高齢者や何らかの疾患を持っている方では、立ち上がり動作に困難さを示すことがあります。立ち上がり動作では主に体幹や下肢筋力を用いて動作が遂行されます。立ち上がり、着座動作とリハビリのコツや、神経基盤から筋活動、誘導方法などをまとめていきたいと思います。

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目次

立ち上がり、着座動作とリハビリのコツ!神経基盤から筋活動、誘導方法まで!

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立ち上がり動作のバイオメカニクスについてもっと勉強したい方は

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立ち上がり動作に必要な筋活動と立ち座りテスト

立ち上がり動作と筋活動

立ち上がり動作では、座位から臀部が離れる動作であり、支持基底面が小さくなることに対して、重心を前方に移動させる必要がある動作となります。

この際、様々な体幹や下肢の筋活動により、動作がスムーズに遂行できるようになります。

立ち上がり動作に必要な筋活動を、動作の相に分けて考えていきたいと思います。

 

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重心が前方に移動する相

この相では、体幹を前傾させることによる重心を前方に移動させる時期です。

この時の体幹は、骨盤が後傾せず、脊柱は伸展している必要があります。

高齢者などで骨盤が後傾している場合、座面に対して骨盤が回転していきにくくなるため、非常に効率の悪い動作になってしまいます。

立ち上がり動作において骨盤を前傾させる筋は腸腰筋であり、脊柱を伸展させるには多裂筋の収縮が必要になります。

臀部が座面から離れる相

この相では、臀部が離床し、足関節が大きく背屈する相となります。

この時期では、臀部が離床するために膝関節の伸展が必要になります。

膝関節を伸展させるには大腿四頭筋の筋収縮が必要がありますが、大腿四頭筋の筋活動のみを用いては、後方に重心が移動してしまうために臀部離床が達成されません。

このときの膝関節の伸展は、前脛骨筋の活動により下腿が前方に傾いた位置をキープしながら、大腿を前方に回転させることにより達成されます。

大腿が前方に回転するには、骨盤が前傾していくのを大殿筋の収縮によりブレーキをかけることによって、その力が膝関節に波及し膝関節を伸展させる動きとなります。

重心が上方に移動する相

この相では、股関節・膝関節が伸展し、足関節は底屈することにより、重心を上方に移動させて立位を完成させていく時期です。

前方に移動している重心を上方に移動させるには、床に対して下肢の足底面でしっかりと押し込むことで達成されます。

大殿筋と中間・外側・内側広筋、の収縮により床を押し込む作用が生じ、重心が上方に移動することができます。

また、重心の上方移動に伴うバランス維持のために、足関節底屈筋は収縮量を調整しながら活動します。

 

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変形性膝関節症や高齢者の内側広筋萎縮と立ち上がり動作

変形性膝関節症の方では、最も筋萎縮が見られやすいのが大内転筋と言われています。

さらに、大腿広筋群である内側広筋も筋萎縮があるとされています。

内側広筋は前途したように、股関節と足関節を結んだ線上に下肢を押し込むようにした時に筋活動が高まります。

この動作は日常生活では立ち座りや自転車をこぐ際にみられます。

高齢者ではこのような下肢を床に押し込むような活動が少なくなることで、内側広筋の萎縮がみられやすくなります。

高齢者では立ち上がり動作において大腿広筋群を利用しにくいため、大腿直筋を用いて床に向けてプッシュするように動作してしまい、体重が後方に移動してしまうことがよく観察されます。

その結果、後方に移動した重心を制御するために上肢で引っ張って立ち上がろうとすることが必要になります。

このような方では、大腿直筋の筋緊張が高くなっている可能性があります。

座位で膝を伸ばすのは大腿直筋のトレーニングであり、立ち上がりに必要な筋力トレーニングとしては不十分なこともあるため、大腿広筋群の筋力強化を行っていく必要もありそうです。

 

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サルコペニアと立ち座りテスト

サルコペニアでは筋力低下を主な指標にしますが、その際のテストとして立ち座りテストがあります。

このテストでは、立ち座りを30秒間で何回行えるか、5回立ち座り動作を行うのに要した時間を計測する方法があります。

立ち座りテストの年代別基準値は以下の書籍に掲載されています。

サルコペニアと運動 エビデンスと実践

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立ち上がり動作の誘導!リハビリでの動作方法から神経基盤まで!

