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精神障害(統合失調症、うつ病)に対するリハビリ、作業療法評価とアプローチ

精神科疾患において、統合失調症、うつ病などは接する機会が多い疾患です。今回、統合失調症やうつ病などに対するリハビリ、作業療法評価とアプローチについてまとめていきたいと思います。

目次

精神障害(統合失調症、うつ病)に対するリハビリ、作業療法評価とアプローチ

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統合失調症の診断・鑑別・病型・予後・再発

統合失調症の診断

統合失調症は、主に10代後半から20代に発症することが多く、慢性進行する事が多い疾患です。

統合失調症の診断には、特徴的な臨床症状の有無をもとに診断されます。

診断基準には、WHOの「ICD-10」やアメリカ精神医学会の「DSM-Ⅳ-TR」などが多く用いられています。

統合失調症の症状には、陽性症状として主に幻聴や妄想、させられ体験などの自我障害があり、陰性症状としては主に感情鈍麻や思考過程(常同思考など)の障害、意欲低下、ひきこもりなどがあります。

統合失調症と他疾患の鑑別

①躁うつ病(気分障害)
躁うつ病の躁病相では、興奮が激しい場合、統合失調症で見られる観念奔逸と滅裂思考との区別がつきにくく、幻覚や妄想、自我障害を伴っている場合もあります。

うつ病相では、被害妄想や幻聴を認める場合があり、昏迷が見られる場合の鑑別が難しくなります。

②器質性精神病・症状精神病
前頭葉腫瘍では自発性低下や脱抑制がみられることがあります。

脳炎や認知症では精神運動興奮がみられることがあります。

内分泌疾患や膠原病、中毒精神病、アルコール依存症では統合失調症と類似する症状を示すことがあり、また幻覚を伴うことがあります。

③人格障害
境界性人格障害、統合失調症型人格障害、妄想性人格障害では、幻覚や妄想があると鑑別が難しくなります。

④神経症
強迫症状や離人症がある場合、妄想との区別が難しくなります。

パラノイア(偏執的になり妄想がみられる)や敏感関係妄想との鑑別が必要な場合があります。

統合失調症の病型

「ICD-10」によると、統合失調症を破瓜型、妄想型、緊張型などに分類しています。

①破瓜型
発症年齢は15〜25歳、妄想・幻覚症状は目立ちません。

特別な理由なく不登校や欠勤、成績低下などにより発見されることが多いです。

経過としては、陰性症状(感情鈍麻、意欲低下)が急速進行し、予後不良、再発、再燃を繰り返し、著しい欠陥状態となることもあります。

②緊張型
発症年齢は20歳前後、精神運動性障害がみられます。

動機のはっきりしない強い精神運動興奮、周囲への反応低下、昏迷の繰り返し、拒絶症や緊張病性姿勢保持などを認めます。

周期的な経過が多く、若年発症では残遺症状を残すこともありますが、一般的には再発と寛解を繰り返しても、予後良好と言えわれています。

③妄想型
発症年齢は30代〜40代が多いです。

幻聴や妄想が目立ち、また感情や意欲の低下会話障害がみられることがあります。

緊張病性の症状はあまり目立ちません。

統合失調症の予後

統合失調症の経過や予後は、現在では大きく4つに分類され、
①完全回復
②軽度の人格欠陥に至る
③思い人格欠陥に至る
④人格荒廃に至る
となっており、各1/4ずつになると言われています。

近年では抗精神病薬やリハビリテーションにより重症例は減少してきています。

WHOによると、初発患者の約半数は完全、または長期的な回復がみられ、生活に支障をきたす者は残りの約1/5だと言われています。

統合失調症の再発

統合失調症の再発には、強いストレスが引き金となることがあります。

例えば、心身とも疲労があるとき、環境の変化(入学、転職、結婚など)、喪失体験(大切な人や物を失うなど)などが挙げられます。

また、家族に感情的な表現が多く見られる家族との同居の場合(high EE family)、再発の引き金となることがあります。

また無視や無関心など、感情表出が極端に弱い家族との同居の場合も、再発しやすいと言われています。

このことから、再発予防には家族の感情表出に関しても介入していく必要があります。

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統合失調症の作業療法〜精神症状の理解とチェック〜

幻覚

実際には存在しない対象を知覚することにより、幻視、幻聴、幻味、幻臭、幻触、体感異常が出現します。

統合失調症では幻聴、体感異常が多く確認されます。

幻視:実在しないものや人が見える

幻聴:聞こえるはずがないことが聞こえる
自分の悪口や批判、噂などで、雑音や物音の場合もあります。特定・不特定の人や神様の声の場合、電波やテレパシーとして出現します。

