労災保険は、リハビリテーション職種であれば一度は聞いたことがあると思います。労災保険対象の方に対してリハビリテーションを実施する機会もあります。今回、セラピストが知っておきたい労災保険のことについてまとめていきたいと思います。
目次
労働者災害補償保険(ろうどうしゃさいがいほしょうほけん、ドイツ語: Arbeiterunfallversicherung)は、労働者災害補償保険法に基づき、業務災害及び通勤災害に遭った労働者(後述の特別加入者を含む)又はその遺族に、給付を行う公的保険制度である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E7%81%BD%E5%AE%B3%E8%A3%9C%E5%84%9F%E4%BF%9D%E9%99%BA
労災保険は、業務中や通勤での傷害などに対して、必要な保険給付を行ったり、社会復帰を促進するための事業を行う制度です。
労災保険における保険給付には、
・葬祭料(死亡した場合)
・遺族給付一時金、または年金
・療養給付
・休養給付
・傷病給付
・介護給付
などがあります。
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療養(補償)給付とは、業務中または通勤中に負傷や病気になった際に、療養(補償)給付が支給される制度です。
なお、療養補償給付は業務による災害のことを指し、
療養給付は通勤による災害のことを指します。
療養(補償)給付は
・療養の給付
・療養の費用と支給
に分かれています。
療養の給付は、労災病院や指定医療機関などで無料で治療などの支給が受けられる制度です。
療養の費用と支給は、指定医療機関以外で治療などを受けた場合に、どの費用を支給(現金給付)する制度です。
休業補償給付とは、業務中または通勤中に負傷や病気になったことにより働くことができず、賃金を受け取ることができない場合に、その4日目から休業(補償)給付の支給が受けられる制度です。
その内容は、
・休業(補償)給付:給付基礎日額の60%×休業日数
・休業特別支給金:給付基礎日額の20%×休業日数
となっています。
給付基礎日額とは、原則的に、労働基準法による平均賃金に相当する額のことを指し、各年齢区分により定められています。
なお、4日までの間では、業務中の災害であれば事業主が1日につき平均賃金の60%の休業補償を支払います。
傷病(補償)年金とは、業務中または通勤中に負傷や病気になり、療養を開始した日から1年6ヶ月後以降に、
・負傷や病気が治っていない
・負傷や病気による傷害の程度が疾病等級表の等級に該当する
ことを条件に、傷病(補償)年金が支給される制度です。
等級に応じて、傷病(補償)年金、傷病特別支給金、傷病特別年金が支給されます。
障害(補償)年金とは、業務中または通勤中での負傷や病気が治ったときや、一定の障害が残った場合に、障害(補償)給付が支給される制度です。
その障害が、障害等級表の等級に該当する場合、その程度に応じて支給されます。
第1〜7等級と、第8〜14等級では、支給されるものが異なっています。
第1〜7等級:障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金
第8〜14等級:障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金
障害(補償)年金は、障害認定日(基本的に1年6ヶ月)までの間は請求はできません。
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社会復帰促進事業とは、業務中または通勤中での負傷や病気により被災した労働者やその遺族に対して、給付に加えて社会復帰の促進や被災者、遺族の援護などを促進するための制度です。
社会復帰促進事業には、
・義肢等補装具購入(修理)に要した費用の支給
・アフターケア制度
・労災就学等援護費
・長期家族介護者援護金
などがあります。
義肢等補装具費支給制度では、義肢等補装具の購入や修理に要した費用のほか、採型や装着訓練などのための医療機関受診にかかる交通費や宿泊費も支給されます。
支給種目は、上肢・下肢装具、車椅子、歩行車、ギャッジベッドなど20種目以上あります。
なお、各種目に支給対象者や支給の範囲が定められています。
アフターケア制度とは、業務中または通勤中での負傷や病気をした方が、そられが治ったあとも再発予防などを目的として、必要に応じて診察や検査などを受けることができる制度です。
対象となる病気や怪我には、脊髄損傷や頭部外傷など20種類があります。
申請後、アフターケア健康管理手帳が交付され、それを指定医療機関で提示することにより検査などを無料で受けることが可能になります。
労災就学等援護費は業務中または通勤中での負傷や病気した方が亡くなり、残された遺族や、重度の障害によって長期療養を受けることになった方が、その子供の学費などを工面することが困難(と認められる)な場合に支給されます。
支給対象者や給付額が定められています。
労災保険という言葉は知っていても、今回のように様々な制度や仕組みが整えられていることがわかりました。
私たちはただリハビリテーションを実施するというだけでなく、このような制度も知っておくことにより、対象者の方に有益な情報を知ってもらえることもあります。