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立ち上がり動作の戦略:①体幹前傾

立ち上がり動作のリハビリや誘導場面において「身体を前に傾けて(おじぎして)」と指示することがあります。

体幹を前傾させることによるメリットには、
・重心が前方に移動し、足の支持基底面に重心を乗せやすくなる
・膝伸展筋(大腿広筋群)の力が少なくても動作が行える
ということがあります。

一方で、股関節や腰背部の力をしっかりと発揮することが必要になります。

 

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立ち上がりの動作戦略:②足を後方に位置させる

これも誘導時に「足を後ろに引いて」ということをよく誘導すると思います。

足を後ろに位置させることのメリットとしては、
・離殿時の支持基底面と重心の距離が近く、体幹前傾が少なくて良い
→重心の前方移動が行いやすい
股関節、腰背部の力が少なくてよい
・離殿時の重心位置が膝関節に近く、膝伸展筋力の力が少なくて良い
ということがあります。

戦略①とは違い、腰背部、膝伸展筋の両方の力が少なくてよいということは、かなりメリットがあります。

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立ち上がりの動作戦略:③勢いをつける

誘導時に「勢いよく!!」といった声かけをすることはないでしょうか。

勢いをつけることのメリットは、
・離殿時に前方への重心速度を利用できる
→重心が足の支持基底面から多少後ろに外れていても、立ち上がることができる
ということになります。

①〜③の戦略を見ていくと、②と③を組み合わせることができると、重心速度を利用しながら腰背部、膝伸展筋の力が少なくて動作が行えるということがわかります。

しかしながら、身体機能の低下があると勢いがつけられなかったりするので、対象者の状態に合わせた誘導が必要になるといえます。

 

立ち上がり動作と前庭脊髄路

今度は立ち上がり動作時の神経基盤を考えていきます。

前庭脊髄路に関して、

前庭核から下行し、脊髄前索を通り、脊髄運動神経細胞、または介在神経細胞に終始する投射である。

四肢の主に同側の伸筋の運動細胞群に対しては興奮作用を、屈筋の運動細胞群に対しては介在神経細胞を介して抑制作用を及ぼす。

動物が何らかの外力を受けると、反射的に四肢の筋緊張が変化し、姿勢の崩れを未然に防ぎ、体平衡を保とうとする。

これが前庭脊髄反射であるが、これを主に担うのが前庭脊髄路である。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%89%8D%E5%BA%AD%E8%84%8A%E9%AB%84%E8%B7%AF

とあります。

以下は、石井真一郎先生がセミナーで話されていたことです。

前庭脊髄路の働きにより、前方方向に向かう加速度を検出すると、同側の大殿筋(伸筋)を促通し、屈筋(腸腰筋)を抑制します。また、反対側の腸腰筋を促通します。

この前庭脊髄路は、立ち上がり動作時にも働き、立ち上がりにおいては前方方向の加速度を検出することで両側の大殿筋を促通するとされています。

 

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体幹の前傾VS勢いをつける

立ち上がりにおける神経基盤の話から、前庭脊髄路をonにするには、前方への加速度情報が重要になることがわかりました。

体幹を前傾させると、前方の加速度ではなく、下向きの加速度が生じてしまいます。

ということは、体幹を前傾させる戦略よりも、勢いをつける戦略の方が神経学的には立ち上がり動作にとっては良い影響を与えやすいことが伺えます。

おじぎをすると、前庭脊髄路には下向きの情報が入り、伸筋の促通が行えません。

また、体重はつま先にかかるために大腿四頭筋の筋緊張は高まりにくい状態になります。

勢いをつけることは、前庭脊髄路に前向きの情報が入り、伸筋が促通されます。

また、体重は踵にかかるため、大腿四頭筋の筋緊張が高まりやすくなります。

前庭脊髄路は歩行においても働くため、歩行につなげるためには勢いをつけた立ち上がり練習を行う方がよいとも考えることができます。

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立ち上がり動作で手をついてしまう理由を考える

立ち上がり動作で手をついて動作を行うメリット

立ち上がり動作で、手をつくことのメリットは何でしょうか。

患者さんでは、ベッドに手をついたり、肘掛け椅子や車椅子の肘掛(アームレスト)に手をついて立ち上がることがよく観察されます。

メリットとして、

・手をつくことで下肢(股関節や膝関節)にかかる力を軽減できる
・手をつくことでバランスの不安定さ(足関節でのバランス調節)を補うことができる

ことが挙げられます。

 