幻臭:実際にはない臭いを感じる。被害妄想関連での出現が多く見られます。

幻味:実際にない味を感じる。被害妄想関連で幻臭とともに出現することがあります。

体感異常:主な疾患がなくても体の内部(内臓感覚)に異常を感じる

思考過程

思考途絶:考えが突然なくなる。会話中に急に黙る、黙って少しすると話すがまた黙るなどで、訴えとしては「頭が空になる」「考えがなくなる」などと言います。

思考滅裂:まとまりのない、わけのわからない話をする。色々話しますが、具体的に何を言おうとしているか判断できません。

思考内容

妄想(思考の意味づけが間違っているが、患者はその内容を確信し、他者が誤りを訂正しても訂正不可能なもの)が見られます。

妄想により自己防衛や不安の軽減を図ろうとします。妄想の対象には、患者との心理的距離の近い人や物の場合が多くなります。

被害妄想:外部から外を与えられ苦しめられるという妄想

誇大妄想:自分の過大評価する妄想

微小妄想:自分を過小評価する妄想

感情

感情鈍麻:感情反応の減少や消失が見られ、大きな感情の変化がなく、周囲に無関心となります。清潔に無頓着になることや、羞恥心なく平気で嘘をつくなどが見られます。

両価性(アンビバレンツ):相対する感情(愛着と憎しみ)が同時に体験されてまとまらない状態

情動易変(易刺激性):些細なことで感情が変わりやすくなるのが情動易変。それに基づき衝動行為を起こすのが易刺激性。

自我意識

能動意識の異常:知覚、思考、行為などの心的過程が自分のものだという意識、自分がしているという意識の障害により、現実感がなくなり、作為体験を経験することもあります。自他の区別がわからなくなり、不安や恐怖を感じ、他者との関係をとらず引きこもるようになります。生きている実感もわきずらくなります。

離人症:自分が何をしようとしていたのかわからない、自分の体は他人のもの、手足を動かしている感じがしない、喜怒哀楽を感じない、自分が動き、考えていると思えないなどと感じます。

作為体験:他者により操られていると感じます。
「思考吹入」は自分以外の考えが吹き込まれると感じます。「思考奪取」では自分の考えが他者に奪われると感じます。
「思考伝播」では相手の事を考えるとそれが相手に伝わると感じます。
「考想察知」では自分の考えが常に見破られると感じます。

単一性意識障害:「二重意識体験」では、自分の姿の一部または全部を幻影像として見ます。また見えなくても気配を感じます。訴えとしては幻影像が現れた、それが自分の姿とわかり、自分の動きに追従して動いたり話しかけたりするなどが聞かれます。

意欲

意欲亢進:絶えず動くが統一性や一貫性を欠き、意味のない動きとなります。

精神運動興奮:急に現れるコントロールできない激しい過剰な運動

緊張病性興奮:目的のない興奮。昏迷による無動と興奮が交互に見られ、衝動行為に結びつくこともあります。幻覚や被害妄想と関連して興奮が高まることもあります。

自発性欠如:感情鈍麻と関連します。日常に無関心で周囲への働きかけがなくなります。

被影響性の亢進:行動する時の能動性が低下している状態です。「カタレプシー」では受動的に与えられた窮屈な姿勢を長時間保持し、自ら戻そうとしません。

被影響性の減退:「拒絶症」では、他者からの命令や指示に理由なく拒絶します。

意志の統制不能:「アカシジア」では、じっとしていられず、歩き回ったり足踏みしたり、足がむずむずするとの訴えも聞かれます。抗精神病薬の副作用として見られることがあります。
「強迫行為」では不合理で無意味と理性で判断しても、実行せずにはいられなくなり、それをやめると強い不安が生じます。
「強迫観念」では本人の意志に反して繰り返し浮かぶ考え、イメージにより不安や恐怖を感じます。なかなか取り除くことができない思考です。
「常同症」では、意志でのコントロールができず、その場の状況に即さない行動や運動、言葉などが繰り返しみられます。それぞれ常同姿勢、徘徊、語唱、常同運動と区別されます。

昏迷

亜昏迷:意識は保たれていて、外からの刺激を受け止めているものの全く反応がない状態が昏迷ですが、それに近い状態を指します。

緊張病性昏迷:統合失調症緊張型でみられます。活発な幻聴や妄想により身動きがとれなくなっている状態です。外部の状況は認識していますが、自発的な行動はなくなります。

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統合失調症の作業療法における薬物療法の理解

定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬

統合失調症の薬物療法には、抗精神病薬が使われます。

抗精神病薬は、神経伝達物質に作用することにより精神症状を緩和させる働きがあります。

抗精神病薬には定型と非定型の2種類があり、定型抗精神病薬では副作用の強いものが多くあります。

副作用が出現しても、服薬を中止せず、副作用止めの薬で対処する場合が多くなります。

そのため作業療法士は副作用の出現を、観察や言動を通して把握していく必要があり、医師や看護師と連携していく必要があります。

定型抗精神病薬

定型抗精神病薬には大きく分けて3種類あります。

一つには、催眠・鎮静作用のあるもので、不安・焦燥・興奮を鎮めるものです。

2つには、抗幻覚・妄想作用、抗精神病作用のあるもので、幻覚・妄想・自我障害などの陽性症状を緩和するものです。

3つには、賦活作用のあるもので、意欲向上、感情鈍麻・意欲減退・自閉を改善するものです。副作用として不穏・興奮を起こすことがあります。

定型抗精神病薬はその作用力を示す強さ(等価用量)によって、高力価群と低力価群および中間型に分けられる。

高力価群はおもに幻覚・妄想に、低力価群は精神運動興奮に対する鎮静目的に使用される。

統合失調症の作業療法の進め方 P82

定型抗精神病薬の種類や一般的効用については、成書を参照してください。

定型抗精神病薬の副作用と副作用止め

定型抗精神病薬の副作用は、高力価群では錐体外路系に影響があり、低力価群は自律神経、循環器系に影響することが多いとされています。

抗精神病薬投与による錐体外路症状の治療・予防目的として、抗パーキンソン薬(副作用止め)が使用されます。
抗パーキンソン薬にも副作用はあります。

抗パーキンソン薬としては、抗コリン作用を中心としたものが使用されます。

非定型抗精神病薬

非定型抗精神病薬は、陽性症状と陰性症状に効果があり、錐体外路系の副作用が少ない特徴があります。

セロトニン系、ドパミン系に作用するセロトニン・ドパミン拮抗薬や、セロトニン、ドパミンの受容体を主として、様々な神経伝達物質の受容体に拮抗的に作用する多受容体作動薬があります。

