錐体路と錐体外路という言葉は聞いたことがあると思いますが、その違いをはっきりと説明することは苦手な方は多いと思います。今回、錐体路と錐体外路の覚え方について、随意性と筋緊張に関わる伝導路という視点からまとめていきたいと思います。
目次
錐体路と錐体外路の覚え方!随意性と筋緊張に関わる伝導路!
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錐体路と錐体外路
私たちは、脳からの命令(指令)が筋肉に伝達されることで、色々な運動や動作を行うことが可能になっています。
その中で重要になるのが錐体路と錐体外路になります。
運動制御には、外側運動制御系と内側運動制御系があり、
外側運動制御系:錐体路
内側運動制御系:錐体外路
と呼ばれています。
出典:高草木 薫「大脳基底核による運動の制御」臨床神経学49巻6号(2009:6)
外側運動制御系である錐体路には、
・皮質脊髄路
・赤核脊髄路
があり、これらは一次運動野が起始となっています。
主に遠位筋の中でも屈筋を支配しています。
内側運動制御系である錐体外路(錐体路以外の伝導路)には、
・橋網様体路
・延髄網様体路
・前庭脊髄路
・視蓋脊髄路
があり、これらは前運動野 、補足運動野が起始となっています。
橋網様体路:抗重力筋の促通、下肢伸展活動の促通と維持
延髄網様体路:抗重力活動からの解放
前庭脊髄路:下肢伸筋の運動ニューロンを興奮
視蓋脊髄路:頭と眼球を動かす定位反応
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錐体路(主に皮質脊髄路)の役割は?
錐体路(主に皮質脊髄路)は運動の発言に関わり、この部位で損傷が起こると、運動麻痺が生じます。
一次運動野から出た皮質脊髄路は放線冠、内包、大脳脚を通って延髄の錐体で交叉して反対側の脊髄を下降して脊髄前角の運動細胞へと伝わります。
皮質脊髄路は筋収縮の強さ、すなわち
①何個の運動細胞が興奮するか(量)
②1つの運動細胞がどれだけ強く興奮するか(強さ)
という事に関与しています。
そのため、皮質脊髄路が障害されると、脊髄運動細胞の興奮が低下し、筋収縮が弱くなります。この状態を神経原性筋力低下といいます。
よく臨床で用いられる筋出力の低下とは、このことを指していることになります。
また、一次運動野には、身体部位に対応したマッピングがあり(体部位局在)、そこを刺激すると対応した身体部位の運動が起こります。
さらに、一つの筋肉に出力しているだけでなく、複数の筋肉に出力している領域も存在します。
運動野Aが障害された場合には、それを補うために運動野AB、ACが働くことになります。
この状態がいわゆる共同運動という現象になります。
一次運動野はスイッチの役割を担っており、一次運動野が障害されることにより分離運動が障害されることになります。
皮質脊髄路と一次運動野に着いては以下の記事を参照してください。
脳卒中片麻痺者と上肢機能評価、リハビリテーションに向けた実践的知識と方法!
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錐体外路の役割は?
前途しましたが、錐体外路は錐体路以外の伝導路を指し、それらは内側運動制御系に属しています。
内側運動制御系の特徴としては、
・同側の前索を下行
・両側性支配
・体幹筋、近位の伸筋群を制御
・起立、歩行に関与
・姿勢反射、平衡、筋緊張に関与
挙げられます。
我々が何か運動をしたり動作を行う場合には、バランスを保ちながら行うことが重要になりますが、その要素のひとつに姿勢筋緊張があり、それは内側運動制御系によりコントロールされています。
筋緊張には促通と抑制の要素があり、それらによって姿勢コントロールが協調的に行われています。
屈筋と伸筋がある中で、ある時には屈筋を抑制して伸筋を促通し、またある時には屈筋を促通して伸筋を抑制するというようなコントロールがなされているというわけです。
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筋緊張の促通・抑制と内側運動制御系
筋緊張の促通と抑制の視点から内側運動制御系を分類
先ほど、筋緊張には促通と抑制の要素があると述べました。
ここで、それらの要素から内側運動制御系を分類していくと、
促通:前庭脊髄路
橋網様体の促通成分
延髄網様体の促通成分
抑制:脚橋被蓋核
橋網様体の抑制成分
延髄網様体の抑制成分
となります。
次に、これらの各要素を詳しく見ていくことにします。
前庭脊髄路
前庭脊髄路は、網様体とともに伸筋の促通に関与します。
筋緊張に関係するγ運動ニューロンだけでなく、α運動ニューロンにも関与します。
前庭脊髄路は、外側と内側の2つの経路があります。
外側前庭脊髄路は、同側支配で、屈筋の抑制と伸筋の促通を行います。
内側前庭脊髄路は、両側支配で、頸部や体幹の伸筋を促通します。
前庭脊髄路についての詳しい概要や評価、リハビリテーションについては以下の記事も参照してください。
脚橋被蓋核
脚橋被蓋核は中脳被蓋にある神経核です。
大脳皮質や基底核から入力を受け、視床や視蓋、基底核、脳幹網様体に投射します。
基底核-大脳皮質ループや網様体脊髄路との関連があります。
筋緊張に関しては抑制系に作用します。
脚橋被蓋核から橋網様体への投射が確認されており、橋網様体から両側延髄網様体の網様体脊髄路細胞と脊髄の抑制性介在細胞を介して伸筋と屈筋の抑制を行います。
橋・延髄網様体
橋網様体は、伸筋を促通する働きがあります。
延髄網様体は、伸筋の促通と抑制をする働きがあります。
これらの働きにより、抗重力筋に対して拮抗的に作用し、姿勢コントロールを行います。
橋・延髄網様体についての詳しい概要や評価、リハビリテーションについては以下の記事を参照してください。
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