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立ち上がり動作で手をついて動作を行うデメリット

立ち上がり動作で手をついて動作を行うデメリットは何でしょうか。

これには、正常な立ち上がり動作を考えていく必要があります。

正常な立ち上がり動作では、

①骨盤前傾位へ(腰椎の前腕に伴い骨盤前傾位となる)
②体幹前傾位(股関節屈曲に伴い体幹前傾となる)となり重心が前下方へ

という動作が屈曲相ではみられます。

手をつくということは、②の体幹前傾の動きを途中で止めてしまうことになっています。

正常な立ち上がり動作では、目線が足のラインを越えたあたりで臀部離床が始まるのですが、手をついているとその動きを阻害してしまっていることになります。

そのような犠牲を払ってでも、患者さんには手をついて立ち上がる必要性があるということになります。

立ち上がり動作で手をついてしまう理由

通常であれば、手をついている状態で立ち上がろうとすると、体重が前方に移動することに伴い通常は手は支持面から離れます。

それが自然な反応です。

しかし、それができない理由は、先ほど説明した屈曲相が作れないためです。

屈曲相がつくれないために、手で重心を上方へ押し上げることにより代償しようとしていることになります。

屈曲相が作れない理由として、

骨盤後傾位での動作

が挙げられます。

通常の立ち上がり動作では、腰椎の前彎に伴い骨盤が前傾していきますが、患者さんの多くでは骨盤は後傾したままになっています。

 

骨盤が後傾する理由としては、

・腹直筋の筋緊張亢進or低下
・内腹斜筋の筋緊張低下
・外腹斜筋の筋緊張亢進
・多裂筋の筋緊張低下
・ハムストリングスの筋緊張亢進

などが考えられます。

これらの筋を評価することで、どの筋が骨盤後傾の原因筋になっているかを把握することが必要になります。

その他の理由としては、先ほど、手をつくことで足関節の調節によるバランス反応を補うことができるということを説明しました。

足関節の可動性が低下していたり、足関節の筋力低下、足底の感覚障害が生じている場合でも、バランス反応が崩れてしまうことは考えられます。

それを代償するために手をつくことでバランスをとっている可能性もあるといえます。

 

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まとめ

立ち上がり動作で手をつくメリットとして、

・手をつくことで下肢(股関節や膝関節)にかかる力を軽減できる
・手をつくことでバランスの不安定さ(足関節でのバランス調節)を補うことができる

が挙げられます。

立ち上がり動作で手をつく理由としては、

・骨盤後傾での動作
・足関節でのバランス調節能力の低下

が考えられます。

その機能障害の要因として、

・腹直筋の筋緊張亢進or低下
・内腹斜筋の筋緊張低下
・外腹斜筋の筋緊張亢進
・多裂筋の筋緊張低下
・ハムストリングスの筋緊張亢進

・足関節の可動性の低下
・足関節の筋力低下
・足底の感覚障害

などが考えられます。

これらの要因を検査、評価を通じて確認していくことが大切になります。

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リハビリテーションと運動学習:立ち上がり訓練における多様練習

多様練習とは

多様練習とは、運動学習理論における練習方法のひとつになります。

練習方法には様々な考え方がありますが、多様練習と一定練習は反対の考え方になります。

多様練習:
リハビリテーション場面において、課題の施行ごとに変数(条件)を変えずに行う練習方法。

一定練習:
リハビリテーション場面において、課題の施行ごとに変数(条件)を変えて行う練習方法。

例えば、リーチ動作練習を行う場合に、
一定練習:同じ距離、同じ方向、同じ物に対してリーチを行う。
多様練習:毎回違う距離、違う方向、違う物(重さ、形態、材質など)に対してリーチを行う。
といったような条件になります。