さらに、ドパミン・システム・スタピライサー(ドパミン動作性神経伝達の安定化)と呼ばれるアリピプラゾールの使用も増加しています。

非定型抗精神薬の副作用には、高血糖、体重増加などがあります。

非定型抗精神病薬の種類や一般的効用については、成書を参照してください。

注射薬・水薬・デポ剤

注射(筋注、静注、点滴)により投与できる抗精神病薬には、レボメプロマジン、ハロペリドールなどがあります。

注射による投与は、拒薬や早い効果を得るために行う場合や、点滴や注射による心理的効果を得る場合にも使用されます。

経口投与ができない場合(消化管疾患など)にも用いられますが、副作用が出現しやすくなります。

ハロペリドールの水薬は、拒薬時にこっそり服薬させるために食事に混ぜて用いられることもあります。

リスペリドンの水薬では、不安や興奮の症状を早く改善させたいときに頓服用として用いられることがあります。

筋注で2〜4週効果が持続するデポ剤は、服薬管理が十分でない場合や、拒薬のある場合に用いられることがあります。

筋注では薬による副作用が出現しても、ある期間は減量、中止ができない欠点があります。

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統合失調症者の抗精神病薬による副作用〜作業療法中に身体的不調を訴えた場合〜

作業療法中に身体的不調を訴えた場合考えられること

作業療法展開中に、患者に作業活動上の誤りや修正点などを指摘したときに、患者は「体調が悪い」「頭痛がする」「目が悪くてやりにくい」などと訴えることがあります。

このような場合に、患者に身体的な問題があるのか、または言い訳であるのかわかりにくいことがあります。

このとき、他部門情報のなかで「困難なことに直面すると身体的訴えが多い」という情報があると、防衛機制の仕組みに伴い生じた身体的訴えであることが予測できます。

身体的不調は医師にも状況を報告し、できる限り症状が軽減されるようにする必要があります。

「目がチカチカする」「作業をすると頭痛がする」といった場合、視力障害や薬物による副作用が原因であることも考えられます。

統合失調症患者では自律神経症状がよく見られ、比較的突然に現れ、症状は一過性ですが、1つの症状が落ち着くと違う症状が出現するというのが一般的です。

この場合も、医師や看護師と連携をとり症状軽減を図るようにしていきます。

自律神経症状としては、
頭痛、頭重感、心窩部不快感、動悸、頻脈、血圧上昇、肩こり、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛)、急性感染症症状(風邪、扁桃腺炎)、円形脱毛症などがあります。

