高次脳機能を有する方において、注意機能がコミュニケーションに影響を与えているのではないかと感じる方をしばしば経験することがあります。今回、注意機能と言語機能において、注意障害がコミュニケーションにどのように影響するかを考えていきたいと思います。

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注意機能と言語機能!注意障害はコミュニケーションにどう影響するか?

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高次脳機能において注意機能はどの段階にあるのか

高次脳機能を考えた場合に、注意機能はどのような立ち位置にあるかをまずは考えていきます。
神経ピラミッドによると、前頭葉機能を基本とした高次脳機能を、土台(底辺)から順に
①神経疲労
②抑制と発動性
③注意力と集中力
④情報処理
⑤記憶
⑥論理的思考力と遂行機能
⑦自己の気づき
という階層的に分けており、より上の階層が働くためには、その下の階層がしっかり働いている必要があるということを示しています。

これに対応する高次脳機能障害としては、
②無気力・脱抑制
③注意・集中力の低下
④情報の処理が遅い、正確に把握できない、脈絡なし、断片的
⑤記憶低下
⑥遂行機能低下
⑦病識欠如
などが挙げられます。

注意機能は主に4つに分類することができます。
①sustained attention
持続してあるいは繰り返して行われる活動の間、 一定の反応行動を持続させる能力。
注意の維持機能を指します。
②selectiveattention
妨害的、拮抗的刺激を抑制し、標的目標に注意を集中して、行動や認知プロセスを維持させる能力。
選択的注意機能を指します。
③alternating attention
異なった認知課題を交互に行う際、刺激あるいは情報処理プロセスへの注意をシフトさせる能力。
注意の転換機能を指します。
④dividedattention
同時に2つ以上の課題に注意を向ける能力。
注意の配分機能を指します。

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注意機能と言語機能の関係性とコミュニケーションへの影響

注意機能と言語機能の関係性について、コニュニケーション面でどのような影響が生じるかを考えていきます。
注意は情報処理の第一段階であり、全ての精神神経活動の基盤となります。また、注意障害があると、精神活動全ての段階に影響を及ぼします。

コミュニケーション面への影響としては、
①言葉への反応が遅くなる
②会話が中断する
③途中で話の一貫性がなくなる
④情報を選別できない
⑤話題を保持できない
⑥要点を把握できない
などが挙げられます。

これらは、注意とワーキングメモリの関連性が言われています。

会話は連続的に進み、大部分の言語情報は時系列に沿って順々に脳へ入力されていく。
その時々の刻々と変化する情報から全体的な構造をつかむためには、後から関連情報が呈示される前に、その以前の情報を蓄えておく必要がある。
コミュニケーションの最中、相手へ伝えるべき内容を一時的に保持しながら、会話を行わなくてはならない。
つまり、発話終了まで発話内容を保持する必要があるので、会話にはworkmgmemoryが必要と思われる。

松尾 康弘他「高次脳機能における注意機能と言語機能の関係」バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌VoL15,No.1,pp,61−68(2013)

また、以下のようにも述べられています。

コミュニケーションの重要な特徴は新規の情報が絶えず導入される点であり,情報交換を円滑に進めるためにはそれらの情報を全体の文脈から逸脱しないように統合していく必要がある。
これは談話の一貫性につながるともいわれており(Myers 1999),特に談話が延長した場合には自らの言語表出を継続的にモニタリングしながら談話を産生しなければならず,ワーキングメモリの関与は必須である。

市川 勝他「右大脳半球損傷患者における談話特徴と認知機能の関連性の検討」高次脳機能研究29(1):49~59,2009

前頭葉損傷では注意とワーキングメモリ、注意による認知や行動の制御が問題になります。
ワーキングメモリは注意の保持、注意集中、思考のコントロールを発揮する能力と捉えます。
話を聞きながらポイントをまとめる、情報をどの順番で伝えるか頭で整理しながら状況に応じて説明する、状況に即した行動をとる(抑制する)などを行うための知的能力を発揮させるための能力です。
ワーキングメモリは受動的・能動的どちらにも関与する能力であり、ワーキングメモリの入力には選択性注意が重要となります。
また情報を一時的に保持し、操作するには注意の維持が必要となります。

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コミュニケーション面における注意機能との関係性を把握するための評価方法

今までに述べてきたことから、コミュニケーション面に影響する注意機能としては、
①選択的注意
②注意の維持
③ワーキングメモリ
であることがわかりました。

そのことから、コミュニケーション面における注意機能との関係性を把握するための評価方法としては、
コミュニケーション場面の観察から、
①言葉への反応が遅くなる
②会話が中断する
③途中で話の一貫性がなくなる
④情報を選別できない
⑤話題を保持できない
⑥要点を把握できない
などが観察されるかを確認します。
ここで重要なのは、これらの項目が観察された場合に、「失語症」の存在がないかを確認することです。
失語症があれば、解釈の仕方が変わってしまうので、まずは言語機能に問題がないかを把握することが大切になります。

注意機能の各要素の評価としては、以下のようなものがあります。
持続性注意検査
・CPT検査
・抹消試験

選択性注意検査
・抹消試験
・Stroop test
・Trail Making Test(A・B)
・上中下テスト
・PASAT
・聴覚性検出検査

ワーキングメモリ
ディジットスパン(数唱)
数唱課題は数字を順番に読み上げたものを記銘し、提示終了後に覚えた順番に再生する課題です。
順唱と逆唱があり、逆唱では読み上げた数字を逆順に再生します。
例:1-2-3-4→1-2-3-4(順唱)
1-2-3-4→4-3-2-1(逆唱)
数唱課題の解釈では、失語症の影響を考慮する必要があります。
標準注意評価法(CAT)の中にある課題です。

・タッピングスパン
用紙などに視覚的に提示されたいくつかの「⬜︎」などのマスに、不規則に指差されたのを、それを覚え、提示終了後に再生させる課題です。
タッピングスパンの成績は、通常はディジットスパンよりも1〜2個少ないとされています。
タッピングスパンの解釈では、視空間の障害を考慮する必要があります。
標準注意評価法(CAT)の中にある課題です。

注意障害に対するリハビリテーションについては以下の記事が参考になります。

 

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