一定練習では、行動の変化が急に現れやすいという特徴があります。
一方、多様練習では行動の変化はゆっくりだが学習したことを保持しやすいという特徴があります。

リハビリテーションでは運動学習を保持させ、様々な場面でそれを発揮させることが重要になるので、多様練習は重要な要素になると考えることができます。

 

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立ち上がり動作における多様練習の概要

立ち上がり動作における多様練習を考えた場合に、どのようなシチュエーションが思い浮かぶでしょうか。

これを多く思い浮かべることができるのは、よいセラピストの要素になるかもしれません。

一般的に、立ち上がり練習を行う際には端座位となり、以下のような開始肢位をとり行うと思います。

もちろん、課題遂行においてこのような基本要素はとても大切な開始姿勢です。

しかし、日常生活を送っているなかでは、このような開始姿勢のみで動作を行うことはまずないと思うのです。

様々な環境やその日の体調にも左右されるかもしれません。

そのため、多様練習を行い、どのような状態においても効率的で安全な立ち上がり動作を行えるような能力を身につけておいてもらうことが必要になると思うのです。

 

多様練習の要素を取り入れた立ち上がり練習の具体例

①通常の立ち上がり練習

何が通常かと指摘されると答えられませんが、一般的な立ち上がり練習がまず挙げられます。

端座位から立ち上がる動作になります。

最初は、手すりなどを把持して立ち上がり練習を行います。

②足の設置位置を変更する

立ち上がり動作において、足の位置決めは重要な要素になります。

基本的には足の位置は手前側の方が動作は容易になるとされています。

それを、少し前に出したり、片方の足のみを前に出したりと、条件を変更することで多様練習の要素を取り入れていきます。

 

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③立ち上がりで視線を移動させる

立ち上がり練習では、前方に体重を移すために顔は前方を向くように固定されがちです。

それをあえて首を左右にまわしたり、まわさなくても視線を左右に移動させたりしながら立ち上がり練習を行います。

通常というか、健康な状態であれば少しばかり身体への注意がそれていても立ち上がり動作は遂行することができると思うのです。

そのため、立ち上がり練習においても、他の所に注意を向けながら立つというのは、多様練習の一要素になると思われます。

このように考えると、立ち上がり練習にも幅をもたせることができます。

一定練習になりがちな立ち上がり動作ですが、変数(条件)を変えていくことで多様練習とすることが可能です。

もっと難易度を上げたいのであれば、お盆を持ちながら立ち上がる、手荷物を持ちながら立ち上がる、リュックサックを背負いながら立ち上がるなどの条件にも変えることができると思います。

最終的には、患者様が生活する空間の中で行う動作に転移させることができればよいので、そこに向けてトレーニングを積んでいくことが重要になっていきます。

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リーチ動作の段階付けによる訓練は立ち上がり動作の改善につながる

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健常者と脳卒中者の反応の違い

健常者では、リーチ動作においては骨盤を前傾し、背部をやや伸展させ、リーチ方向への体幹の移動が観察されます。

しかし、脳卒中者では、リーチ動作に体幹の動きが伴わず、前かがみの姿勢を保持するため、腕の長さのみの範囲でしかリーチすることができません。

 

リーチ動作で体幹の動きを引き出すには

リーチ動作で体幹の反応を引き出すには、リーチ動作時にその範囲にわずかに届かない所に対象物を配置することです。

訓練では生活動作に基づく必要があるため、対象者のニーズにあったものを選択します。

例えば、上下部に棚のある台所、本棚、食事テーブルなどです。

これに、段階付けの要素(距離、対象物の数・重量、片手/両手)などを考慮して設定します。

簡単難しい
座面固く安定した面、大腿部の広い支持クッション性のある/不安定な面
部分的な大腿部の支持
対象物腕のリーチ範囲
軽い、固い
腕のリーチ範囲外

重い、柔らかい

腕の使用片方の腕両腕
外部支持セラピストや支持物を通してなし
予測予測可能(静止物)予測不可(キャッチボール)