抗精神病薬の副作用

抗精神病薬(特に定型抗精神病薬)の副作用は患者にとって苦痛を感じるものです。

また副作用による症状が連続することでどうなっていくのかという不安感を強く持つことがあります。

そのため、抗精神病薬の副作用と思われる症状が観察できた場合には、医師や看護師に報告することが大切です。

患者の中には、症状を訴えられない人もいるため、副作用、特に悪性症候群などの副作用出現には注意しておく必要があります。

抗精神病薬の副作用:口渇

唾液分泌減少により喉の渇きがみられます。

1日に何ℓも水を飲むことがあり、体内のイオンが排出されると、けいれんを起こし場合によっては死に至ることがあります(水中毒)。

抗精神病薬と口渇の根本的な原因は明らかにはされていません。

抗精神病薬の副作用:便秘、排尿障害

イレウスや尿閉を招く危険があります。

患者の訴えが少ない場合には注意を要します。

尿道カテーテルや下剤などで処置します。

抗精神病薬の副作用:眠気

薬の鎮静・催眠作用で眠気が生じます。

ふらつきによる転倒に注意する必要があります。

覚醒状態を注意深く観察することが大切です。

抗精神病薬の副作用:悪性症候群

重篤な副作用で、筋強剛によるミオグロブリン上昇で腎不全を起こし死に至る可能性があります。

早期発見が大切です。

症状は高熱(38〜40℃)、筋強剛、意識障害、頻脈、発汗などです。

その他として白血球、CKP(クレアチンフォスフォキナーゼ)、ミオグロブリンの上昇があれば確定的です。

処置としては投薬中止と、筋強剛に対してダントロレン、ブロモクリプチン(筋弛緩薬)を投与します。

抗精神病薬の副作用:急性ジストニア

投薬初期に筋肉のひきつれが起き、頸部が横に向いたり、体が反転したり、下の突出などが見られ、激しく動揺します。

必ずなおることを説明し、抗パーキンソン病薬を投与します。

抗精神病薬の副作用:アカシジア

落ち着きなく動き回ります。

足がムズムズするという訴えがある場合注意が必要です。

精神症状との鑑別が必要です。

抗精神病薬の副作用:アキネジア

無動症や運動不能症ともいわれ、身体の動きが鈍くなります。

抗精神病薬の副作用:振戦

パーキンソン病様症状のひとつです。指のふるえによりお箸の使用が困難になったり、書字困難がみられます。

抗精神病薬の副作用:遅発性ジスキネジア

口や四肢体幹の不随意運動が数ヶ月から数年の薬の投与でみられることがあります。

抗精神病薬の副作用:性ホルモン異常

男性では勃起不能、女性では生理異常が生じる可能性があります。

抗精神病薬の副作用:循環器症状

血圧低下、頻脈、心電図異常がみられることがあります。

起立性低血圧による転倒リスクに注意が必要です。

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統合失調症の作業療法〜幻聴・妄想の理解と対応方法〜

統合失調症に見られる幻聴・妄想

統合失調症にみられる精神症状として幻聴と妄想があります。

幻聴は聞こえるはずのない声などが聞こえてくる症状で、その内容は自分への悪口や批判、噂や命令などがあります。場合によっては雑音や物音のようなこともあります。

幻聴の声は特定または不特定の人、神様のお告げ、電波やテレパシーの場合もあります。

ICD-10の診断基準では、「患者の行動を注釈し続ける幻声、または患者のことを相互に噂し合う複数の幻声、あるいは身体の一部から派生する幻声」の項目があります。

妄想は思考内容の障害で、思考の意味づけに誤りがあるのに、その人がその内容を確信し、他者が誤りを説得しようとしても訂正不可なものをさします。

妄想の内容には被害妄想(外部から被害を被るという妄想)、誇大妄想(実際よりも過大評価する妄想)、微小妄想(実際よりも過小評価する妄想)があります。

ICD-10の診断基準では、「他者から支配され、影響され、服従させられるという妄想、それは、身体、手足の動き、思考、行為、感覚に関連していること、妄想知覚」「文化的要因を考慮しても、不適切でまったくありえないような持続的妄想(たとえば、天候をコントロールできるだとか、別世界の異邦人と交信できるなど)」があります。

作業療法中の言動例

作業療法中には、以下のような言動がみられることがあります。

「◯◯の声が聞こえる」「◯◯先生は△△のスパイだ」などといったことが聞かれることがあります。

また「◯◯が『作業を中断しろ』」と訴え、作業をやめようとすることもあります。

これらは、幻聴や妄想に基づいた言動となります。

幻聴・妄想状態にあることで生じる不利益

幻覚・妄想状態にあると、自他に以下のような不利益が生じます。

幻覚への注意集中により、外界刺激への注意集中が困難になります。

幻覚に支配された行動として、人を払いのけたり、突然怒鳴ったり、空笑・独語が見られたり、会話を中断してしまったりします。

他者の不快感を招く行為として、食物を吐き出したり、清潔を保てない、不適切な場所での更衣(脱衣)などが見られます。

幻覚と結びついて被害妄想となり、指示や提案への拒否的な態度が見られることがあります。

これらのことにより、他者とのコミュニケーションや関係性の構築が難しくなったり、他者から攻撃を受けたり、自傷・他害行為を起こすことなどが考えられます。

幻聴・妄想への対応

前途した、自傷・他害行為の恐れがある場合、行動制限・保護、危険物の除去などを行います。

また対象者にはその場で起こったことについてフィードバックを行います。

幻聴時のコミュニケーションでの基本態度は、「幻聴が現実のもの」という確信を強めさせないようにする必要があります。

そのため、自分には聞こえないことをはっきりと伝えます。

また幻聴の内容について質問すると、さらに幻聴に聞き入るなどしてしまい、病的世界にいる時間をながくしてしまうため、内容は聞き出さないようにする必要があります。

妄想時のコミュニケーションでの基本的態度は、「肯定も否定もしない」ことです。

説得しても、本人は強い確信を持っているため訂正させることは無意味となります。

「◯◯さんはそう思っているんですね。

私にはそうは思えませんけども…」などと患者にとっては事実であることを認めるが、同意はしないようにします。

幻聴・妄想とも、できる限り現実の行動に注意を向けるようにすることが大切になります。

その点において、作業療法での作業活動は、現実世界に触れることができる治療となり得ます。

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精神科作業療法の視点:面接の進め方(注意事項、質問項目など)

面接の目的

 

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面接を行うのは、以下のような目的があります。
・必要な情報の収集
・信頼関係の確立
・作業療法を受ける意思の確認
・作業療法の説明と作業療法への導入

面接での注意点

面接をすぐに実施できる場合とできない場合があります。

他者との言語交流が困難、病識がない、他者との接触が刺激となり病的反応を生じるなどの場合、面接をすぐには実施せず、病棟内レクリエーションを通じて顔見知りになり、心理的距離を保ちつつ、それから面接を実施するような流れをとることがあります。

面接では、情報収集をするということを意識しすぎるあまり、面接時間が長すぎて対象者に疲れさせすぎないように配慮する必要があります。

特に、初回は30分程度にとどめておきます。

面接場所の注意点は、
・プライバシーが保てる場所
・外部の音から遮断されている
・話が外に漏れない
・スタッフの出入りが少ない
・広すぎず、狭すぎず、程よい奥行きの部屋
などがあります。

対象者が自然に話せるような環境設定が大切です。

対象者が脅威を感じないで過ごせる距離や位置をとり、対象者が「自分の空間」を持っているという意識が持てるように配慮します。

大まかな流れ

①あいさつ
②自己紹介
③対象者の確認(名前、生年月日など)
④主治医からの説明の有無の確認
⑤作業療法の経験の有無
⑥面接目的の説明
⑦面接予定時間の説明
⑧質問項目へ(受診理由・主訴→現病歴→既往歴→生活歴→家族歴→現在の生活→将来の生活など)

