関節リウマチのリハビリテーションにおいては、日常生活の過ごし方と適度な運動と安静のバランスが重要になります。運動においては、動かさないと硬くなりやすい関節を、しっかりと動かすことが必要になります。今回、関節リウマチのリハビリテーションとして、自主トレとして行えるリウマチ体操についてまとめていきたいと思います。
目次
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関節リウマチ(RA)について、
関節リウマチ(かんせつリウマチ、rheumatoid arthritis:RA)とは、自己の免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病の1つで、炎症性自己免疫疾患である。
四肢のみならず、脊椎、血管、心臓、肺、皮膚、筋肉といった全身臓器にも病変が及ぶこともある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%9E%E3%83%81
とあります。
炎症性とありますが、炎症には痛み、腫れ、熱感、発赤が生じます。
関節の炎症の特徴としては、
・慢性的ですぐには治らない
・多発性であちこちの関節が侵される
・進行性で放っておけば関節の変形が進んでしまう
ということが挙げられます。
20〜50代の発症が多く、女性>男性で発症率が高くなっています。
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気象条件により病状が悪化することの多い疾患のひとつに関節リウマチが含まれますが、これらを気象病と呼びます。
体調の変化をきたしやすい天気の状態として、
①急な風向きの変化
②天気の急変
③雨が降る前
④低気圧が近づく前
⑤気圧の変動
⑥急な湿気の変化
などがあり、これらは前線の通過する際の気象要素の変化とよく一致するとされています。
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古い調査(1926-29)になりますが、R.Feigeらによると、天気図とリウマチ患者の痛みの発現の調査では、寒冷前線の影響が強いこと、寒帯性気団が熱帯性気団よりも影響が少ないこと、天気痛はリウマチ患者が突然の気象変化に素早く対応できないことによるもの、リウマチ患者はある限られた範囲内でのみ天気予報ができること、前線通過の際には症状に見合った投薬などの処置を必要とすることなどを述べています。
また、これらは安静臥床の患者においても軽度ながら自覚症状があるとされています。
今堀の調査によると、
低気圧および不連続線が西から接近してくれば痛みは次第に増強し、東に去ると痛みは急激に軽減する。低気圧の去来による変化がいっそう著しい。
高気圧が西から接近してくるとともに痛みは軽くなる。東に去るとふたたび増強し、低気圧通過時と逆の関係を示す。
臨床リハビリテーション 慢性関節リウマチ 医歯薬出版 1990
とあります。また、
リウマチ痛は低気圧の接近、前線通過・湿気で増加するともいわれ、座骨神経痛が集団的に増強するのは、低気圧の暖域にあって、南風の強い場合と、寒冷前線通過前の南風の強い場合に限られているという報告もある。
臨床リハビリテーション 慢性関節リウマチ 医歯薬出版 1990
とあります。
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前線(低気圧)の接近による減圧で、体内にヒスタミンやヒスタミン様物質が動員し、体内に水分が溜まり、平滑筋の収縮や血管透過性・炎症反応増強により天気痛が誘発するとの説があります。
自律神経系への影響では、気象変動によりはじめは副交感神経の感受性が亢進し、次ぎに交感神経の感受性が亢進するとされています。前線による気団の交代では、生体の調節機能が最大に働く必要があり、免疫が不安定なリウマチ患者では症状が発現しやすいとされています。
他にも、天気の変動というストレスに対する過剰防衛という説もあります。
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関節リウマチのリハビリテーションでは、日常生活の過ごし方が大変重要になります。
もちろん、医師の処方に基づいた治療も大切なのですが、対象者本人がいかに普段の生活において注意しながら安静と運動、関節に負担をかけない過ごし方を行うかが大切になります。
日常生活の過ごし方に注意することに関しては、薬物療法のように副作用に悩むことはありません。
それに、どんなに薬物治療を行っても、日常生活の過ごし方が疎かであっては治療の効果は出にくくなります。
自分自身が関節リウマチの知識を習得し、理解することで、根気よく治療を続けていくための精神的な支えを得ることが必要だと考えられます。
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関節リウマチのリハビリテーションにおいては、安静と運動の調節が必要になります。
安静には、
・全身の安静
・局所的な安静
・精神的な安静
があります。
全身の安静では、発病したての頃や活動性の高い時期には、入院治療などによる安静が必要になります。
局所的な安静では、関節に炎症症状(痛み、腫れ、熱感、発赤)が生じているときは、葬具やサポーターなどで関節の固定を行うことも大切です。
精神的な安静では、気分の落ち込みや心配・不安をできるだけ取り除くことで落ち着いた気持ちで関節リウマチと向かい合うことが大切になります。
運動の必要性については、運動を行わなければ関節が曲がってしまい、関節可動域が狭くなってしまうためです。
また、運動をしないことにより筋肉の萎縮が進むと、関節が固まりやすく(拘縮)なってしまいます。
自分でできる運動としては、体操、散歩、家事などがあります。
家事を行うことは、活動量としては散歩などに相当するのですが、関節の運動範囲に関しては限られた関節しか動かないため、自分で体操を行うことが非常に有効になります。
基本的には疲れを感じない程度で行います。
安静を重視してしまうと、関節が硬くなってしまいます。
運動を重視すると炎症が強くなり痛みが続いてしまいます。
この境界線を探るにはどのようにすればよいのでしょうか。
まずは、少しの運動量から開始し、徐々に運動量を多くしていくことです。
運動時の痛みはもちろんあるのですが、運動終了後に2〜3時間しても痛みが治まらない/痛みが強くなった/次の日に疲れが残った場合には運動量が多すぎると考えることができます。
運動量は個人差があるため、色々と試しながら調節を行う必要があります。
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リウマチ体操を行う目的としては、関節の動く範囲(関節可動域)を維持または改善し、関節に変形を起こさせないことにあります。
関節リウマチでは関節の変形が見られやすいことから、いかに変形を防いで日常生活を過ごしていけるかということは重要なポイントになります。
・楽な姿勢で行います。
・力を入れすぎずに、スムーズな関節運動になるように心がけます。
・1つの動きから、次の動きに変わるときには一度筋肉をリラックスさせます。
・自分のペースで行います。
・関節を温めたあとで行います。
・1日2回を目安に行います。
・1つの動きを5〜10回行います。
・関節の動く範囲いっぱいまで行いますが、多少の痛みは出るためがまんもします。
・体操終了後2〜3時間経っても痛みが続くのであれば、運動量を減らすか体操を中止します。
・体操後2〜3時間は安静にします。
・疲れたら休憩しながら行います。
・すでに関節の変形がある場合は、その動きとは逆の動きのときに力を入れるようにします。
・変形や痛みがある関節以外の運動も重要です。
・関節の動きが悪い方向に力を入れるようにします。
・体操の前後、次の動きの間で深呼吸を行います。
・足に負担をかけたくない場合は腰掛けて行います。
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肩伸展(+内旋)
手のひらを下に向けるのが「回内」、手のひらを上に向けるのが「回外」です。
手首を親指の方向に傾けるのが「橈屈」です。関節リウマチの方では、逆方向(小指側)に傾ける「尺屈」は関節変形を助長してしまうため禁忌となります。
2番目の図を見てもらうとわかるように、指の第1関節と第2関節は伸ばしたまま行うのがポイントです。
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腹式呼吸では、吸った時にお腹がふくらみ、息を吐いた時にお腹がへこみます。
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