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リーチ動作によるバランス改善と立ち上がり動作の改善

Dean、shepard(1997)の研究において、脳卒中後の座位バランス改善のためのリーチ動作練習が、麻痺側下肢の負荷を増加させ、麻痺側下肢の筋活動の増加と、立ち上がり動作改善を得ています。

内容は、非麻痺側上肢でのリーチ(腕の長さを超えた位置への対象物の配置)と、同時に麻痺側下肢の適切な負荷を強調するというものです。

対象物の位置の変更(距離と方向)、座面の高さ、移動速度、対象物の重量、大腿部の支持面積、課題の繰り返しの回数などの変化により難易度を高めます。

歩行の改善は見られない結果となっています。

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住宅改修に役立つ!立ち上がり動作での手すり設置位置の考え方!

なぜ立ち上がり動作が行いにくいか

立ち上がり動作が行いにくい人は、どのような所に問題があるのでしょうか。

主なポイントを以下に挙げていきます。

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骨盤が後傾し、前方への体重移動が上手くいかない

立ち上がり動作では体幹を前傾させることにより、狭い支持基底面内に身体重心を入れる必要があります。

骨盤が後傾している姿勢のままで体幹を前傾すると、骨盤が前傾した状態での体幹前傾と比較して、身体重心が前方に移動しににくなってしまいます。

その状態で立ち上がろうとすると、膝関節の伸展筋(特に大腿広筋群)にはかなりのパワーが必要になってしまいます。

大殿筋、大腿四頭筋の筋力低下がある

殿部を離床させるためには膝関節の伸展がみられる必要があります。

このときの膝関節の伸展は、前脛骨筋の活動により下腿が前方に傾いた位置をキープしながら、大腿を前方に回転させることにより達成されます。

大腿が前方に回転するには、骨盤が前傾していくのを大殿筋の収縮によりブレーキをかけることによって、その力が膝関節に波及し膝関節を伸展させる動きとなります。

つまり、大殿筋の十分な筋活動と収縮のタイミングが合うことが必要になります。

殿部離床後には、股関節・膝関節が伸展し、足関節は底屈することにより、重心が上方に移動する必要があります。

この際には床面に向かって押し下げるような下肢の運動が必要になりますが、大殿筋と中間・外側・内側広筋の十分な筋収縮と収縮のタイミングが合うことが必要になります。

 

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立ち上がり動作と手すりの使用

手すりを使用することで、立ち上がり動作が行いやすくなることは知られていますが、その理由を考えていきます。

立ち上がり動作では、縦型の手すりを用いることが有利だとされています。

これは、縦型手すりを使用することで、上肢の力が重心の上方移動に働き、下肢の負担を軽減することができるためです。

縦型手すりを前方につけることで、体幹の前傾は促されやすくはなります。

体幹が前傾している姿勢での立ち上がり動作では、膝関節の負担は減る一方で、股関節や腰背部の負担は大きくなってしまいます。

そのため、どの程度体に近い位置が良いのか、離れた位置がよいのかということについては動作を評価しながら検討していく必要があります。

このようなポイントに、作業療法士や理学療法士の評価という視点が必要になります。

評価により下肢・体幹筋力を把握しながら、最適な動作を誘導するための手すり設置場所を検討していきます。

L字型手すりよりもT字型手すり?

小島正義先生は、立ち上がり動作に最適なのはL字型手すりを改良?したT字型手すりだとしています。

これは、L字型手すりの縦手すりの部分を下に延長した手すりを指し、文字通りT字型をしています。
小島先生によると、

まず、頭部・体幹を前後に倒す場合、前方の手すりの下の部分をもち、背骨・膝が伸びると同時に上に向かって手すりを持ち替え、最後に立位となります。

この手すりに限らず、縦の手すりの長さを長くするということは「動作分析」的にはメリットがあるでしょう。

とあります。

この論理では、立ち上がりにおける体重の前方移動の相(体幹前傾)では手が後ろに位置する(肩関節伸展位)ことが有利で、離殿から重心の上方移動の相では手が徐々に体側に戻っていくことが有利だというバイオメカニクス的な観点となっています。

縦手すりを通常よりも長いものとして捉え、立ち上がりの初期において下の部分を持つということは、試してみる価値があるかもしれません。

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着座動作のバイオメカニクスと必要な筋活動、介助のポイント

