リハビリテーションプログラムは、確実に効果の出る方法はありません。ナラティブ(語り)や認知行動療法など違った方向性を持つアプローチが存在します。そのなかで、本人の、「何とかしたい」という動機付けを高めていくことが、回復への道のりには必要です。今回、依存症、アディクションのリハビリテーションにおける動機付けについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。
目次
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依存症、アディクション問題では、問題が深刻となる前に治療導入を早めた方がよいといえます。そのなかでは、本人の揺れ動く気持ちに寄り添いながら、動機付けを高めていくアプローチが必要になります。
動機付けのための面接に必要な要素は、
現在と未来の矛盾を広げ、本人が問題の存在を認識し、変化の必要性を感じるように支援します。
対人援助職のためのアディクションアプローチ P209
とあります。
面接でのポイントは、
①自分の現状をみつめてもらう
②自分の希望する状態や未来における望ましい状態を考えられる
③周囲の他者(家族、友人、上司や部下など)が自分をどう捉えているかを客観的に見ることができる
の3点を達成できることです。
面接においては、基本姿勢は共感しながら矛盾を拡大し、表出される抵抗を受け止めていきます。変化の必要性を援助者が直接提案せず、情報提供や新たな視点を与えます。
対象者のなかでの矛盾が対決できるように援助していきます。
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面接を進めていくなかで、対象者の中に変化をを求めたり、変化の必要性を感じているような言葉(チェンジトーク)があれば、それを拡大していくことを支援します。
対象者のなかでの最良な答えが見つかれば、「やれますよ」「すでに少しできていますよ」などと自己効力感の向上を支援します。
これには面接だけにとどまらず、変化のために利用できるグループの紹介や社会資源、プログラムの提供も含まれます。
チェンジトークの拡大は、保健分野の予防レベルでも行われています。
検診の結果を受けて生活習慣の改善が必要な人に、動機付け支援やさらに必要な人には積極支援が展開されています。生活習慣を振り返りながら、具体的な行動目標を立てられるように支援していきます。その後は生活習慣の変化に積極的に付き合う姿勢をとっていきます。
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動機付け支援では、アディクションをやめることだけではなく、節制、減量、服薬、運動習慣をつけることなど、対象者のニーズに合わせて目標が立てられます。
このとき大事なことは対象者本人による主体的な自己決定です。目標決定後は、状況の変化に伴い目標にも変化が生じることもあります。
対象者の揺れ動く気持ちに寄り添いながら自己決定を支援し、問題解決に向けてエンパワメント(自らの力を自覚し行動できること)していくことが重要になります。このことが具体的な行動変容につながっていくことになります。