質問項目

質問項目は全て聞く必要はなく、状況を見て聞いていきます。

主訴・受診理由
・来院・入院理由(入院のきっかけ、何に困って入院したか)
・受診の経緯(どのような状態がきっかけで病院に来るようになったか)
・具合が悪いか
・困りごと

現病歴
病識・病感の確認(発症時期、どんなふうに始まったか、最初の体験や内容)、体験内容の時間的推移、発症時の生活の様子を把握します。
・発症時(いつごろから具合が悪くなったか、いつもの自分でないと思ったり言われたのはいつからか)
・病状経過(どのように具合が悪いと感じたか、どんなふうに具合が変わっていったか)
・発症状況(具合が悪くなったころの生活、その頃の周りの様子、そのころの出来事)
・発症後の生活
・薬物療法への認識(今飲んでいる薬、飲む回数、効果を知っているか)
・病状回復(どのようになりたいか)

既往歴
・今までの大きな病気や怪我
・入院や通院治療

家族歴
・両親(健在か、年齢、仕事、どんな人か、話をするか)
・きょうだい(人数、上から何番目か、年齢、どんな人か、仕事)
・配偶者(結婚、年齢、どんな人か)
・こども(年齢、どんなこどもか)

生活歴
・出生地(生まれ、育ち)
・教育歴と学生時代(教育歴、成績、クラブ活動、友達、転校)
・職業歴(どんな仕事、期間、役職の有無、勤務状況、対人関係、転職とその理由)

その他
・気質・性格(病前性格、性格の変化)
・趣味・嗜好(興味関心、酒やタバコ)

入院生活
・1日のスケジュール
・週間スケジュール
・QOL(入院生活はどうか、充実か退屈か)

将来の生活
・スケジュール
・就労先
・家庭生活
・経済状況

面接中の状況変化への対応

面接中に対象者が答えることに抵抗していると感じたら、話を切り替えます。

この抵抗は重要な情報であり、現在の状況が整理できていないなどの推測が行えます。

話がまとまらない場合も話をいったん中断し、質問を変えることが必要です。

対象者の返事があるまでじっくりと待つことも大切です。

妄想について話が出る場合、それについて否定も共感もせず、内容ん深入りしないようにします。

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精神障害者の自信(自己効力感・自尊心)の高め方

精神障害者と自信

精神障害者では、発達途中の発症により正常発達が阻まれ、本来育つはずの自信が定着しない事が多くあります。

受容欲求が満たされず、最低限の自信が確立されないことや、対人関係上の失敗体験から自信を失うこともあります。

日常生活での孤独感やストレス、不安感が自信喪失につながっている場合もあります。

他にも、精神障害による認知機能低下や歪みなどから、自己の過小評価や罪業妄想、被害妄想などの症状の影響を受けて自信が喪失していることもあります。

自信の要素

自信は、「自分の力を信じる(自己効力感)」と「自分には価値がある(自尊心)」という側面からなっています。

自信が強まる要素としては、成功体験、満足、安堵・喜び、関心をもたれる、ほめられる、尊敬される、羨ましがられるなどがあります。

自信が弱まる要素としては、失敗体験、不満足、不安・恐怖、無視される、叱られる、軽蔑される、呆れられるなどがあります。

幼少期から存在を無視されてきているような場合、自己の存在を肯定的に認めにくくなり自尊心の欠如がみられることが多くあります。

自信の構築

自信を無くしている対象者に対し、リハビリテーションではセラピストのかかわりと具体的な作業活動の提供を通して、自己受容による安心感を得て自信を回復させていきます。

自信の喪失は活動性・意欲低下を招き、それが不安を増大させていることもあります。

経験不足や失敗に対する不安、過去の失敗体験が再度起こってしまうのではないかという不安などにより自信を持てず、自己能力や自己価値を認められない状態になっている可能性があります。

リハビリテーションでは、具体的作業活動によりセラピストに受容されていることを実感し、活動への興味・関心を高め、達成感や満足感を感じ取り、対象者が自身の価値観を再構築できることを目標にしていきます。

気分障害(抑うつ)と自信

気分障害の特徴を以下に挙げます。

うつ状態では、思考の抑制により「考えがまとまらない、頭が空っぽになった」など思考の停滞、決断困難、集中困難、記憶力低下が生じる。

観念の発生が遅く、観念の連合は円滑ではなく、着想は非常な努力の末にやっとあらわれる。

思考の流動性低下から頭の切り替えができず、同じことをくどくどと繰り返し考えたり、しばしば反復、常同、強迫的な行動も起こる。

思考内容は単純で、悲観的抑うつ的な観念に囚われ続ける。

認知面においては、自己価値の過小評価や無価値観が生じ、自責的、自罰的な傾向となりやすく、現在だけでなく過去の些細な失敗すら悔やまずにはいられなくなる。

抑うつ気分と思考の流動性の低下のもとで、自己卑下や後悔の念は肥大し、そこに拘泥し、妄想的な思い込みになってしまうことも少なくない。

この抑うつ性妄想は仕事や家庭、自分の体のことなど患者自身の身近なことに関連した内容が多いものである。

精神運動面の抑制として、「何をするにもおっくう」、「根気がなく仕事の効率が落ちた」といった状態となり、しばしば身体的な疲労感、倦怠感と重なり、動作や話し方は遅くなり、全般的な活動量の低下がみられ、日常的、習慣的な動作にも時間がかかる。