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着座動作でよくみられる問題点

着座動作でよく観察される事として「ドスン座り」があります。

椅子の座面に向かってブレーキをかけることができず、勢いよく座面に向かってしまうために臀部を座面に打ち付けるようにして座ってしまうのです。

このような動作で着座を行うと、圧迫骨折の引き金になることもあり、日常生活場面でも「ゆっくりと座って!」と注意する場面はよく見かけます。

しかし、患者さんの多くは着座動作に必要な筋活動(ブレーキをかけるような筋収縮:遠心性筋収縮)を行えないために、ドスン座りとなってしまうのです。

そして、普段の介助場面において、介助者がドスン座りを誘発してしまっていることもあるため、注意が必要です。

 

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着座動作のバイオメカニクス、必要な筋活動

着座動作は、立ち上がり動作とは全く違う筋活動を用いて動作が行われます。

着座動作に必要な筋肉の収縮様式は、ブレーキをかけるような「遠心性収縮」です。

着座動作は、関節運動の視点からすると屈曲方向に動きますが、動作に必要な筋肉は全て伸筋です。

これらのことから、着座動作では、下肢の伸筋を遠心性収縮によりコントロールする必要があることがわかります。

立位の状態から膝をまげて座っていくためには、まず足関節を背屈させる必要があります。

このときは、足関節の底屈筋を緩めることで脛骨が前方に移動し(体重が前方に移動)、膝関節が屈曲しやすくなります。

注意しておきたいことは、決して股関節が先に曲がるわけではありません。

股関節が先に曲がってしまうと、膝関節は伸展方向に動いてしまうため、着座動作は開始できません。

その後、大腿四頭筋の遠心性収縮により膝関節にブレーキをかけながら屈曲し、股関節伸筋(大殿筋など)によりブレーキをかけながら股関節を屈曲させていきます。

対象者の方でよくみられる動きは、腰椎(特に第3腰椎)を屈曲させ、骨盤後傾位となり、胸椎(特に第9胸椎)も屈曲が起きてしまうことです。

このような屈曲の動きが入ってしまうと、膝関節や股関節の伸筋群は「ON」には決してなりません。

そのため、ブレーキがかけられずドスン座りになってしまったり、座面に手をつきながら座る、物を持ちながら(引っ張りながら)座ろうとする動きになるのは当然ともいえます。

このことから、着座動作では腰椎屈曲・骨盤後傾、胸椎を屈曲させず、体幹は伸展位(どちらかというと上に向かう動き)に保っておく必要があります。

自分の前にある、少し遠くの対象物を取りに行く動作を思い浮かべてください。

骨盤は前傾し、腰椎や胸椎は伸展しながら股関節は屈曲するような動きです。

このような動きはまさに着座動作と同じような動きになります。

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着座動作の介助のポイント

着座動作の介助場面において、我々がよくやってしまうことは、対象者がすぐに後方に移動しようとすることを許してしまうことや、介助者がすぐに後方に誘導してしまうことです。

前途した着座の開始動作を思い浮かべてみると、はじめは体重が前方に移動する動きでした。
このことから介助においては、はじめは後方に誘導するのではなく、前方に移動させ、膝を屈曲させるような誘導が必要といえます。

このとき、「おじぎするように」などと誘導してはいけません。

おじぎをすることは、体幹は屈曲位になってしまいます。

着座動作では体幹は伸展している必要があるため、このような動作指示をしてしまうと下肢の伸筋群の働きが見られず、ドスン座りを誘導してしまうことになります。

腰椎部が屈曲しないように手で誘導しながら体重を前方に移動させることが必要になります。

 

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着座動作のバイオメカニクスと介助のポイントのまとめ

①着座動作では下肢の伸筋が使われる

②筋収縮は遠心性収縮によりブレーキをかけながら動作が行われる

③腰椎・胸椎屈曲、骨盤後傾位にならず、体幹は伸展をキープすることが必要

④介助ではすぐに後方に誘導せず、体幹伸展をキープしながら、体重を前方に移動してから膝関節を屈曲させやすいようにする