡大されていなければならない。

脳卒中リハビリテーション

半盲の人が普通に読むには、固視した両側に最小5度の視野幅が必要とされています。
5度以下の視野幅では、右半盲の人では所定の文章を適切に読むことに困難さがあります。右半盲の人では読む課題が行いにくく、リハビリテーションに時間がかかる傾向にあります。
左半盲の人では、文章の次の行の探索が妨げられます。

半盲のある人の読字では、読む前に全体的にそれぞれの単語を認識させることが重要です。
左側半盲では、最初に視線を行の始めや全ての単語の最初の文字に移すことが推奨されています。
読んでいる各行の軌跡を保って、サッケード運動の正確性向上のために定規をを使用する場合もあります。

視覚性探索訓練として、USNトレーナーの使用があります。
対象者は頭部を動かさずに視覚性探索を行います。
この課題を遂行してすぐにADL課題を行うことで、実用的な場面での視野の改善を促していきます。
このような課題では、視野障害領域に変化はなくても、視覚刺激の検出と反応が改善することもあります。

視覚探索改善への3つの段階として、
①見えない視野への大きくて速いサッケード(振幅30〜40度)
②妨害物の中から標的物を組織的に走査する
③実際の活動場面での実践
があります。

頭部の運動による代償が半盲に役立つという知見もありますが、眼球運動による訓練の必要性もあります。

プリズム眼鏡による方法では、周辺視野の映像を網膜の中心領域に移動することが可能です。
机上場面では効果が認められますが、歩行や車椅子駆動などでは十分な視野の拡大は認められなかったされています。

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