注意は固定し転導性は極端に低下する。また、種々の事柄に関する興味・関心の低下がみられ、特に意思決定が困難となる。

作業療法のとらえかた PART2 P297

うつ状態の対象者は、過去の自分と比較して現状をとても無力で無価値だと認識する傾向となり、周囲からの無理解と安易な励ましは現状を何とかしようと過剰な努力をさせてしまうことにつながります。

また、なかなか自己を受け入れることも難しくなります。

安易な励ましは無力感、絶望感を増大させることになるため、ゆったりとした対応で、言葉や態度による励ましはさけ、「今の対象者の状態」がセラピストに受容・許容されているという安心感を与えるようにしていきます。

つかず離れずの心理的距離を心がけて、対象者が望むときにはすぐに対応できる体制づくりをしておきます。

賞賛や励ましを全く行わないというわけではなく、対象者の努力を認めるためのものは必要ですが、対象者の負担となることは避けるようにします。

自信がなく不安の強い場合、活動参加自体や対人接触に対しても否定的なことがあり、活動を導入しにくい事があります。

このようなときには、無理に活動を導入せず、ともに時間を過ごす、話を傾聴することから始めていきます。

まずは安心感を持ってもらえることが最優先であり、誘いを断ってもセラピストの対応は変化しないということを認識してもらう事が重要です。

抑うつと作業療法の進め方

抑うつ状態の対象者は自己評価よりも活動能力が高い場合が多く、自己能力より低い作業活動を導入すると、無力感や自己否定感をより高めてしまうことになります。

逆に、能力を超える活動や、セラピストの援助を多く受けなければならない作業でも無無力感や否定感情を高めてしまいます。

活動の選択は慎重に行い、対象者の全体像の評価が大切になります。

作業遂行能力評価のために活動を導入しなければならない場合には、ある程度の枠があり、失敗が少なく、あまり努力がいらない簡単な作業を用います。

作品として見栄えも良く達成感や満足感が得られやすいものがよいです。

過去に経験があっても、以前より難しいと感じたり、うまくできないこともあり、そのような場合失敗体験や無力感を与えることにもなってしまうため、注意が必要です。

失敗が予測される場合、工程変更を行ったり、難易度を調整できるものがよく、あらかじめ難しいことがあるかもしれないと説明しておくことも大切です。

失敗をさせないように常に関与するのではなく、そばにいることで安心感を与え、距離を保ちながら、対象者の反応や行動に注意し、タイミングをとって関与するようにします。

必要以上の関与は無能感、達成感、自主性を失わせることにつながります。注意点としては、自殺企図の可能性があります。

特に治療関係が未確立の状態ではその危険性が高いといわれている。

治療が順調すすんでいても、ちょっとしたセラピストとのすれ違いにより「見捨てられ感」や「否定された」という感情を抱きやすいものである。

経過が長引くと、精一杯頑張っているのにセラピストから賞賛や受容を十分に得られなかったり、失敗による心理的挫折をセラピストに軽視されることなどにより、信頼関係が壊れる場合もある。

セラピストの細かな観察と、繊細な配慮は、自殺企図などの事故を未然に防ぐために必要不可欠といえる。

作業療法のとらえかた PART2 P299

罪業妄想がある場合、自身の存在を否定することになり、些細なことが自殺企図につながることがあります。

「申し訳ない」「すみません」という言葉に対して、なぜかと聞くと、「親切にしてもらっているのにうまくできない」「親切にしてもらう価値がない」などと発言がみられます。

これは活動を行ったことによる無能力感、無価値感が高まった一つのサインとなり、これが継続すると深刻な状況につながることがあります。

しかし、急に活動を中止するのは「見捨てられた」と取り違える可能性もあり、しばらくは活動を控えながら、医師や看護師と連携をとり、状態の改善を図りながら、「見捨ててはいない」と現状について理解していることを穏やかに伝え続けることが大切です。

統合失調症と自信

統合失調症の特徴としては以下のようになります。

統合失調症は思春期には発症するため、社会的経験が不足し未熟である場合がある。

ストレス脆弱性による適応能力の破綻により発症するため、認知機能の障害による経験のゆがんだ認識、被害的内容の幻聴を経験することも症状の特徴上しばしばみられる。

奇異な表情・行動により対人関係における孤立化や受容欲求の充足など、対人関係や社会的経験における失敗体験・挫折感を経験していることもある。

このため自己に対する自己評価や自己価値観が低くなりがちで、自信の乏しい患者が多いようである。

加えて自我機能の低下により、意欲・活動性が低下し、客観的な自己評価ではなく主観的な過小評価により、あたかも自己の安定性をはかろうとしているようにみえることがある。

作業療法のとらえかた PART2 P302

統合失調症と作業療法の進め方

対象者の評価では、自信喪失や自己価値観低下につながる要因としては、社会性の未熟さや低さによる対人関係面、精神運動園、認知面、思考面などの障害による失敗体験や挫折感、発達過程での経験不足など様々なものが考えられるため、多岐にわたる評価が必要です。

一見意欲低下がある対象者が、自信がないためにその状態にみえていることもあるため注意が必要です。

治療初期では、治療関係を構築するため、対象者の依存性や受容欲求を満足させ、安心感を与えます。これにより、満足感、安心感を得やすい状況をつくります。

治療関係が構築されてきたら、徐々に治療的距離を離していきます。対象者の不安を考慮しながら、対象者自ら行動できるようにしていきます。

セラピストの役割は対象者の判断や自己決定を促し、それを認め、結果について是認・承認を行います。

陽性症状により経験したことを適切に受け止めることができない場合や、言語的フィードバックが正しく認識できない場合、作業により時間と空間を共有し、現実的な刺激を重視して治療を進めます。

フィードバックが適切に認知されているかを確認しながら進めます。

注意点としては、対象者の依存・受容欲求を満足させる期間が長くなりすぎると、セラピストに対する固着が起こり、対象者の自己判断や自己決定などを促すことが困難になります。

そのため距離の取り方に注意しながら、自律性・自主性を促していくことが大切になります。

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精神障害、認知症と不安へのリハビリテーション

不安と、不安が出現しやすい状態

不安はほとんどの精神疾患の中核症状です。

不安は漫然としてつかみどころのないものであり、特定の対象を持たないものです。

対象者は落ち着きがなくなり、「眠れない」「イライラする」「息苦しい」などと訴えることがあります。

これらの症状は、危険信号であり、それを対処するための警戒信号でもあります。

不安が誰しもが経験する感情ですが、正常範囲の不安と病的な不安に分けることができます。

臨床では、
①全般性不安障害:根拠のない不安に苦しめられる
②パニック発作:突然の激しい不安で発作が起きる
③恐怖症:特定の対象を異常に怖がる(神経症、統合失調症、うつ病、認知症など)があります。

正常 病的
理由、対象あり 理由、対象なし
表現可能 表現しにくい
わかってもらえる わかってもらえない
我慢できる 我慢できない
長く続かない 長く続く
いったん去れば気にならない 予期不安(また来るのでは)が続く

不安の手がかり

精神障害者や認知症者では、自分が病気だという自我の障害があり、言葉によるコミュニケーション機能も障害されていることもあり、本人からの訴えや欲求を的確に把握することは困難なため、言葉以外の表情や身振り、態度、行動、行為、対人反応など客観的なものを評価します。

不安の徴候として

①顔の表情から:苛立ち、おびえ、緊張、興奮、硬い表情、沈んだ表情
②態度、行為から:そわそわして落ち着かない、キョロキョロとして視線を合わせない、同じ質問の反復、不穏、早口、徘徊、暴力、器物破損、無動
③自律神経症状:発汗、速い呼吸、頭痛、手指振戦、動機、顔面蒼白、頻脈、不眠など

作業療法のとらえかた P277

があります。

不安への対応の大前提

不安への対応への大前提として「安心感の保証」があります。

不安があるものにとって、静かな「場所」、心配いてくれる「人」、訴えを「聴き入り」、「受け入れ」「見守り」、のうえで、慰め元気づけてくれることが心休まる時になります。

精神的安定を図るために、元気づけ、保証し、助言し、説得や納得を基本的態度としていきます。

これらの働きかけにより、対象者はセラピストに「理解された」「わかってくれた」と安心感と自信をもつことができます。

支持的療法では、セラピストとの信頼関係を通して患者の不安や危機感を回避させ、できる限り早く現実状況に適応させていきます。

不安への具体的アプローチ:接し方

セラピストの接し方として、重要なこは以下になります。

・優しく暖かい雰囲気で接する
・初めての患者には自己紹介、インフォームドコンセントを忘れないように
・ゆっくりとわかりやすい言葉で話しかけ、一度にたくさんのことを伝えない、簡単に手短に
・何についての不安か・どういう不安かを、可能であれば本人に聞く。言語的コミュニケーションが不可能な場合は、本人の非言語的サインから感じとる。カルテなどから、生育歴、生活歴、現病歴、発症・再発となったきっかけなどの情報を入れておくことも必要
・不安の対象がはっきりしている場合は、その不安を取り除く手助けをしたいことを伝える。

作業療法のとらえかた P279

対象者の不安感が高い時には何も要求しないようにします。

また対象者にはセラピストが本人を脅かさない存在であることと、困ったときに手助けできる存在であることを伝えます。

本人のペースが尊重できるようにし、セラピストが先に動いたりせず待つことも必要になります。

セラピストが不安になると、本人にも不安が伝わるため、注意が必要です。

対象者が不安解消に行う行為にこだわらず、むやみに行動を制限しないことも必要です。

本人の思いを受け止めることも重要で、認知症であれば人物誤認や見当識障害がありますが、対象者にとってはそれが生きている世界であり、その世界に合わせることも必要です。

「共感」のためには、セラピスト自身の気持ち(「自分にも同じような経験があります」など)を語ることで、自分の気持ちを理解してくれたと感じ、信頼関係が高まります。

妄想による不安には、否定せず訴えには共感するようにし「それはつらいですね。でもここではスタッフがいて守られているので大丈夫ですよ」などと安心感を与えます。

認知症者では説得よりも納得を重視し、見当識障害や理解力低下による不安感を受け止めるようにします。

認知症者が覚えている話題は不安感から自分を取り戻すきっかけとして有効な場合もあります。

不安への具体的アプローチ:作業活動の利用

単純作業でも身体活動は心的エネルギーか身体エネルギーに変えて気分転換となる効果があります。

作業活動への取り組みにより、新陳代謝の向上、生活リズムの回復、不安感などの軽減、自己愛や達成感を満たすなどの効果が期待できます。

セラピストの簡単な手伝いから始め、役割体験や有能感を持たせることもあります。

自信がなく何をするにも不安な人にはその場にいるだけでもよいことを保証します。

身体的・精神的負担に感じていても、自分から言い出せない人には、セラピストから声掛けをして休憩などを促すようにします。

強い不安感に対して、作業をしていることで気がまぎれる人には、没頭できることに取り組んでもらうようにします。

作業には十分な時間を与え、完成よりも作業をすることの重要性に視点を持たせます。

作業では成功体験ができるようにし、失敗はさせないようにします。

よい反応や行動が見られた場合、賞賛を行うようにします。

作業選択では、独創性のあるものよりは、枠が決まっているものの方が安心感が得られます。

また単純作業の繰り返しや、競争をあおらない作業、完成の見栄えに差が出ない者、途中で切り上げ(休憩できる)れる作業、短時間でできるもの、形のはっきりしているものがよいといえます。

競争心に抵抗がなくなってきた場合には、オセロやトランプなどゲーム性のあるものを取り入れ、楽しみやコミュニケーションを図れる作業を導入します。

経験ある作業は取り組みやすく安心できる作業ですが、一方で以前に比べてできない自分を感じ、かえって不安にさせることもあり、特にうつ状態の場合には注意が必要です。

破壊的なエネルギーがある場合、散歩やバレーボール、ボーリング、サンドペーパー掛け、紙の切り裂きなどは破壊的エネルギーに出口を与え、建設的エネルギーに転換するきっかけになります。

認知症者では、昔話や買い物に行く、散歩したりすることで不安感が解消されることが多く、一人にさせないようにします。

不安への具体的アプローチ:集団の利用

集団に対して不安を感じている場合、いつ来てもいつ帰ってもよいこと、その場にいるだけでもよいことを保証し、本人が安心できる居場所を提供します。

集団の導入では、はじめは状態像や性格特徴などが似ている同じ質の4~5人の集団から行います。

集団のなかでは、セラピストが媒介となり、他者とのコミュニケーションや作業、集団への橋渡しなどを行い、短時間の参加からはじめていきます。

道具の貸し借りなどを通して協調性や相互交流を期待します。

認知症者では、笑いあうことのできる集団体験はなじみの関係づくりや集団の場が自分の居場所であるとの認識を生じさせやすく、不安感の軽減が期待できます。

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転職サイト利用のメリット

何らかの理由で転職をお考えの方に、管理人の経験を元に転職サイトの利用のメリットを説明します。

転職活動をする上で、大変なこととして、、、

仕事をしながら転職活動(求人情報)を探すのは手間がかかる

この一点に集約されるのではないでしょうか?(他にもあるかもしれませんが)

管理人は転職サイトを利用して現在の職場に転職しました。

コーディネーターの方とは主に電話やLINEを通してのコミュニケーションを中心として自分の求める条件に合う求人情報を探してもらいました。

日々臨床業務をこなしながら、パソコンやスマホで求人情報を探すというのは手間ですし、疲れます。

そういう意味では、転職サイト利用のメリットは大きいと考えています。

転職サイト利用のデメリット

デメリットとしては、転職サイトを通して転職すると、転職先の病院や施設は紹介料(転職者の年収の20-30%)を支払うことです。

これがなぜデメリットかというと、転職時の給与交渉において、給与を上げにくいということに繋がります。

それでも、病院や施設側が欲しいと思える人材である場合、給与交渉は行いやすくなるはずです。

そういった意味でも、紹介してもらった病院や施設のリハビリ科がどのような現状で、どのような人材が欲しいのかといった情報が、自分の持つ強みを活かせるかといった視点で転職活動を進めていくことが大切になります。

転職サイトは複数登録することも必要

転職サイトは複数登録しておくことが重要になるかもしれません。

それは、転職サイトによって求人情報の数に違いが生じることがあるからです。

せっかく転職サイトを利用するのであれば、できるだけ数多くの求人情報の中から自分の条件にあった求人情報を探せる方が良いはずです。

その分複数のコーディネーターの方と話をする必要がありますが、自分のこれからのキャリアや人生を形作っていく上では必要なことになります。

また、コーディネーターの方も人間ですから、それぞれ特性があります。

自分に合う合わないと言うこともありますから、そういった意味でも複数サイトの登録は大切かもしれません。

とにかく行動(登録)!管理人も登録経験あり!転職サイトのご紹介!

ネット検索にある転職サイトの求人情報は表面上の情報です。

最新のものもあれば古い情報もあり、非公開情報もあります。

各病院や施設は、全ての求人情報サイトに登録する訳ではないので、複数登録する事で より多くの求人情報に触れる事ができます。

管理人の経験上ですが、まずは興味本位で登録するのもありかなと思います。

行動力が足りない方も、話を聞いているうちに動く勇気と行動力が湧いてくることもあります。

転職理由は人それぞれですが、満足できる転職になるように願っています。

管理人の転職経験については以下の記事を参照してください。

「作業療法士になるには」「なった後のキャリア形成」、「働きがい、給与、転職、仕事の本音」まるわかり辞典

転職サイト一覧(求人情報(非公開情報を含む)を見るには各転職サイトに移動し、無料登録する必要があります)

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